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#涙

そして、君へと。|詩

そして、君へと。|詩

「そして、君へと。」

ひとつ、ふたつ……

見あげる夜空に終わりゆく星と
透明な瞳をもつ少年の背中

ひとつ、また ひとつ……

雨粒の代わりに拾いあげた
小さな正義をポケットにしまって

膨らんだ拳から溢れる涙は
きみの宝物へと流れていくから
ほら、大丈夫
真昼の空には消えない星がある

幸せになれ|詩

幸せになれ|詩

「幸せになれ」

じりじりと締め付ける違和感が
埃まみれになった心の臓に忍びよる

戸棚には整えられた記憶たち
小さなメモ書き、其れは
いつかの星詠みからのメッセージ

君は憶えているだろうか

かならず果たして欲しいと願った
約束の片隅に掠れた僕の声
添えられた涙が愛になる瞬間の音を

深森のなみだ|詩

深森のなみだ|詩

「深森のなみだ」

吐ききった呼吸の彩に
緩やかにあつまる影あそび

瞳を閉じたあわい魂の
その指先が
セルロースの傷痕をそっと舐める

ちりちりと音をたてている
其は、
旅の終わりを知らない約束の端っこ

焦らなくていい
ひとり何処へも逝かぬ昊
その痛みすらも愛おしくなるほどに

始まりの雨|詩

始まりの雨|詩

「始まりの雨」

ふくよかに芽吹いた君が
堪えきれず溢れさせた雨の理由

見抜けなかった理不尽と
なにも出来ずの自分が悔しいと
すがり辿々しく語る小さな肩
それでも守りたいものがあるのだと
細い腕は力強く震えていた

君ならきっと大丈夫
僕ならずっと傍にいるから

陽だまりを抱きしめて
ただ愛していると伝えて欲しい