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カードが教えてくれた本当の気持ち物語

『願望現実カード』

夜の街を歩いていた彼は、突然目の前に現れた謎の男に声をかけられた。「君、このカードを持っていると、何でも願いが叶うんだ。興味があるかい?」
男は彼に小さな紙切れを差し出した。
それは、白い四角に赤い文字で「願望実現カード」と書かれたものだった。

彼は、男の言葉に半信半疑だったが、好奇心からカードを受け取った。
「ありがとう。でも、本当に効くのかな?」彼はカードを見ながら尋ねた。「もちろんだよ。ただし、一つだけ注意がある。このカードは、一度使うと消えてしまうんだ。だから、よく考えてから使ってね。それじゃあ、さようなら」男はそう言って、彼の前から姿を消した。

彼は、男の姿が見えなくなると、カードをポケットにしまった。
「願望実現カードか。こんなもので本当に願いが叶うのかな。まあ、試しに使ってみるのも悪くないかもしれない」と彼は思った。
彼は、自分の願いを考え始めた。お金が欲しいか。恋人が欲しいか。仕事が楽になるか。いろいろなことが頭に浮かんだが、彼は決められなかった。

彼は、カードを使うのをやめて、家に帰ろうとした。
すると、彼の携帯電話が鳴った。
着信画面には、彼の親友の名前が表示されていた。
「もしもし、どうしたの?」彼は電話に出た。
「聞いてくれよ、今日の夜、あの有名なレストランでディナーに行くんだ。しかも、相手はあの美人の女優だよ。信じられるか?」親友の声は興奮していた。

彼は、親友の言葉に驚いた。
「え、本当に?どうやってそんなことになったの?」彼は尋ねた。
「実はね、さっき街で歩いていたら、謎の男に声をかけられたんだ。その男は、このカードを持っていると、何でも願いが叶うって言って、カードをくれたんだ。それで、俺は試しに、あの女優とディナーに行きたいって願ったら、本当に電話がかかってきたんだよ。すごいだろ?」親友は得意げに言った。

彼は、親友の話を聞いて、目を疑った。
「まさか、そのカードって、白い四角に赤い文字で「願望実現カード」って書かれたやつじゃないの?」彼は確認した。
「そうそう、そういうやつだよ。君ももらったのか?」親友は驚いた。
「うん、俺ももらったよ。でも、まだ使ってないんだ。本当に効くとは思わなかったから」彼は正直に言った。
「じゃあ、早く使った方がいいよ。このカードは、一度使うと消えるんだって。俺はもう使っちゃったから、もうないんだけどね。それじゃあ、俺は行ってくるよ。バイバイ」親友はそう言って、電話を切った。

彼は、電話を切った後、ポケットに入れていたカードを取り出した。
「本当に効くのかな。でも、親友は本当にあの女優とディナーに行ったんだ。もしかしたら、本当に願いが叶うのかもしれない」と彼は思った。
彼は、カードを持って、自分の願いを考えた。そして、一つのことを決めた。「じゃあ、俺は……」彼はカードに向かって、願いを言った。

すると、カードは光り始めた。そして、消えた。
彼は、カードが消えたことに驚いた。「あれ、本当に消えた。じゃあ、本当に願いが叶ったのかな」と彼は思った。

すると、彼の携帯電話が鳴った。
先程の親友からだ。
「なんか、急にキャンセルになった。なんだこのカード?よくわかんないからお前も気を付けろよ」親友は怒りながら電話を切った。

彼は笑いが止まらなかった。
自分の願いが本当に叶ったのだ。
彼は親友が女優とデートすると聞いて、何か腹が立った。
いつもあいつは何も苦労せず、いいところだけ持っていく。
そんな具体的な出来事が走馬灯のように頭の中を駆け巡ったのだ。
そうか、俺はあいつが嫌いだったんだ。

「女優はディナーをキャンセルする」
彼はそう願った。

願望実現カードは彼の本心を分からせてくれた。


APOCシアターにて来年2024年1月21日14時30分~、2月3日17時30分~にひとり芝居をやります。
僕は脚本・演出で、浦上力士君が演じます。
50分くらいのオムニバス一人芝居です。
チケット発売中です。
配信チケットもあります。
よろしくお願いいたします。




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