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2023年3月の記事一覧

モモレンジャーの思ひ出

モモレンジャーの思ひ出

こないだジャッキーチェンの『ベスト・キッド』という映画を見たんだけど、暖かみのある良い作品だった。

いじめられっ子がジャッキーにカンフーを教えてもらって強くなるという話で、舞台は北京市内ということになっている。しかし、トレーニングの最中に、万里の長城をランニングするシーンがくりかえし映る。

北京から万里の長城までバスで片道2時間かかるそうなので「脚力を鍛えるためだけにそこまで行くわけないだろ!

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『最後にして最初の人類』について

『最後にして最初の人類』について

ときどき思うことがある。
アートとは、電波に乗せたメッセージを宇宙へ向けて発信するようなことに近いのではないか、と。

そのメッセージは、宇宙の向こう側にいる何者かに届くかもしれない。しかし永遠に虚空を飛び続けるかもしれない。

そういう電波を発信しているような映画に今日出会った。映画というよりアート・フィルムである。

『最初にして最後の人類』(2021)

昨年、渋谷のアート系シアターでひっそ

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映画についてモヤモヤすること

映画についてモヤモヤすること

『スティルウォーター』という映画を見た。すぐれた作品として評判が高いし、その通りだと思う。

だれにでも勧められるヒューマニズムあふれる良い作品だし、その上カメラマンがタカヤナギ・マサノブという日本人なのもよかった。群馬県出身の東北大学卒業だそうだ。

武蔵美でも多摩美でも日芸でもなく、東北大学文学部というむさくるしいところを出ても、本気になればハリウッドの一流カメラマンになれるというところを示し

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世間は広いな・・

世間は広いな・・

ネットを読んでいたら、「WBCの地上波の視聴率が高い」という記事が出ていた。

日本戦は5試合連続40%超えで、イタリア戦が48%だったそうだ。野球中継全体としてもなんと歴代2位で、

のだそうである。1994年といえばまだGoogleが影も形もなかったころで、そのころの野球中継に匹敵しているわけだからすごい。

ちなみにテレビ全体での最高視聴率は、1963年の第14回NHK紅白歌合戦で81.4%

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そんな「昭和」のことは知らない

そんな「昭和」のことは知らない

モロ昭和

ある時期から急に「昭和」ということばが古臭いというニュアンスで使われ始めたことがあったでしょう。あれはいつごろのことだったのかな。

それまで、ぼくにとっての昭和とは、平成や令和のような1つの元号にすぎなかったし、もっとも身近に感じる元号だった。

祖母は大正生まれで、祖父は明治生まれなのだが、子どもの頃、大正とか明治ときくととても大昔のことを言われているような、とおい気分になったもの

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生きやすい時代が来た

生きやすい時代が来た

ふとどうしようもなく怪談を求めてしまうときというのがあり、今がその時だ。どうしようもなく怪談を求めてしまう時というのは、心がザラついているときである。

ただし怪談ならどんな怪談でもいいというのではない。ぼくが怪談を求める時の怪談とは「真の怪談」であり、真の怪談とはすなわち

のことである。

怪談の本質

ここでちょこっと怪談について語らせてもらうなら、そもそも怪談とは超自然的な現象のように思わ

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「好き」にはとげがある

「好き」にはとげがある

香水にはイヤな臭いが混じっている

何度も見たくなる映画に出会うのは、僕の場合、人を好きになるのとちょっと似ており、あとあと深く好きになる人というのは初対面ではあまりいい印象を受けていない。

香水の中には嫌な臭いが混じっているのだというけど、アレに近いかもしれない。

スカトールというのがその物質で、スカンクの匂いとして知られる強烈な汚臭なのだが、香水にほんのわずかにまぜると、他の匂いを引き立て

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クセの強い映画『ロッキーホラーショー』

クセの強い映画『ロッキーホラーショー』

「クセが強い」という言葉がある。人の性格について使われることが多いが、クセの強い食べものなどという使い方をされることもある。

音楽にもクセの強い音楽とそうでもないものがあり、映画にもクセの強い映画とそうでもない映画がある。

だいたいクセの強い食べ物というのは、はじめてたべるときはあまりおいしくないのだが、ハマると抜けられない。一見さんを拒絶するようなところがあり、、ハマるとリピート率が高くなる

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青二才なのかそれともジジイなのか

青二才なのかそれともジジイなのか

ぼくら現代人は、江戸時代でも鎌倉時代でも、だいたい全部、

ということで、ざっくりとまとめてしまうことがおおい。しかし、江戸時代の人々からすれば、鎌倉時代というのは500年以上前のはるかな昔だし、そもそも江戸時代だって250年以上続いたわけだから、幕末のころの人々から見れば、徳川家康というのははるか大昔の人だったといえる。

一口で「昔」といっても、いろいろとあるのである。

ぼくは現在50代で、

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映画の未来

映画の未来

90年代に足しげく通っていたミニシアターがあるんだけど、すでに閉館している。シネマ1とシネマ2という2部屋あって、1のほうが席数が95席で2が63席だった。

とにかく狭かったという印象が強い。席数はいまネットで調べたんだけど、63席なら1列10席としてもたった6列しかないわけで、小会議室くらいの広さしかなかったし、画面のサイズも小会議室のプロジェクター程度だった。

それでもタランティーノの『レ

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