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【詩】

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私の創作した詩を載せてゆきます
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詩集

詩集

松下育男さんの詩集を読んでいる
この一つひとつに
意味があるんだろうか?
ふしぎな話がたくさん
載っているとした思えない

意味を感じられない哀しみを
育男さん、わかってくれるかな?
彼の詩は決してわかりやすくない
けれどその奥にやさしい
人柄が感じられる

不良品

不良品

なにも考えずにいいものの
できることがある一方
考えすぎて逆に
ろくでもないものを
作ってしまうことがある

チャレンジし続ける限り
後者を産み出すのが
必定だからこそ
老いても不良品をポンポン
こしらえる自分でありたい

ダイブ

ダイブ

いくつ越えても
また越えたくなるのが
自分の限界
ここまでかと
思っていても
遠からずチャンスが
巡ってくる

乗り越えるの
快感以外の
なにものでもない
また未知の世界に
ダイブする
見たことのない
光跡が流れてゆく

誰?

誰?

牛肉が翼を広げ
広い夢を駆ける
蠅達は
手をすりあわせたのち
牛糞の天国に憩う

人は言葉にすがり
言葉に操られ墓穴を掘り
ついには集団自決する
むかし偉かったのは
誰だった――?

先に立たぬ後悔

先に立たぬ後悔

素数が頭から血を流して
死んでいた
死因を調べたところ
自分を嫌って
飛び降り自殺を図ったらしい

特別な存在だと
思われていたはずなのに
老後を思い悩んでいたらしい
素数のことをもっと
考えてやればよかった……

孤独の肖像

孤独の肖像

家族の笑顔に包まれながら
孤独を抱える人がいる
なぜそうなったのか
なにが悪いのか
ぼくにはわからない

祈るだけで
本当の力になっていない
それを悔やんでも迷っても
ぼくの内側をかき回すだけ
力になりたい!

なにが君を
そうさせているんだ
教えてはくれないかな?

ペース

ペース

絵を描いて描いて描いて
どんどん上手になってゆく
そんな人がいる中
ひと月に一枚仕上げるのが
やっとの子もいる

でももっと描かせようと
しなくていい
その子には
ちょうどいいペースなのだ
というのもぼくが
そんな生徒だったから

教室に入って
毎日描かされていたら
ある日急にできなくなって
逃げ出してしまった
ぼくにとって最適なのは
毎日ではなかったのだ

少し無理をさせて伸びる子
自由にやらせ

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自分らしさ

自分らしさ

自分より人気を持つ人に
対抗しても
どんなにがんばっても
負けの繰り返しで
自分なにやってんの?
そう思ってしまう

もう勝ちとか負けとか
かんけーなく
自分の色を出して
だんぜん愉しみたいぜ!
それしかない
愉しまな意味ない!!!

そう思ってみてもときどき
人気のある人が
羨ましくなるのって
なんでだろう? そのたび
違う。自分らしさだ!
自分に言い聞かせるけど

小さな頃によく通った駅を
ときどき思い出す
あそこはもう廃駅になった
その前から人の
まばらな場所だった

そこで父に小さな笛を
買ってもらったことがある
緑色の 音色が一つだけの
気に入っていたのに
幼稚園で
誰かに盗まれてしまった

苦みとともに思い出される
この駅は心の故郷である
もう戻ることのない
永遠に遠い存在だからこそ
胸から離れないのだろうか

灯台

灯台

温暖化でカニもホタテも
タコや鮭まで
捕れなくなって
オレら漁師は職を失った
曽祖父の時代から
ここで食べてきたのに

半年前に北見に引っ越して
今はビル警備の仕事を
しているよ
さっき不動産屋に会って
二束三文で家を処分した

だが灯台が懐かしくてな
見納めに来たってワケだ
ありがとうな
世話になったのに
恩返しもしないで
……申し訳ない

君は人に生かされてきた
そしてもう
見向きされなくなっ

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ひたすらの我慢は

ひたすらの我慢は

買いたいものはすぐに買う
そんな人がいる中
断固として
本当に、本当に欲しいものが
現れるまで買わない!
そんな人もいる

実際ぼくは
そんなこどもだった
ラジコンが
欲しくてたまらないのに
お金を使わずラジコンの
ポスターを貼った
もっと欲しくなったら
カタログを取り寄せて
それを見て
運転操作を空想して楽しんだ
それでなにがあった?

なにもなかったかに思えた
お金をおろして
買えばよかった

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ほとんど

ほとんど

初めての応募で優秀賞とか
二度目の応募で最優秀賞とか
まるで信じられない
ぼくは創作を始めて五年経ち
ようやくエッセイで入賞した

最初からすごい才能の塊では
明らかになかったし
創作を始めて十五年ほどになるが
いまだに一位は獲ったことがない

人々の順列はピラミッド型だと
聴いたことがある
ならばその頂点に立つのが
たくさんいるわけもないのだから
ぼくくらいがふつうだろう

巧くいったって話を

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春への手紙

春への手紙

二か月前まで
地上を覆っていた雪が
じれったい冬が
跡形もなくなった
今年はやけにそれが
眩しく映る

春の訪れのパワーに
圧倒されている
こんなに陽が長くなって
嬉しいけど
過ぎ去った冬は
どんな気持ちかな?

彼は後ろ向きだから
もしかしたら
こんな手紙を
春に渡したかもしれない

春さんへ
今年もあなたにバトンを
渡すときが近づきました
こんな私を早く
呑み込んでください
人々を動植物をどう

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あなたは

あなたは

苦しいときは苦しいと
哀しいときは哀しいと
伝えあうのが恋人であり
友人ではないか?

もしそれも
できない関係なら
恋人でも友人でも
ないのだろう

会うたびにあとで
悔しくて泣くなんて
その人はあなたを
愛していないんだ

そうでないとしたら
甘えきってる

あなたは
大切にされるために
生まれてきたことを
忘れないでいてね