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山ペンギン 7 池の女神

突然だが、オレは主任とイマドと共に山のぼりをしている。

「オレ君って、山のぼりするの結構得意なの?」

得意というわけではなかったが、主任とでかけたいオレは一もニもなく飛びついた。

「はい!山のことなら任せてください!」

何を言ってるのか自分でもわからない。

「そう。あのね、私ね?」

「はい、どうしました。」

「海より山の方が好きなの。」

それだけの理由かい、と思ったが、口には出さない。

「あのね、確かあのペンギン君、オレ君と一緒に住んでるのよね?」

なんで急にそんなこと。

「私、彼がね・・」

何を言う気だ・・イマドがそれほど気になるのか?

「斜面をどれだけのスピードで滑り降りるのか知りたいの。」

もう、何をどこからどう突っ込んでいいのか全く分からないが、

とにかくイマドに最初に出会った山に一緒に行くことにした。

イマドに彼女の意向を告げ、フィッシュフライ、7つで手を打ち、

斜面を腹ばいで滑り降りてもらうことにした。

すごいスピードで滑り落ちていくイマド。

時速は80km/hくらいか・・・?あ、

「ぼちゃん!!!」

下に池があったようだ。

「イマドー!!!」

急いで降りていくと、池の中から女神があらわれて、

「あなたが落としたのは金のイマドですか?それとも銀のイマド?」

オレは思った。この期を逃すまいと。

「いいえ、何も落としていません。」

知らん顔して帰ろうとしたら、

「あなたは欲のない方ですね。その心に打たれました。」

と言って、金銀、そしてオリジナルのイマドをオレに渡した。

主任はそれを見ていて

「心が澄んだ人って、すばらしい贈り物をもらえるのね。」

と超絶天然発言した。

3匹(羽)に増えたイマドをオレは・・・・

どうやって養っていくんだろう・・と途方に暮れていたら、

3匹(羽)のイマドは重なったかと思うと、元のイマドになった。

「さあ、帰ろう。」

イマドが言った。

あのな、お前のふるさとはこの山じゃないのか?

理由もなくご機嫌な主任を見られたことだけが、オレの救いだった。

フィッシュフライは主任が4つ、オレが3つ買ってイマドに渡した。

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