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詩 短編

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心情を詩に表わしました。 辛い気持ちを抱える方に。 勇気と笑いを持ちたい方に。
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#小説

魔女狩りしましょう。焼きましょう。

魔女狩りしましょう。焼きましょう。

魔女狩りしましょう。
楽しいね。

神に逆らう悪い魔女。
たたいてけって血まみれにして、
しゃべれなくなったら罪状認否。
言いたいことはないですか?
のどは血まみれ、口は腫れあがり。
言いたいことはないですか?

こいつこんなことしたんです
本当かどうかは関係ない。

こいつは魔女だから当たり前。
どうせ焼くからどうでもいい。

魔女を焼きましょ。楽しいな。
みんなで楽しむバーベキュー。
だって焼

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シダフィエルの嘆きールシフェルさまへ(再掲加筆)

シダフィエルの嘆きールシフェルさまへ(再掲加筆)

見えないままがよかった。

触れるものを感じなければよかった。

声を聞かなければよかった。

何も知らなければよかった。

私をそのままにしておいてほしかった。

滅びを願うあの方の心が分かる。

どうせ失う愛に惹かれ、

苦しむ「女」をいたわった故に、

己の全てと共に神の愛を失って、

殺せと言う願いすらも聞き入れられず、

永遠に至る穢土の支配を命じられた。

残虐のすべてを引き受けて、

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たのしいかめむしの会

たのしいかめむしの会

私は人間で唯一、「たのしいかめむしの会」に入会している。

入会者特典として、ときどき「香り(臭い)セット」が届けられる。

先日のテーマは「冬の山、木の葉に隠れての寝屁」だった。

通販のお知らせもあるが、人間が購入できるものは少なくて、大体

「極寒における冬眠用クヌギの葉」とか、「クワガタから逃れる香り」とかだ。

クワガタはかめむしを狙わないにも関わらず、彼らはかぶとむしではなく、クワガタ

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山ペンギン 22 コタツにて

「コタツの季節よねー」

今、オレは冷ストッカーにビールやジュースの補充をしている。

「そうですね。暖かいものが恋しいですね。」

「コタツって何?」

そう言えば、イマドが来てからコタツを使ったことがないな。
普段使っているテーブルが本当はコタツなのだが。

「コタツっていうのはな、オオタツの子供なんだ。」

補充で忙しいオレが適当に答える。

ばかじゃないの・・という目でイマドがオレを見てく

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理系による理系のための情緒のない詩

理系による理系のための情緒のない詩

白衣な人生が送りたかった。

でも、来ている白衣なんて、白くない。

三角ビーカー洗ってて、振り洗いしてたら、角を当てて割った。
底でうずまく水を見てたら、深紅じゃなくて、シンクの位置を見誤った。

ああ、フラスコでなくてよかった。
ああ、基質溶解中でなくてよかった。
自分を慰める言葉がこんなことしか出ない。

フラスコもやっぱり割っちゃった。
必要ないけど、栓が捨てられないの。
だって、すり合わ

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山ペンギン 21 探し物

山ペンギン 21 探し物

イマドが部屋をひっくり返している。

何かを探しているのだろう。

「何探してるんだ?」

どうも、大正琴の部品のようだ。
忘れられているとは思うのだが、やつは大正琴でヴィヴァルディを弾く。

「ピックが無くて・・・・」

いや、お前のツメの方がするどいだろう。

「ピックで弾かないと音が違うから。」

「オレのギターのピックじゃだめなのか?」

何を言ってるんだ・・・と言う目で見てくる・・。

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山ペンギン 19

山ペンギン 19

健診の季節が来た。

オレはバイトのつもりだが、結構勤務の頻度が高いせいか、健診受けるように言われた。

イマドは入職者健診だが、非常に不安だ…

「イマドさまー腹囲測定しますー」

どうみてもメタボだろ…

「75cmですね!」

羽毛のせいか!デカく見えるのは。

て言うか、看護師さん、絞り過ぎじゃないか…

測るとき…

「視力測定しますねー」

「下からお願いします。」とイマド。
視力に自

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山ペンギン 16 ブレスレット

山ペンギン 16 ブレスレット

イマドが最近、数珠をつくるのにはまっている。

いや、数珠とは言わないか。

パワーストーンをブレスレットにしている。

ご想像のとおり、しょっちゅう身につけても落としているが、
最近はバッテン、よく言えばクロスにして、ブレスレットをつけている。。

「運勢がくるんだって。」

そういうイマドは主にルチルクォーツを中心にしたブレスレットを組む。
金運しか望んでないだろ、お前。

オレもマネして作り

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山ペンギン 15 あるばいと

山ペンギン 15 あるばいと

イマドの仕事先の体育館が建て直しで、奴は仕事にあぶれている。

清掃の仕事と言っても奴のホバークラフト流清掃を必要とするのは広い体育館くらいだろう。

「オレ君、イマド君しばらくここで働いてもらえないかなあ。」

主任が無茶ぶりしてきた。

イマドに確認したら、時給関係なく働くと言う。

オレも大概のことには慣れてきたが、さすがにコンビニのような客の多い店で働くのはどうなんだ・・。

「まずはお試

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山ペンギン 13 こんびに再

山ペンギン 13 こんびに再

売れない商品はやっばりできる。

厳選して陳列しているのがコンビニストアではあるのだが。

最近はそういう商品を買い込んで、

オレの部屋に主任が飲みに来ることが多くなった。

イマド目当てなのか、オレ目当てなのか、不良在庫の処理目当てなのかは分からないが、

居酒屋などに行けないことも一つの理由だろう。

「オレくん、これ飲みなさい!!」

もう出来上がっている。

「大体さーー。コンビニなんて

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山ペンギン 11 ふるさと

山ペンギン 11 ふるさと

イマドとイマドに出逢った山に来た。

捨てに来たわけじゃない。

主任も今回同行している。

「イマドくんのふるさとって、本当はどこなのかしらねー。」

イマドはふるさとの意味が今ひとつピンと来ないようだ。

「生まれた場所って言われても、生まれたときの記憶なんてないでしょう?」

そりゃそうだな。

でも、お前にも親ってものがいるんじゃないのか…?

ただトリだからな…

卵で移動してきてたら分

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山ペンギン 7 池の女神

山ペンギン 7 池の女神

突然だが、オレは主任とイマドと共に山のぼりをしている。

「オレ君って、山のぼりするの結構得意なの?」

得意というわけではなかったが、主任とでかけたいオレは一もニもなく飛びついた。

「はい!山のことなら任せてください!」

何を言ってるのか自分でもわからない。

「そう。あのね、私ね?」

「はい、どうしました。」

「海より山の方が好きなの。」

それだけの理由かい、と思ったが、口には出さな

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山ペンギン 5 こんびににて

山ペンギン 5 こんびににて

オレはコンビニで働いている。

他にも仕事はあるが、コンビニでいる時間が一番長いかな。

ここは複数店を束ねる「店長」がいるのだが他の店舗にいるために、
代理としての「主任」がいる。
その人は女性だ。

オレより2つ上。

実はちょっとこの人が気になっている。
それもこの店で長く働いている理由だ。

「オレ君。今日は塩焼き鳥を推しにしようと思うのね。」

「塩焼き鳥っすね・・。」

推しの日はあの

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山ペンギン 2 ひろいものの蚕

山ペンギン 2 ひろいものの蚕

イマドが蚕を拾ってきた。

某まじないを知っているオレは問い詰めたが、財宝は近くになかったようだ。

飼うと言って聞かない。

「クワが無いと飼えねえぞ」

と言ったら、お約束通り鍬を5本買って帰ってきたので、そのうちの1本でぶん殴って、後の4本を返品に行かせた。

最近イマドは腹を使ったホバークラフト状の移動で体育館などの掃除を請け負い、小銭を稼いでいる。

家にはなぜか「3780円」を毎月入れ

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