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チョコレートコスモスの芳り

ドリュー・バリモアの法則のち、メグ・ライアンの法則

今年のバレンタインデーは本当に何も予定がなかった。恋焦がれている人もいないから、とりわけ心を病んでいたわけでもない。素敵な人がいたら一緒に過ごせたのになあって思っていた程度。でも、街中に出て自分に劣等感を与えるようなことはしたくはないから、前の日に百貨店でモンロワールの抹茶の生チョコを買っておいた。

部屋には私が1番大好きなチョコレートコスモスを飾った。1年に1回、バレンタインデーに飾るからこそ意味があると思う。チョコレートコスモスを眺めかながら1年の恋愛を思い起こし、ビビッドでビターな恋愛反省会をする。花言葉は「恋の終わり」「恋の思い出」「移り変わらぬ気持ち」。

何も予定がないのは悔しいから、兼ねてから欲しいと思っていたMacBookAirを近所の家電量販店で買おうとしていた。どうせなら、買った日を思い出せる日がいいなと思って、前夜の湯船の中から「買うなら今だ!」とずっと考えていたのだ。なんか、こういう時はせめてもの自分への慰めとして、浪費したくて堪らなくなる。ある種のトランス状態に陥っている感じで、浪費することにまるで罪悪感を抱かなくなる悪い癖である。

でも、結局買わなかった。カラバリの見本が少なかったのと、その店唯一のApple製品担当の男性スタッフがちょっとキモかったから。申し訳ないけど、「こいつからは、絶対に買いたくないな」と一瞬にして心のレーダーが何かを感じとった。なんか、街コンにいた「イケメンじゃない」属性の雰囲気が漂よう人。セールストークもとても独りよがりで、「何で20代最後のバレンタインデーに、こいつの自慰行為を堪能しなきゃいけないんだ」って思ってしまった。

不覚にも、前回の街コンの情景を思い出したのが、とてつもなく居た堪れなかった。そして、やっぱり一流のApple Storeで、見た目もトークもクールな店員さんから買いたいと思った。もし、それがその人の成績になるなら尚更だ。noteでエッセイを書き始めて1年が経とうしてるから、本当にそろそろ欲しいのにな。

不完全燃焼さながら、今日はスタバのカフェラテとモンロワールのチョコレートをお供に映画を観ることにした。何か世間が賑やかで、それでいてどうしようもない日にぴったりな映画。それは、ドリュー・バリモアとメグ・ライアンが出てるラブコメ。ドリュー・バリモアなら、『ウェディング・シンガー』『25年目のキス』『ボーイズ・オン・ザ・ラン』で、メグ・ライアンなら、『ユー・ガット・メール』『恋におぼれて』『男が女を愛する時』かな。

そんな類の彼女たちのラブコメを、ひたすら交互に見続ける。誰かに恋焦がれて水晶玉を覗いたり、星に願ったりしなくても自愛できる方法がここにあったのだ。これが、「ドリュー・バリモアの法則」と「メグ・ライアンの法則」かもしれない。注意書きを書くとしたら、「90年代映画に限る!」かな。90年代映画はフィルムの質が程よくレトロで、カフェラテもチョコレートもよりスイートビターに感じる。近くに佇むチョコレートコスモスも、例年より芳しい気がした。そんな、芳醇な感情の20代最後のバレンタインデーだった。

チョコレートコスモスの花言葉に寄り添い、20代の恋愛を振り返る。27歳までは、とても悲哀に満ちて自分を愛せないことが多かった。「どうして、いつもこんな感じなの?」って、新しい出逢いがある度にやるせなくなっていた。28歳からは徐々に自分を上手く肯定できるようになり、幾分恋愛することが楽になった。29歳になってからは見た目も中身も更にアップデートし、今までにないくらいチャーミングな自分になれた。30代に突入する自分も永遠にチャーミングを更新し続けられたらいいなと思う。

欲を言うなら、40代を過ぎてもドリュー・バリモアやメグ・ライアンのようなキュートでセクシーな女性でいたい。そして、彼女たちの映画のような、最高にロマンチックでプレシャスな恋愛をしたい。

一生青春。いつまでも、ずっと。

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🎟𝐈𝐧𝐬𝐭𝐚𝐠𝐫𝐚𝐦🎟
@__adachikujoshi__




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