与井杏汰

「よいあんだ」です。ショートショート的な短いストーリーを書いています。ちょっとした空き…

与井杏汰

「よいあんだ」です。ショートショート的な短いストーリーを書いています。ちょっとした空き時間で楽しんでいただける話を載せていきます。https://twitter.com/yoi_anda

記事一覧

迷宮エレベーター

 ターミナル駅前の商業ビル。エレベーターのドアが開くと、誰もいないその空間に向かって、デート中の2人は談笑を止めずに入り込んだ。 「知ってた? ここの地下レスト…

与井杏汰
3日前
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【雑文】 うらら

こんにちは。与井@少し眠いです。 春うらら、と書こうと思って、「うらら」って何だ? 他には山本リンダの歌詞くらいでしか見かけない単語。 と思いあたり。 うららの意…

与井杏汰
10日前
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幸運クーポン

「ねぇ見てこのアプリ」  電車の中で、佳美は手中のスマホをかざした。 「毎日、抽選で幸運が当たるんだよ」 「幸運? 何かと引き換えのクーポンじゃなくて?」  隣にい…

与井杏汰
2週間前
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【雑文】 春、新年度

なんとなく新年度は楽しいですね。 何かが変わっていくような、一新されるような「雰囲気」が好きです。 (実際はあまり変化がないとしても) 日本の場合、新年(1月1日)…

与井杏汰
3週間前
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トロッコ問題

 トロッコがレールの上を走る。トロッコには5人の子どもたちが乗っており、開放感と疾走感に歓声を上げている。レールの先には別の子どもが遊んでいる。子どもは耳が不自…

与井杏汰
1か月前
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【雑文】 現代に生きる幸せ

春が近づいています。 寒いながらも、季節は順調に進んでると思います。 さて、大谷選手と水原元通訳の件は気になりますが、今回の記事を書くきっかけは、大谷選手のこれ…

与井杏汰
1か月前
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夢の再生

「あなたは自分の見た夢を覚えていますか?」  そんな問いかけに、真治は「いえ」と答える。するとその男が妙なものを取り出した。 「こちらはまだ一般には販売していない…

与井杏汰
1か月前
15

1枚の似顔絵

 しばらく会えなくなるから、と彼女は包に入った板状の物を差し出した。 「これ、たまたま街で似顔絵屋さん見つけて、描いてもらったの」  僕は、包を開いて、中を見てみ…

与井杏汰
1か月前
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「リアルいいね」開発者の思うこと

*この物語はフィクションです。  世の中、SNSの普及で「いいね」流行りだ。  写真だろうと、文章だろうと、音楽だろうと、創作活動に携わる者は、いや、ただの思いつき…

与井杏汰
2か月前
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【雑文】 ドラマとかで見かける「時間」

現代人、余裕がない人、多いと思います。小生もそうです。 小生どころか、極小性、超極小生、などと進化しても良いくらい、時間や気持ちに余裕がない時もあります。 とこ…

与井杏汰
2か月前
17

判断力向上サービス

「あなたの判断力を高めます」  谷繁はSNSで流れてきた広告を何気なくクリックした。 「いつも迷ってばかりのあなた。あの時、ああすれば…と後悔の多いあなた」  そんな…

与井杏汰
2か月前
17

【雑文】 発想!の数珠つなぎ

何かを生み出そうとしている時ではなく、日常生活で、急に面白いことが思い浮かぶ事があります。それは創作のネタに限らず、ビジネス的なアイデアだったり、それ以外のこと…

与井杏汰
2か月前
14

【雑文】 2月?早くない?

2024年という新年が始まり、相変わらず時間に余裕の無い生活をしていると、気づいたら2月(しかも3日)。早すぎだろ、と思うのは私だけでしょうか。 節分、豆まき、恵方巻…

与井杏汰
2か月前
15

ラッキー・トレイン

 島村は今日も通勤電車に乗る。慣れた駅、慣れたホームから乗る見慣れた列車。ドアが開いて、いつものように車両中程へ進む。始発駅から離れたこの駅では、既に空席はなく…

与井杏汰
3か月前
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【雑文】 新年と干支

こんにちは。与井@自宅です。 note、続けて2年を超え、まだまだ創作の楽しさを感じていますが、以前より新作ペースは落としております。あしからず。 で、新年が始まり…

与井杏汰
3か月前
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【雑文】 寒いのら

ら・ら・ら と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか? 特定の楽曲? どこかで聞いた歌の一節? それとも、「RA」か「LA」か、と言った外国語へ変換した場合の表記(発音)問…

与井杏汰
3か月前
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迷宮エレベーター

迷宮エレベーター

 ターミナル駅前の商業ビル。エレベーターのドアが開くと、誰もいないその空間に向かって、デート中の2人は談笑を止めずに入り込んだ。
「知ってた? ここの地下レストラン街は穴場だって」
 智代は樹大にそう言うと、エレベーターの地下1階を押した。
「高層階とか見晴らしのいいところにあるレストラン街も多いけど、ここは地下だけど美味しい名店が揃ってるんだよ」
 エレベーター移動中もそんなテンション高めの彼女

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【雑文】 うらら

【雑文】 うらら

こんにちは。与井@少し眠いです。

春うらら、と書こうと思って、「うらら」って何だ?
他には山本リンダの歌詞くらいでしか見かけない単語。
と思いあたり。

うららの意味もわからずに使用するのは物書きの端くれとしてどうなんだ、と思うし、「いくら」といえば「How much?」の日本語訳か、波野家の長男か魚卵系の3択だった平成までと異なり、令和では「YOASOBI」の女性ボーカルがその名を使用しており

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幸運クーポン

幸運クーポン

「ねぇ見てこのアプリ」
 電車の中で、佳美は手中のスマホをかざした。
「毎日、抽選で幸運が当たるんだよ」
「幸運? 何かと引き換えのクーポンじゃなくて?」
 隣にいた昌宏は聞き返した。
「これはね。幸運がもらえるクーポン」
 佳美はニコッと笑うと、そう答えた。
「どういうこと?」
 昌宏の怪訝な顔に、佳美は軽く答えた。
「マサ君も試してみたら? 私はまだ当たったことないけど」

 昌宏は教えられた

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【雑文】 春、新年度

なんとなく新年度は楽しいですね。
何かが変わっていくような、一新されるような「雰囲気」が好きです。
(実際はあまり変化がないとしても)

日本の場合、新年(1月1日)と新年度(4月1日)の2回区切りがあります。
大晦日(12月31日)から元旦(1月1日)へ切り替わりは、厳かな、年末の押し迫った、ある種の息詰まった感じから、何も無い真っ白な「年」が始まる開放感(今年については元旦から大変な事が続きま

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トロッコ問題

トロッコ問題

 トロッコがレールの上を走る。トロッコには5人の子どもたちが乗っており、開放感と疾走感に歓声を上げている。レールの先には別の子どもが遊んでいる。子どもは耳が不自由なのか、トロッコの歓声に気づいていない。レールの途中には分岐器(ポイント)があり、子どもが遊んでいる方向とは別のレールには1人の老婆が足を痛めてその場に佇んでいる。どうやら自分では動けないようだ。あなたはトロッコが分岐器を通過する前に、そ

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【雑文】 現代に生きる幸せ

【雑文】 現代に生きる幸せ

春が近づいています。
寒いながらも、季節は順調に進んでると思います。

さて、大谷選手と水原元通訳の件は気になりますが、今回の記事を書くきっかけは、大谷選手のこれまでの活躍と、それを見て歓喜するたびに感じたことが関わっています。

私は(そしてこの記事を同時代に読んでいる諸氏は)、偶然この時代に生きています。中には未来から来た、とか、実は前世で希望を出して通った、とか、あの世もゴニョゴニョが通じる

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夢の再生

夢の再生

「あなたは自分の見た夢を覚えていますか?」
 そんな問いかけに、真治は「いえ」と答える。するとその男が妙なものを取り出した。
「こちらはまだ一般には販売していないものですが」
 男はそう言うと、その装置の説明を始めた。
「寝ている間にこの箱を枕元に置いて、こちらの輪を頭に巻いてください。目が覚めたら、この箱とリンクしたあなたのスマホでアプリを立ち上げると、あなたの見た夢が再生されます」
 にわかに

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1枚の似顔絵

1枚の似顔絵

 しばらく会えなくなるから、と彼女は包に入った板状の物を差し出した。
「これ、たまたま街で似顔絵屋さん見つけて、描いてもらったの」
 僕は、包を開いて、中を見てみる。
「へー、いい感じの絵だね」
 そこには、わずかに微笑む彼女の姿が美しく描かれていた。
「これからは遠距離になるけど、これ部屋に飾って、私のこと思い出してね」
 彼女はそう言うと、今日は用事があるから、と手を振って別れた。

 それか

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「リアルいいね」開発者の思うこと

「リアルいいね」開発者の思うこと

*この物語はフィクションです。

 世の中、SNSの普及で「いいね」流行りだ。
 写真だろうと、文章だろうと、音楽だろうと、創作活動に携わる者は、いや、ただの思いつきの投稿しかしない者まで、誰かに承認されたい欲求と、それを簡単に叶える魔法のシステムで、とりあえず「いいね」の数が増えれば満足、少なければ落ち込む、そんな社会になってしまった。

 だから、私は考えた。そして開発した。ネット上だけじゃな

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【雑文】 ドラマとかで見かける「時間」

【雑文】 ドラマとかで見かける「時間」

現代人、余裕がない人、多いと思います。小生もそうです。
小生どころか、極小性、超極小生、などと進化しても良いくらい、時間や気持ちに余裕がない時もあります。

ところがドラマを見ていると(そういう時間はあるんだ、という指摘はさておき)、超多忙であるに違いない医者や刑事、経営者や学校の先生などが、結構な暇ごと(失礼)に付き合ってるんですよね。悩みを持つ人の話をゆっくり聞いて寄り添ったり、一緒に解決した

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判断力向上サービス

判断力向上サービス

「あなたの判断力を高めます」
 谷繁はSNSで流れてきた広告を何気なくクリックした。
「いつも迷ってばかりのあなた。あの時、ああすれば…と後悔の多いあなた」
 そんな大きな見出しが踊っている。
「そんなあなたの判断力を向上させます!」
「それでも迷ったら、高度AIがあなたの判断をサポート!」
 なるほど。そういうサービスか。ま、今風だな。値段は?そう思って画面をスクロールする。
「今なら、1ヶ月無

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【雑文】 発想!の数珠つなぎ

【雑文】 発想!の数珠つなぎ

何かを生み出そうとしている時ではなく、日常生活で、急に面白いことが思い浮かぶ事があります。それは創作のネタに限らず、ビジネス的なアイデアだったり、それ以外のことだったりします。(なお、ビジネスアイデアはそれ
を職業的に活かすチャンスがあるわけでもない、別次元のことが多いですが)

で、その「アイデア」は、なんとなくおぼろげな形で、今にも壊れそうな弱々しいもの、な時も往々にしてあります。
「あ、今い

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【雑文】 2月?早くない?

【雑文】 2月?早くない?

2024年という新年が始まり、相変わらず時間に余裕の無い生活をしていると、気づいたら2月(しかも3日)。早すぎだろ、と思うのは私だけでしょうか。

節分、豆まき、恵方巻(元は関西のさらに一部のローカル行事だったようですが、商業的に全国区に)、などの季節系イベントがあるため、何となく時間経過に疎くなっている私のような者でも、「あ、2月3日だ」などと知ってしまいます。そして思うのです。「やばい」「はや

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ラッキー・トレイン

ラッキー・トレイン

 島村は今日も通勤電車に乗る。慣れた駅、慣れたホームから乗る見慣れた列車。ドアが開いて、いつものように車両中程へ進む。始発駅から離れたこの駅では、既に空席はなく、島村はいつものように吊り革に手をかける。

 電車が隣の駅を過ぎた頃、何気なく吊り革を見上げる。島村は目を見張った。その吊り革は薄く光っていたのだ。両隣の吊り革は、特に何の変化もないようだ。何事かとそのまま眺めていると、車内にアナウンスが

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【雑文】 新年と干支

【雑文】 新年と干支

こんにちは。与井@自宅です。

note、続けて2年を超え、まだまだ創作の楽しさを感じていますが、以前より新作ペースは落としております。あしからず。

で、新年が始まり、その挨拶もせずに新作発表から幕開けしたり、相変わらず自由に記事を上げております。あしからず。

毎年、年末になると、「今年の1年」を振り返ったり(昨年の私は、余裕がなくて足早に思い出して終わりでしたが)、年賀状を準備したり、来年の

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【雑文】 寒いのら

【雑文】 寒いのら

ら・ら・ら
と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?
特定の楽曲?
どこかで聞いた歌の一節?
それとも、「RA」か「LA」か、と言った外国語へ変換した場合の表記(発音)問題?

寒い中、キーボードを打っていて、とりあえず思い浮かんだタイトルが、「寒いのら」だったのですが、そういえば「ら」で終わる方がしっくりくるな、今日は「ら」がフィーチャーだ、ということで今に至ります。

「ら」と似た言葉で「らん」

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