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エッセイ・コラム

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#日常

新500円玉が使いづらいことを嘆いていた芸人がいる

新500円玉が使いづらいことを嘆いていた芸人がいる

新紙幣が3日から発行された。1万円に渋沢栄一、5千円に津田梅子、千円に北里柴三郎という顔ぶれである。個人的には津田梅子よりも樋口一葉のほうが好きだが、まあそれはどうでもいい。
新紙幣をありがたがってもらいに行く人がいるけれども、そのうち手には入るのでは…と私は考えてしまう。流行の最先端を走ったり、それについていくようなアーリーアダプターにはなれないのだろう。

日常生活でお金を使う機会でいうと、自

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白米のような毎日を

白米のような毎日を

この間銀座に行った時、「名探偵コナン」のオープニングなどで知られる倉木麻衣さんのデビュー25周年を記念した展示会がやっていた。

デビュー25周年ということは、当たり前だが歌を歌い続けて25年ということでもある。「歌う」という、同じことを繰り返してきたのだ。クリエイティブな世界に長らく身を置き活躍を続けるのはそれだけですごいことである。

翻って私たちの人生を考えてみると、同じことをただ機械のよう

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人生をどう生きるべきかーー答えは自分の中にある(と思う)

人生をどう生きるべきかーー答えは自分の中にある(と思う)

2年ほど前に鬼籍に入った石原慎太郎氏の「『私』という男の生涯」という本を読んだ。
この作品は死後に発刊されるものとして書き下ろされた本なのだという。それだけに氏が死に刻一刻と近づくなかでどのように死を眺めてきたのかをうかがい知れる本で、なかなか興味深かった。

本のはじめの方に「自分を忘却してしまって死ぬのだけは嫌だ。そんな風に終わる人生なんぞ、結局虚無そのものではないか。忘却は嫌だ。何もかも覚え

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面白くないと感性は枯渇する~普通の人生に抵抗してみよう~

面白くないと感性は枯渇する~普通の人生に抵抗してみよう~

社会人になりたてのころだったか、長らく付き合いのある友人と話をしていたとき、「社会人になってみて、少しずつ自分が普通の人間なのだと気づき始めた。そして、そういう面白いもの、凄いものを持っているひとは、俺にそれを話してほしい、見せてほしいと思うようになった」と語ってくれたことがあった。
なんとなくだが、当時の私も首肯するところが多かった。

大人になっていくなかで、自分はつまらなくて、普通の平凡な人

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むずむずを大切に

むずむずを大切に

わからないことがあると、私はむずむずする人間である。
中学くらいのころだったか、「駿台模試」というものがあった。
これが爆裂に難しくて、特に数学とかだと30点くらいしか取れないのだが、たびたびむずむずして集中力が途切れてしまうことがあった。
だからきまって、むずむずがあると点数が悪かった。

いまでも、このむずむずがある。
英語を読んでいたりして、分からない文章に出会ったときなんかは典型的だろう。

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変わりゆく日常への一瞥は

変わりゆく日常への一瞥は

新型コロナで世の中が大きく変化したとはよく言われているが、振り返ってみるともう3年くらいすったもんだを続けながらいろんなものが定着したと思う。

多くの企業で自宅勤務やオンライン会議が導入されて久しい。
企業の上役はああでもないこうでもないとそれらしい理由を並び立ててオンラインミーティングや時差出勤などに抵抗を示してきたわけだが、コロナになってからあれよあれよという間に導入した。今や仕事の風景が変

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幼年期に新鮮だった日常は時とともに腐敗し、大人はそれに「退屈」という名をつけている

幼年期に新鮮だった日常は時とともに腐敗し、大人はそれに「退屈」という名をつけている

お稽古でやっているお茶で、時々子供を連れてやってくる人がいる。
和室でダッシュしたり寝転んだりドラを鳴らしたり、私のことをなぜか「せんせい」と呼んだりと自由気ままであるのだが、まあそれはそれでかわいいし良いかと思いながら適当にお稽古をしている。

フランスの哲学者であるジョルジュ・バタイユはこんな言葉を残している。

日常を単なる退屈にせず、ただ幼い少年少女のごとく鋭いアンテナを張り続け、平凡な何

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2022年7月9日の「最も大きな、横書きの、黒地に白抜きの見出し」

2022年7月9日の「最も大きな、横書きの、黒地に白抜きの見出し」

新聞においては「見出し」、いわゆるタイトルが重要だ。
わかりやすくいえば、シンプルに見出しの文字がでかいとそれだけニュース価値も大きい。
さらにいうと横書きの見出しは、特にニュース価値が大きい。
もっというと黒地に白抜きだと、かなりド級のニュースである。

これを組み合わせると「最も大きな、横書きの、黒地に白抜きの見出し」が新聞における最大のニュースバリューの表現ということだ。

私は記者としてこ

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