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メディアの話。

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メディアの話を、します。
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#メディア

メディアの話 176 ドラえもんとマクルーハンとこち亀の両さんと

メディアとは、人類の身体の拡張である、とマーシャル・マクルーハンは言った。

これを言い換えると、人間の欲望の拡張が、メディアである、ってことになる。

では、人類のメディア的欲望とはなにか。

究極にはこれ。

時空を支配することである。

過去も未来も好きな時間に行くことができる。

あらゆる場所に一瞬に行くことができる。

つまり、ドラえもんである。

ドラえもんは、史上最高のSFであり、史

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メディアの話151 テキストメディアの終わり、動画メディアの台頭 テレビのネット嫌い そして広告のオワコン

メディアの話151 テキストメディアの終わり、動画メディアの台頭 テレビのネット嫌い そして広告のオワコン

あらゆるウェブメディアが、テキストを捨て動画にシフトしつつある。

コロナ禍がきっかけのひとつ、と複数の人がいう。

逆に言えば、テキストに客がつかなくなっている、ということだ。

もともと、ウェブの台頭で、テキストの値段は暴落していた。

(もちろんテキストに「価値」がない、ということではない。あくまで「価格」の話である)

だれもがテキストを書ける環境ができた結果である。

だれもが現場のジャ

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メディアの話141 ドラえもんと時空の支配

メディアとは、人類の身体の拡張である、とマーシャル・マクルーハンは言った。

これを言い換えると、人間の欲望の拡張が、メディアである、ってことになる。

では、人類のメディア的欲望とはなにか。

究極にはこれ。

時空を支配することである。

過去も未来も好きな時間に行くことができる。

あらゆる場所に一瞬に行くことができる。

つまり、ドラえもんである。

ドラえもんは、史上最高のSFであり、史

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メディアの話。赤い月と皆既月食と天王星と写真と

メディアの話。赤い月と皆既月食と天王星と写真と

2022年11月8日。皆既月食だった。見た人も多いだろう。日本全国がものすごく晴れた。東京も晴れた。空気が乾いていて、水蒸気がない。おかげで街中でも星のまたたきが見えた。

自宅の前の道からちょうど上がってきたばかりの月が見える。三脚にカメラを乗せて、構えてみた。

いい月だ。

より天空に近い方に明るい星を見つける。木星だろうか。試しに撮ってみた。
なんと、ちゃんと撮れていた。今のカメラはすご

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メディアの話その141 包紙の時代のおわり。

「雑誌」が面白くなくなっちゃった。

 個人的にそう思ったときがあった。

 かれこれ10年以上前。

 ゲームとかアニメとか漫画とかスナックとか。。。それ自体を個々が楽しめばいい。でもかつてはオタクでダサくておっさん臭くて、といった対象。それを「おしゃれ」に包む。雑誌は、オタクでダサいとされていたものを綺麗な包装紙でつつんでくれた。

でも、あるとき、そんな雑誌を開いて、あれ、全然面白くない。

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メディアの話その127 料理とファッションとサバイバルと、文化の知性と。

料理は、日本人にとって最も大きな「知性」である。

唐突にそんなことを思った。

イタリアは、「ファッション」である。

アメリカは、「サバイバル」である。

ものすごく「ベタ」なことなんだけど、偏差値とか収入分布とは別に、それぞれの文化にどっしり根差している「非言語的な知性」みたいなものが、それぞれの文化にある。

で、日本の場合、それは圧倒的に「料理」ではないか。

たとえば、イタリアでは「フ

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メディアの話その122 北朝鮮とロケットと007と。

2021年9月11日12日。北朝鮮が新型長距離巡航ミサイルの発射実験を行った。

発射の模様の動画が、Twitterなどでたくさん流れてきた。

たとえばこちらだ。

https://twitter.com/Global_Mil_Info/status/1438467273564504064

この映像を見た時に瞬時に連想したのは、007映画だった。

カメラワークから、鉄道車両からミサイルを発射

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メディアの話83 オーディブルで連載始めます。

メディアの話83 オーディブルで連載始めます。

アマゾン・オーディブルで12月11日から配信が開始された「柳瀬博一のリベラルアーツ入門」
第一弾のテーマは「進化論」です。
取り上げるテーマは以下の通り。
そう、あの「ファクトフルネス」も進化論的アプローチの本なのです。
そして、岸由二先生には、過去100年の理系教養書として最も重要な本と言われた「利己的な遺伝子」読み解きを徹底的に教わります。
さらに作家の橘玲さんには大ベストセラー「言ってはいけ

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メディア論80 南伸坊さんとイラストレーション

メディア論80 南伸坊さんとイラストレーション

7月6日、東急文化村でやっていた南伸坊さんの「私のイラストレーション史」の対談イベントは南さんと糸井重里さんのとっても楽しい企画だった。

で、2人の話を聴きながら改めて思い出した。それは、南さんの『さる業界の人々」(タイトル糸井さん)が私にとってのメディアの仕事の最高の教科書だったことを。

会場には『さる業界』=エロ本業界の伝説の編集者、櫻木徹郎さん=Sさんと末井昭さん=Sくんもいらしていた。

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メディア論78 ミュージシャンは最高のデータベースメディアだ。

マスメディアには、
最新コンテンツだけが商売のタネ、
過去のコンテンツの蓄積=データベースの価値には無関心って
人が実はすごく多い。本当に多い。
これは年齢、関係ない。
爺さんから20代まで、おしなべてマスメディアの人は
新しいコンテンツのことしか考えてない人がとても多い。
理由は明白で、
日々の仕事も、自分の評価も
今作っている最新のコンテンツの
出来と売れ行きで決まってしまうからだ。
が、ウェ

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メディア論77 人間がメディアであるわけ。

メディアは3層構造でできている。

ハードウェア

コンテンツ

プラットフォーム

メディアの革命は、

新しいハードウェアの発明から始まる。

紙の束。通信機。蓄音機。ブラウン管。コンピュータ。携帯電話。

そして、次にコンテンツを流す

プラットフォームの発明と進化がある。

コンテンツは、大概の場合「すでにあるめでぃあ」がそのままコンテンツになる。

おしゃべりが演劇になり、演劇がラジオ放

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メディア論76 お笑いの人が、「自己責任」を説く理由。

メディア論76 お笑いの人が、「自己責任」を説く理由。

テレビで安田純平さんの「自己責任論」を一番大声で叫んでいる人は
だれかというと、興味深いことに
「お笑い」の人である。


「お笑い」というのは、
いまの社会に対する「アウトロー」であることで成立する。
いまの常識に対する「非常識」であることで成立する。
今の思想に「迷惑」をかけることで、私たちは笑い、戸惑う。
だから、お笑いを、PTAは嫌い、親も嫌うわけだ。
PTAや親に愛されたら、
そこにあ

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メディア論75  なぜ渋谷のハロウィンに人は集まるのか? 人とボノボとオキシトシンと。

メディア論75  なぜ渋谷のハロウィンに人は集まるのか? 人とボノボとオキシトシンと。

なぜ、
あれだけ評判を落としている
渋谷のハロウィンに
人々は集まるのか。
バカなの、死ぬの。
と、思った方は、
まだまだである。

2018年10月31日夜、渋谷のハロウィンに行ってみた。踊る阿呆に見る阿呆、である。見るだけの阿呆として行ってみた。前日、軽トラックを倒し、逮捕者まで出た渋谷のスクランブル交差点には、人々が押し寿司の米粒のようにびっしりと埋まっていた。案外、大声をあげている人間は少

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メディア論 73                                                小売大企業は、なぜ初代で潰れるのか。

メディア論 73                                                小売大企業は、なぜ初代で潰れるのか。

巨大小売業の多くは、短命だ。
事実上の創業者と共にその寿命を
いったん迎えているケースが目立つ。

ダイエー、セゾン、そごう、ヤオハン・・・・・・。

ちなみにイトーヨーカ堂もセブンイレブンも創業者がまだ健在。
イオンも岡田卓也氏が実質的な創業者だとすると、同様である。つまり、世代交代が終わっていない。

アメリカのウォルマートは
世代交代はしたけれど、誕生したのは1962年。
たった56歳である

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