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山ペンギン 16 ブレスレット

イマドが最近、数珠をつくるのにはまっている。

いや、数珠とは言わないか。

パワーストーンをブレスレットにしている。

ご想像のとおり、しょっちゅう身につけても落としているが、
最近はバッテン、よく言えばクロスにして、ブレスレットをつけている。。

「運勢がくるんだって。」

そういうイマドは主にルチルクォーツを中心にしたブレスレットを組む。
金運しか望んでないだろ、お前。

オレもマネして作り、バンドの演奏時に披露したが、
石の色どりのせいか、なぜか観客が神妙な顔で演奏を聞いており、

なんとなく自分で作るのはためらうようになった。

オニキスをメインに使ったのがまずかっただろうか。

イマドの作るブレスレットは意外に評判がよく、

通販でもそこそこ売れているようだ。

どうして、こう商才というか、金儲けというのがうまいのか・・。

「色彩感覚なのかな。」

主任が感心している。

彼女も一つ、イマドからもらったようだ。

彼女のイメージカラーの水色を生かしたブレスレット。
コンビニに来るお客さんからも人気はあるようだ。

オレが作ってあげたかったが・・。
本当に数珠になりかねないので控えることにした。

「オレくん・・黒い石好きだもんね・・。」

主任も遠まわしに遠慮しているようだ。

その主任がイマドに

「恋愛運のあるブレスレット欲しいな?」

とねだっていた。

え、どういうことだ?

オレは穏やかでいられない。

誰か好きな人いるのか・・・?

イマドはこともなげに、ローズクォーツをメインにオレから見てもかわいいブレスレットをつくって主任に渡した。

「イマド君!!ありがとう!!」

焦るオレ。

「弟に渡すわね!!」

ちなみに主任の弟は身長190cm、体重95kg、

柔道の猛者だ。

オレに言うことは何もなかった。

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