しんしんしん。

それでも私には文芸がある。

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記事一覧

読み人語り 〜5月の読書記録として〜

(投稿おっっっっっっそ!!) 気ままに本を読むのが好きですが、大学がはじまるとそうもいきませんね(課題図書だけで一日が終わる)。 ぼくの「これよかったよ!」がみ…

味玉をのせるということ

ラーメンといえば味玉よね。小生も麺類を食べる時は迷わずトッピング! 食券機に100円多く入れて「味玉」と書かれた券が出てくると思わずウキウキするもの(ちょっと贅沢し…

月の花

月の花のどれほどか 人の涙を糧とするのは 飛んでいく赤い風船 老婆は孫娘の背中から羽を折った 老いることのない犬が 朽ちゆく飼い主の腕から注射針を抜いた あえて無意味…

読み人語り〜4月の読書記録として〜

4月が春休みだなんて、長いですね。 友人たちと過ごすことのできない時間は、どうしても本と過ごしてしまいます。これも一つの対話でしょうか。 4月もぼちぼち本を読んで…

短歌③

長いことひとつであったような顔をして ショーウィンドウの前二人はふたつ 殺したり死んだりしなきゃ何してもいいよ僕たち神さまだから <雪/さくら>は <さくら/雪>…

私的詩論 〜 サルトルとの邂逅を祝して

*このノートは、サルトルをかけらほどにも読んだことのない人間が「サルトルっぽいことを考えていた」ことを記すために書き留めたものです。 詩、というか私について 一…

写真を撮らん。

写真を撮らん。びっくりするくらい撮らん。カフェでおしゃれな料理が運ばれてきて他のみんながスマホを取り出して撮影しよっても、僕はポーっと料理を眺めよる。半年間くら…

読み人語り〜3月の読書記録として〜

こんばんは。お体にお気をつけくださいね。 浮かんできた文字列をそのまま入力してみました。 そのくらい書くことが浮かばぬ夜です。 3月もぼちぼち本を読んでみたので、…

短歌②

壊れたものは壊れたままにしておく朝 コートを羽織りサンダルを履く ありがとうの「あ」と「り」と「が」と「と」と「う」のあいだに一粒ずつの涙落つ 生まれるまでにや…

読み人語り〜2月の読書記録として〜

色々と本を読んでいると、時として人にも紹介してみようかと思うものもあります。 というわけで、毎月10冊ずつその月に読んだ本を紹介していこうかと思います。怠惰に怠惰…

短歌①

ヒールで背伸びして見えたあなたの髪に花が降ちるの 所さんがダーツで打ったその街がどうかご無事でありますように 冬に肩寄せ合うシルエットのそのためにあなたはいるの…

友部正人「一本道」をよむ

友部正人さんは日本を代表するフォークミュージシャンの一人… というとこまでは僕も知っていましたが、それほど深く考えたこともなく。 ある日、図書館で詩集を漁ってい…

「特別である」ことは特別ではないのかも

「かけがえのないあなたが好き」 「あなたは特別だから」 僕は人を好きになった時にそう思ってきました。 まして、恋愛感情を抱いた人、恋人ならなおさら。 「自分にはこ…

読み人語り 〜5月の読書記録として〜

読み人語り 〜5月の読書記録として〜

(投稿おっっっっっっそ!!)

気ままに本を読むのが好きですが、大学がはじまるとそうもいきませんね(課題図書だけで一日が終わる)。

ぼくの「これよかったよ!」がみなさんの「これいいね!」になると嬉しいです。

1.ゲーテ『若きウェルテルの悩み』
 ゼミの先生がドイツ文学者なのでちょっと読んでみようかなと思ったら、これが面白くって!著者の体験を元にしているようだけれど、青年ウェルテルの失恋を主人公

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味玉をのせるということ

味玉をのせるということ

ラーメンといえば味玉よね。小生も麺類を食べる時は迷わずトッピング!
食券機に100円多く入れて「味玉」と書かれた券が出てくると思わずウキウキするもの(ちょっと贅沢しちゃったぞ!って気分)。

でも、この前ふと思ってしまった。

「卵一個に100円って高くね?」

そしてこれを思ったのとコンマ一秒の差で

「いやいや、違うんよ!これは味玉なんよ!」

と自分に言い聞かせて事なきを得たわけやけれども、

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月の花

月の花のどれほどか
人の涙を糧とするのは
飛んでいく赤い風船
老婆は孫娘の背中から羽を折った
老いることのない犬が
朽ちゆく飼い主の腕から注射針を抜いた
あえて無意味なものどもに
人はやさしくキスをする

月の花は枯れ果てて
私は涙も失った
そこそこに完成させられた四肢の動物に
私はフォークをかかげて見せた
人類の滅んだ地球に人工衛星が
次の開花時期を知らせた
いっそ無価値なものだから
私はそれに

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読み人語り〜4月の読書記録として〜

読み人語り〜4月の読書記録として〜

4月が春休みだなんて、長いですね。

友人たちと過ごすことのできない時間は、どうしても本と過ごしてしまいます。これも一つの対話でしょうか。

4月もぼちぼち本を読んで見たので、紹介しますね。遅いぞ!(すでに5/11)
ではでは。

1.岡崎京子『pink』
 主人公ユミちゃんの愛と資本主義の物語。間違いなく残酷なのだけれど読後感は悲しみでもない。ユミちゃんにとっての「幸福」が一貫して一つの世界を作

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短歌③

長いことひとつであったような顔をして ショーウィンドウの前二人はふたつ

殺したり死んだりしなきゃ何してもいいよ僕たち神さまだから

<雪/さくら>は <さくら/雪>の <下/上>で
永遠に見ぬ <春/冬>を想う

出席簿の○は生存の印 ハンカチを忘れた僕に△がつく

「久しぶり」「ちょっと待ってよ」「いやこれは」「ああすみません」「人違いです」

私的詩論 〜 サルトルとの邂逅を祝して

*このノートは、サルトルをかけらほどにも読んだことのない人間が「サルトルっぽいことを考えていた」ことを記すために書き留めたものです。

詩、というか私について 一般的な人々が詩に触れるというのはどういう時だろうか。文芸書を日頃から読むという人は少ない。まして詩を読む人はなおさら。そしてふとしたことから詩の話題が出ると、決まってこういうことを言う人がいる。

「詩は何を言ってるのか分からない」
「何

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写真を撮らん。

写真を撮らん。びっくりするくらい撮らん。カフェでおしゃれな料理が運ばれてきて他のみんながスマホを取り出して撮影しよっても、僕はポーっと料理を眺めよる。半年間くらいスマホを持っちょらんかったのもあるけれども、これはもっと根深いものやと日頃から感じちょって、やからこれを書いてる。

そもそもみんなはなんで写真を撮るっちゃろうか。誰かに聞いてみたことはないけど、多分それは「思い出」のためやと思う。もちろ

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読み人語り〜3月の読書記録として〜

読み人語り〜3月の読書記録として〜

こんばんは。お体にお気をつけくださいね。

浮かんできた文字列をそのまま入力してみました。
そのくらい書くことが浮かばぬ夜です。

3月もぼちぼち本を読んでみたので、10冊ほど選んで紹介しようかと思います。ご自宅にこもる時間も長くなるかと思いますので、よかったら参考に。

1.池田達也『しょぼい喫茶店の本』
 「カフェとか本屋さんとか開きたいな、」と思っていたときに渋谷のブックカフェで出会ったこの

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短歌②

壊れたものは壊れたままにしておく朝 コートを羽織りサンダルを履く

ありがとうの「あ」と「り」と「が」と「と」と「う」のあいだに一粒ずつの涙落つ

生まれるまでにやっておきたいこと100選 1.これが母の声と知る

愛せるものは全て愛してしまったもので あなたを愛しなおしてみたい

「またな」でも「じゃあね」でもなく「さようなら」置く 羽田空港国際線ターミナル

読み人語り〜2月の読書記録として〜

読み人語り〜2月の読書記録として〜

色々と本を読んでいると、時として人にも紹介してみようかと思うものもあります。
というわけで、毎月10冊ずつその月に読んだ本を紹介していこうかと思います。怠惰に怠惰を重ねて本日2月の読書記録をつけていきます(引っ越しが忙しかったので見逃してくださいまし‥‥)

1.鹿野政直『近代日本思想案内』
 明治初期から戦後まで日本に起こった思想を体系的にまとめた書籍。網羅する内容は啓蒙思想や社会主義、フェミニ

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短歌①

ヒールで背伸びして見えたあなたの髪に花が降ちるの

所さんがダーツで打ったその街がどうかご無事でありますように

冬に肩寄せ合うシルエットのそのためにあなたはいるの抱き寄せていま

図書館の本に遺書でも挟んだら誰かが泣いてくれるのかしら

「好きなことないの?」と 「好き」のメタファーとしてのあなたに言われ

友部正人「一本道」をよむ

友部正人「一本道」をよむ

友部正人さんは日本を代表するフォークミュージシャンの一人…
というとこまでは僕も知っていましたが、それほど深く考えたこともなく。

ある日、図書館で詩集を漁っていると『友部正人』という名前が目に飛び込んできたので、手に取ったのです。半ば好奇心から手に取り、そのままお借りしました。

そしてよむ。あまりに印象的な、不意打ち的なセンスに、こうして文章を書いてみるほどには圧倒されたわけです。

読んです

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「特別である」ことは特別ではないのかも

「かけがえのないあなたが好き」
「あなたは特別だから」

僕は人を好きになった時にそう思ってきました。
まして、恋愛感情を抱いた人、恋人ならなおさら。

「自分にはこの人しかいない、失いたくない。」

恋するたびにそう思うんです。
でも、その恋が実らなかったり、別れがきてしまったり。

そうしてまた違う人を好きになる。

「これって変じゃない?不誠実じゃない?」

昔はその人しかいないと思っていた

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