ヴェレゾン La Véraison
極上の果実が発酵を夢見る時節
採リ残された葡萄の葉先
ポロリと落ちる朝露
末広がりの畝は規則正しく
項を掬う風が
耳元に髪を泳がせる
変わりたい
そうポツリと言った
君の落雷を
見届けたかった真夏の
入道雲はもう
深紅のイヤリングを
飽和状態の言葉のモルに押されて
君の秘密を待っていた
楢の木片は
かっちりと箍に嵌まって
円周を囲う
発泡の上昇はひたすらに
時の流れに
任されている
葡萄という実を
君はまだまだ知らない
好きな色とは
憧れの果て
笑窪をほんのり染める
一輪の
花のような
残像
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