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フランス語(等の)方へ

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主にフランス語・フランス語学に関連する記事を放り込んでいます。
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#習慣にしていること

deuxièmeとsecond【フランス語の方へ:1】

小手先の記事もちょっと書いてみよう、という試みです。


フランス語には、「2つ目の」と訳しうる形容詞がふたつあります。deuxièmeとsecondです。前者は基数詞deuxに序数詞化標識-ièmeをつけたものです。後者はラテン語secundusに由来します(なおsecundus自体は、sequi「付き従う(suivre)」という意のラテン語の動詞と、根のところでは繋がっているようです。Oxf

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【254】目標への最適化+強制的な「遊び」で突き抜ける

【254】目標への最適化+強制的な「遊び」で突き抜ける

今日は語学の訓練の方向にかこつけて、物を学ぶこと全般に対して言えそうな方法論、ないしは態度というものについて少し述べてみたいなと思います。

※この記事は、フランス在住、西洋思想史専攻の大学院生が毎日書く、地味で堅実な、それゆえ波及効果の高い、あらゆる知的分野の実践に活かせる内容をまとめたもののうちのひとつです。流読されるも熟読されるも、お好きにご利用ください。

※記事の【まとめ】は一番下にあり

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【239】「火の取り分」を決めることで、燃やしてはならぬものが見えてくる

【239】「火の取り分」を決めることで、燃やしてはならぬものが見えてくる

簡単には消し止められない火事があると、私たちは消防車が水を撒くことに期待するものだ、と言えるかもしれません。

とはいえそれは、もちろん歴史上ごく最近にできた期待であって、かつては必ずしもそうではありませんでした。

そんなことをとっかかりにして。

※この記事は、フランス在住、西洋思想史専攻の大学院生が毎日書く、地味で堅実な、それゆえ波及効果の高い、あらゆる知的分野の実践に活かせる内容をまとめた

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【238】型を無視する愚を説くフランスの作曲家の言葉

(今日は下のほうにフランス語演習がありますが、飛ばしていただいても問題ありません。)

「型破り」とか、「型無し」とか色々な言葉がありますが、私が「型」を重視しがちな人間であることを脇に置くとしても、どうやら「型」より実質が大切だという(それ自体は極めてまっとうな)考えが行き過ぎると、型など学ばなくても良い、というは発想に陥ることがあるようです。

とはいえもちろん、型は大事なのです。それがいずれ

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最上級表現に隠される「〜でさえ」の意味【フランス語の方へ:3】

最上級表現に隠される「〜でさえ」の意味【フランス語の方へ:3】

西洋語の形容詞や副詞の最上級表現は、単に「最も〜である」ことを指し示すばかりでなく、文脈によっては「最も〜な…でさえも」という、英語で言えばevenの意味を含むことがあり、これは解釈上極めて重要です。

『ロイヤル英文法』(新版)などには§161(1)に「譲歩の最上級」ということで次のような例文が載せられています。

The fastest rocket would not reach the n

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【175】答えが長くなることを恐れてはならない!たとえば、バカロレア

【175】答えが長くなることを恐れてはならない!たとえば、バカロレア

思考力を要する記述式の答案を書くべき試験の例としてよく引き合いに出されるのが、フランスのバカロレア(大学入学のための学力を測る試験)の、しかも哲学の試験です。

今回はこれによせて。

※記事の【まとめ】は一番下にありますので、サクっと知りたい方は、スクロールしてみてください。


バカロレアの哲学の試験には、テクストの抜粋を解説させる問題(explication)もあるというのに、どうしてか、

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【174】息抜きにフランス語を読めるようになった経緯から振り出される、あなたへのシンプルな問い

【174】息抜きにフランス語を読めるようになった経緯から振り出される、あなたへのシンプルな問い

外国語はどこまでも外国語ですが、外国語を読むことが息抜きになっている人種もいるわけで、それは私のことです。

今回はそういうことについて書いてみたいなと思います。

※記事の【まとめ】は一番下にありますので、サクっと知りたい方は、スクロールしてみてください。


研究をやっているとは言っても、息抜きで小説や教養書なども読みます。特にフランス語や英語やイタリア語で、研究にまるで関係のない通俗小説や

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