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読み人語り〜3月の読書記録として〜

こんばんは。お体にお気をつけくださいね。

浮かんできた文字列をそのまま入力してみました。
そのくらい書くことが浮かばぬ夜です。

3月もぼちぼち本を読んでみたので、10冊ほど選んで紹介しようかと思います。ご自宅にこもる時間も長くなるかと思いますので、よかったら参考に。

1.池田達也『しょぼい喫茶店の本』
 「カフェとか本屋さんとか開きたいな、」と思っていたときに渋谷のブックカフェで出会ったこの本。「えもいてんちょう」こと池田さんが就職活動に挫折し喫茶店を経営するまでの話。大きな奇跡やたゆまぬ努力、というわけでもなくほんの小さなしょぼい一歩が彼の日々を変えていく、光に満ちたストーリー。
これ、近所なんで行こうと思ったその日に!!「閉店」しちゃいました〜笑(だからって失敗とかじゃないけど)。

しょぼい喫茶店の本 - 百万年書房
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784991022173

2.山田かまち『山田かまちのノート(上)』
 自由、愛、音楽への思いがつまった少年のノート。17歳で天逝した山田かまち少年が詩やデッサンで残そうとした日々の断片は、今を生きる私たちが読んでも深く心の底に降りてくるものがある。

筑摩書房 山田かまちのノート(上)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480028143/

3.川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』
 人と関わることに自信を持てずひとり校正の仕事に打ち込む冬子が、ふとしたきっかけで出会った物理教師を名乗る男性・三束さんに恋をする物語。大人のロマンチックな恋というよりは少女の初恋のような苦々しさが残る。ありとあらゆる描写があまりにも繊細に描かれる。

すべて真夜中の恋人たち - 講談社
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480028143/

4.西加奈子『窓の魚』
 初めて読んだ西さんの作品。温泉旅館にやってきた2組のカップルの一夜を描いた小説。それぞれに欠落や闇を抱える4名の視点から一夜の出来事が描かれる形式(桐島部活やめるってよみたいな形式ね)だが、面白いのが、互いが互いのことを全くと言って良いほど理解していない。章ごとに擬似的に登場人物の視点で読むだけでは、なかなか掴めない作品。

窓の魚 | 新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/134956/

5.小川洋子『薬指の標本』
 人々が思い出の品を持ち込み、そして二度と訪れることのない標本室で働くこととなった女性と標本技術士である弟子丸氏の関係を描いた作品。「私」が自身の失われた薬指を標本にすることで愛をとげようとする、人によっては不気味とも感じるであろう、恋愛の痛みを描いている。
あと一編の『六角形の小部屋』もおすすめです。

薬指の標本 | 新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/121521/

6.最果タヒ『コンプレックス・プリズム』
 詩人として有名な最果タヒさんのエッセイ集。高田馬場の芳林堂にサイン本が入っていたのでつい購入。自身に根付く価値観がナニモノなのか、なぜ傷を負っているのかを飾りっ気のない言葉で探り当てるようにして書いている。エッセイでありつつその言葉のチョイスは彼女の詩とも重なり合う。

コンプレックス・プリズム | 大和書房
http://www.daiwashobo.co.jp/web/html/prism/backnumber.html

7.多和田葉子『エクソフォニー
 ドイツ文学者として、日本語を母国語とする者として、多和田氏が言葉を包む世界を感じ取ったエッセイ。「母語の外に出る」ことを意味するエクソフォニー。翻訳を志す人はもちろん、誰が読んでもハッとさせられるはず。

エクソフォニー - 岩波書店
https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b264065.html

8.北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』
 フェミニズム批評を学ぼうと購入し、積ん読から引っ張り出した本。「アナ雪」など身近な作品を題材にフェミニズムとは、批評とは何かを北村氏の感じた違和感を基点に考えたもの。大変読みやすく大学一年生の必修にも向きそう。

お砂糖とスパイスと爆発的な何か | 書肆侃侃房http://www.kankanbou.com/books/jinbun/jinbun/0365

9.東直子 佐藤弓生 千葉聡・編『短歌タイムカプセル』
 3人の編者が未来に残したいと考える短歌を選りすぐって歌人ごとにまとめたもの。短歌の入り口としては最適!(とはいえ読むのに時間が…それくらい充実した内容!!)

短歌タイムカプセル | 書肆侃侃房
http://www.kankanbou.com/books/tanka/0300

10.水沢なお『美しいからだよ』
 第25回中原中也賞受賞作。彼女の詩の中では、人間とそうでないものの境界は容易に横断される。そしてそれがほとんど違和感を感じさせないばかりか、境界そのものを疑わせる。戯曲のような会話調で進む詩は私たちにまっすぐに伝わってくる。ぜひ。

美しいからだよ | 思潮社
http://www.shichosha.co.jp/newrelease/item_2489.html

今回は以上です。
お付き合いくださりありがとうございます。
ご自愛ください。