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物語

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#ショートショート

泥棒が詐欺師の日記を見た物語

泥棒が詐欺師の日記を見た物語

『盗んだのは罪悪感』

静かな夜。
月明かりだけが泥棒の唯一の仲間だった。
彼は影から影へと移動し、まるで夜の生き物のように音もなく家々を巡っていた。
彼の動きは猫のようにしなやかで、目的ははっきりしていた。
金品、貴重品、それが彼の収穫だ。

しかし、この夜は何かが違った。
彼はいつものように窓を開け、暗闇に身を委ねたが、心の奥底で何かがざわめいていた。
それは、これまでの彼の人生に対する疑問か

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物語と曲をセットで作る

物語と曲をセットで作る

AIで曲が簡単にできるようになったということで、物語に曲も付けてみようと思います。
2個セットの物語です。

『さよなら、小さな勇者よ』

彼は毎日、病院のベッドで絵本を読んでいた。
絵本は彼の唯一の友達だった。
彼は絵本の中の世界に憧れていた。
そこには色とりどりの花や動物や冒険があった。
彼はいつか、絵本の中の世界に行きたいと思っていた。

ある日、彼は看護師の私にもっと絵本が読みたいと言って

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地獄の中でも良い鬼

地獄の中でも良い鬼

『地獄の中でも良い鬼』

私は地獄の鬼です。
地獄の鬼というと、人間の罪人を拷問したり、苦しめたりする悪い存在だと思われがちですが、私は違います。
私は地獄の中でも良い鬼です。
私は人間の罪人に優しく接したり、励ましたり、慰めたりすることが好きです。私は人間の罪人に救いの手を差し伸べたいと思っています。

私はなぜこんなにも人間の罪人に寄り添おうとするのか、自分でもよく分かりません。
私は生まれな

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カードが教えてくれた本当の気持ち物語

カードが教えてくれた本当の気持ち物語

『願望現実カード』

夜の街を歩いていた彼は、突然目の前に現れた謎の男に声をかけられた。「君、このカードを持っていると、何でも願いが叶うんだ。興味があるかい?」
男は彼に小さな紙切れを差し出した。
それは、白い四角に赤い文字で「願望実現カード」と書かれたものだった。

彼は、男の言葉に半信半疑だったが、好奇心からカードを受け取った。
「ありがとう。でも、本当に効くのかな?」彼はカードを見ながら尋ね

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万引きした物と同じ物をサンタさんから貰う物語

万引きした物と同じ物をサンタさんから貰う物語

『万引きのクリスマスプレゼント』

幸子は万引きをした。

幸子は小学4年生。家は母一人。貧しかった。
幸子はチョコレートケーキというものを食べたことがなかった。
どうしても食べたかった。

幸子は万引きをした。

スーパーでこっそりとチョコレートケーキを盗んで、急いで外を出た。
ふわふわのスポンジととろけるクリーム、そして濃厚なチョコレートの層が、きっと私の舌を楽園に誘ってくれる。
幸子の心は踊

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織田信長になったので裏切り者をクラスメートから探す物語

織田信長になったので裏切り者をクラスメートから探す物語

『本能寺の変な俺』

松本は、教室の窓から外を見た。
今日は歴史の授業だった。
内容は本能寺の変のところだった。
松本は歴史が好きではなかった。
歴史は、古い話や人物の名前や年号を覚えるだけのつまらないものだと思っていた。
だから、授業中は、先生の話を聞くふりをしながら、ぼんやりと窓の外を眺めていた。

窓の外は、どこかのクラスが体育でグランドを走り回っていた。
何の競技をやっているのだろうか?

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拷問に耐えた男の恥ずかしい手紙物語

拷問に耐えた男の恥ずかしい手紙物語

『赤い顔』

雅之は銃口をこめかみに押し付けられていた。
雅之はイスに縛られ、顔は腫れあがり、頭からは血を流していた。

「いい加減パスワードを言え。もう飽きてきた」
ネクは今にも銃を撃ちそうな雰囲気だった。
ネクは組織の中でも頭はキレるが、感情もすぐキレるタイプだ。

しかし、雅之は言わなかった。
彼はそのパスワードが組織の手に渡ると世界中がパニックになることを知っていた。
彼はただ巻き込まれた

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面接官が遅刻した物語

面接官が遅刻した物語

『100敗目の信念』

就活真っ最中。
今日も面接だ。よし、今度こそ受かるぞ。
そう思いながら、タケルはネクタイを締めた。

タケルの面接の成績は0勝99敗。

記念すべき100敗まであと1敗。
傍から見たらそれを期待するが、それだけは避けたい。
その気合いはいつもより強く、ネクタイを締めすぎて倒れそうになった。
イヤな予感しかしない。

そしてタケルは面接に向かった。
15分くらい少し早く来すぎ

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幸福市平和村殺人事件物語

幸福市平和村殺人事件物語

11月4日に一人芝居のチケットが発売されます。
詳細はこちらです。

さて、今回は物語を書こうと思ったのですが、長くなりそうだったので、あらすじ的に書きます。
機会があればまた今度。

『幸福市平和村の殺人』

ここは幸福市平和村。名前の通り、ここ数十年犯罪などは一切ない。
しかし、今日、死体が発見された。  

幸福市平和村の村長は望んでこの名前にしました。
もちろん、幸せいっぱいの安全で平和な

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廃病院で浮気告白。友情と裏切り物語

廃病院で浮気告白。友情と裏切り物語

『二人の衝動』

エリカは浮気をしてしまった。
それは衝動だった。

しかし、その浮気は許されないものだった。
なぜなら、浮気相手の彼女は、エリカの親友のサキだから。

エリカは溢れんばかりの罪悪感でいっぱいだった。
どうしよう?
たった一人の友達を裏切ってしまった。

素直に謝ろう。
これがエリカ出した答えだった。
最善の答えであったが、なかなか言い出せない。
言い出せなくなるほど、言い出せなく

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感動が少し冷める物語、けどそれがいい物語

感動が少し冷める物語、けどそれがいい物語

「最後の言葉」

ある日、山田太郎という男性が、自宅の郵便受けに一通の手紙を見つけました。

差出人は、彼の妻である山田花子でした。

しかし、花子は一年前に交通事故で亡くなっていました。
太郎は、驚きと不安と好奇心に駆られて、手紙を開けました。手紙には、次のように書かれていました。

太郎さま

こんにちは。私は花子です。
あなたがこの手紙を読んでいるとき、私はもうこの世にいないでしょう。
私は

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愛か?勝利か?ミラが最後に選んだ回復魔法物語

愛か?勝利か?ミラが最後に選んだ回復魔法物語

『最後の回復魔法』

ミラ達は死の淵にいた。

とても強敵なモンスターだ。
私たちのレベルでこの敵出現する?くらいのモンスターだった。

ミラは回復魔法をパーティーにかけ続けた。
自分は攻撃する暇はない。ずっと勇者、戦士、武道家と順番に回復魔法をかけ続けた。

私たちはこの強力なモンスターに勝てるだろうか?

そんな時、ミラは昨日の晩のことを思い出す。

勇者テベスに話があると森の奥に呼び出された

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ご褒美はどっち?~子猫と何だかわからない赤褐色のぬめぬめした生物の物語~

ご褒美はどっち?~子猫と何だかわからない赤褐色のぬめぬめした生物の物語~

『ご褒美』~子猫Ver.~

ある日、小学校の帰り道、マリはお母さんから電話がかかってきました。「今日はテストでよく頑張ったね。お家に帰ったら、ご褒美にケーキを買っておいたからね」とお母さんは言いました。
マリは大喜びしました。ケーキが大好きなのです。早く家に帰りたいと思いながら、マリは歩き始めました。

しかし、途中でマリは困ったことに気づきました。
道路の向こう側に、小さな子猫がいるのです。

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犯人失格

犯人失格

『犯人失格』

私は彼らを見下ろしていた。彼らは私が仕掛けた罠にかかって、地下室に閉じ込められている。
彼らはまだ気がついていないようだ。
私は彼らにビデオメッセージを流す準備をしていた。ビデオメッセージには、私の顔は映っていない。声も変えてある。

「こんにちは。あなたたちは私によって選ばれた特別な人たちです。あなたたちはこの地下室から脱出するチャンスを与えられます。しかし、そのためにはあるゲー

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