記事一覧
ゴールデンウィークは津久見で海鮮丼を食べました。海が綺麗。
ショートショート:ラムネ炭酸寝顔
恋人はお酒が飲めない。
でも飲みに行くのが好きだ。
アルコールがなくても、雰囲気で酔えるんだって。
恋人は陽気だ。
恋人はお酒が飲めない。
でもいろんな人と食事に行く。
アルコールがなくても、腹割って話せる友だちがたくさんいるんだって。
恋人は素直だ。
恋人はお酒が飲めない。
でもおつまみを作るのが上手。
僕のために…、ではなく、美味しいものは何でも好きなんだって。
恋人は器用だ。
恋人はお
ショートショート:オバケレインコート
黒猫のつぶちゃんは、工藤さんちの車庫で雨宿りをしていました。
工藤さんの家には、ケンスケという茶色い犬がいます。
あいつ、今日はさすがに家にいるのかな。
つぶちゃんは雨音を聞きながらそんなことを考えていました。
ざあざあ
ぱらぱら
わん
雨音の隙間からケンスケの声がしました。つぶちゃんはじっと耳を澄ませます。
わん
タッタッタッ
ケンスケ、待って
わんわん
やっぱり。
ケンスケと工藤さん
超短編小説:僕のハル
見渡す限り、人の群れ。黒スーツ、黒スーツ、黒スーツ。初々しい、緊張した面持ち。会場への列はぬるぬると進む。
「私、法学部です。何学部ですか?」
「医学部です」
「えっ、すごい」
「すごくないですよ。法学部だったら、キャンパス、違いますね」
そんな短い、続かぬ会話がちらほらと。
そして、それを押しのけるかのような声がいたるところで響いている。
「テニスサークル!どうですか!初心者も歓迎です
つぶやき以上エッセイ未満:りんごの呪い
エッセイにするほどの文字数もないけれど、140字ではおさまらないかもしれない。そんなこんなで放置してきた思考のあれこれを、ここで成仏するだけの内容です。閲覧注意。
↓第一弾
りんごの呪い
先日、スマホを変えた。長らくAndroidユーザーだったが、仕事でiPadを使うこともあり、ついにiPhoneデビューをした。
iPadを買ったときの「Apple製品をひとつ買うと、全部Appleに揃え
ショートショート:三日月ファストパス
三日月ファストパスは売り切れていた。
乗ってしまえば宇宙までひとっとび。一瞬の、孤独な旅。あまりの速さに、事故は絶えない。黒い噂の多い民間企業が開発した宇宙船のチケット。
『速さに耐えられず、宇宙船ごとバラバラになる可能性があります…』
そんな内容の同意書にも、判をおしたのに。そもそも、それが本望なのに。
「あのう、一般的なチケットならありますが」
受付の青年がおずおずと言った。悪名高い
ショートショート:突然の猫ミーム
昔むかしの話で御座います。
時は令和の初め。この国で奇妙なものが流行りました。
猫が踊ったり、説教したり、頭を抱えたり。猫の動画を使って、自身の体験を面白可笑しく紹介していたようです。
猫が好きなお国柄ですから、そういうものも流行るでしょうし、皆一過性のブームだろうと悟りつつも楽しんでいました。
そのうち「我々、ネット民の味方ですよッ」とでも言いたげな企業がテレビCMに取り入れたことから人々は
超短編小説:夢を見ていた。
ショッピングモールの不自然な空間に何があったのか思い出したのは、買い物を終えて店を出てからだった。
あそこには昨日まで、雛人形が飾ってあったのだ。まだ三月の四日だが、もう片付けたのか。頭に浮かぶあの空間が寂しい。
「私ね、雛人形はできるだけ立派なのを飾りたいの」
昨日までの記憶と紐付けられたのか、もっと昔の記憶が蘇ってきた。あの子の屈託のない笑顔と明るい声。
「もし私たちの子どもが女の子だ