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フランス語(等の)方へ

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主にフランス語・フランス語学に関連する記事を放り込んでいます。
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2020年9月の記事一覧

assezは「十分に」?【フランス語の方へ:2】

辞書を引くと、副詞assezについては「十分に」という訳語が載せられていることが多く、これはこれでよいのですが、基本語であるだけに、簡潔な訳語だけではやはりうまく理解できないという場面が多くあります。

「十分に」とは言っても、「十分」とはどういうことでしょうか。「めちゃくちゃ」「とても」ということでしょうか。そうではありません。同じく程度を修飾するtrès「とても」とはもちろん違うことがあります

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deuxièmeとsecond【フランス語の方へ:1】

小手先の記事もちょっと書いてみよう、という試みです。


フランス語には、「2つ目の」と訳しうる形容詞がふたつあります。deuxièmeとsecondです。前者は基数詞deuxに序数詞化標識-ièmeをつけたものです。後者はラテン語secundusに由来します(なおsecundus自体は、sequi「付き従う(suivre)」という意のラテン語の動詞と、根のところでは繋がっているようです。Oxf

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【175】答えが長くなることを恐れてはならない!たとえば、バカロレア

【175】答えが長くなることを恐れてはならない!たとえば、バカロレア

思考力を要する記述式の答案を書くべき試験の例としてよく引き合いに出されるのが、フランスのバカロレア(大学入学のための学力を測る試験)の、しかも哲学の試験です。

今回はこれによせて。

※記事の【まとめ】は一番下にありますので、サクっと知りたい方は、スクロールしてみてください。


バカロレアの哲学の試験には、テクストの抜粋を解説させる問題(explication)もあるというのに、どうしてか、

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【174】息抜きにフランス語を読めるようになった経緯から振り出される、あなたへのシンプルな問い

【174】息抜きにフランス語を読めるようになった経緯から振り出される、あなたへのシンプルな問い

外国語はどこまでも外国語ですが、外国語を読むことが息抜きになっている人種もいるわけで、それは私のことです。

今回はそういうことについて書いてみたいなと思います。

※記事の【まとめ】は一番下にありますので、サクっと知りたい方は、スクロールしてみてください。


研究をやっているとは言っても、息抜きで小説や教養書なども読みます。特にフランス語や英語やイタリア語で、研究にまるで関係のない通俗小説や

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【178】「紺碧」の空の背後、制約条件の少ない中でフレキシブルに生きる

【178】「紺碧」の空の背後、制約条件の少ない中でフレキシブルに生きる

先日、「紺碧」であることを示す形容詞azureに関して、その語源を調べました。別にそれ自体の内容はどうでもよいのですが、改めて、こうしたいつでもどこでもできる・金のほとんどかからない活動(?)をやっているのはよいことだな、と思われたわけです。今日はそんなことについて。

※この記事は、フランス在住、西洋思想史専攻の大学院生が【毎日数千字】書く、地味で堅実な、それゆえ波及効果の高い、あらゆる知的分野

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【186】フランス語を話せないのにわざわざフランスに来るガッツを(少しは)見習いたい?

【186】フランス語を話せないのにわざわざフランスに来るガッツを(少しは)見習いたい?

郵便局に行ったところ、随分若いアジア系の学生が立ち往生していて、たまたま近くに並んでいた私に助けを求めてきました。

サングラスをかけていてマスクをしていても同じアジア系の人間と分かって親近感を覚えてくれたのか、英語で丁寧に質問してくれて、内容も思ったほど大したことではなかったので、久々に口にする英語でも問題なく応対できました。

互いの用事を終えて少し喋ってみると、彼女はフランスに来たばかりの留

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