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かったぱしから読書生活

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大学卒業以来、ずっと出版業界。本が好きで、ずっとこの世界で暮らしている。読書はフィクション派。ファンタジー好きなれど、時代物、ミステリー、純文学、何でも来いで、ひたすら濫読。読書… もっと読む
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2021年8月の記事一覧

「白鵬本紀・英雄の子」白鵬からのメッセージ

「白鵬本紀・英雄の子」白鵬からのメッセージ

(監修)白鵬翔(作画)山崎享祐「白鵬本紀・英雄の子」(徳間書店)。https://www.amazon.co.jp/dp/4197806450/週刊誌「アサヒ芸能」に連載されている白鵬の入門以来の相撲人生を描いた漫画である。モンゴル相撲の横綱であり、レスリングでメキシコオリンピック銀メダルを獲得した白鵬=ダヴァの父であるジグジドウ・ムンフバトは、モンゴル国民の英雄であった。白鵬が少年時代に相撲の面

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深谷忠記「執行」、死刑執行後の再審

深谷忠記「執行」、死刑執行後の再審

深谷忠記「執行」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09D7WQN6M/
 500頁を超える壮大なミステリー。このミステリーには二つの殺人事件が主軸となっており、そこから派生する多くの不幸な事件や犯罪が事態をより複雑にしている。一つは検事総長就任を目前とした鷲尾淳夫・東京高等検察庁検事長が殺害された事件。検察界のNo.2が現役で殺害されたと

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清水次郎長に森の石松登場、矢野隆「さみだれ」

清水次郎長に森の石松登場、矢野隆「さみだれ」

矢野隆「さみだれ」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09D7VCH3N/
森の石松には浅からぬとも言えないほどの遠浅の縁がある。静岡県周智郡森町に住む元々職場の友人から、毎年の夏に玉蜀黍、秋に柿を送ってくる。ことに森の治郎柿は有名なブランド柿だ。森町と言えば、森の石松。親分である清水の次郎長の隻眼の子分である。この作品は、浪曲で有名な清水

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漫画界の応援団長だった、みなもと太郎先生

漫画界の応援団長だった、みなもと太郎先生

前職場でお世話になった漫画家・みなもと太郎先生がお亡くなりになった。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6402166
代表作は「風雲児たち」。昨年には日本漫画家協会大賞を授与されている。幕末の志士の活躍をリアルとコミカル入り乱れて描いた作品。「風雲児」たちはリイド社の連載作品だったが、外伝物がコミケで同人誌販売されていたりしたので、それを拾い上げて単行本化した。また

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しごと大介+ふくいかんじ「ファミコン突撃隊」

しごと大介+ふくいかんじ「ファミコン突撃隊」

「わんぱっくコミック・リバイバル」シリーズから、しごと大介+ふくいかんじ「ファミコン突撃隊」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09CKKLSSV/
これは編集部舞台裏のネタ話。最初は読者プレゼントの紹介だったのが、だんだん脱線拡大。いつの間にやら「わんぱっくコミック」編集部こと「突撃隊」の愛と笑いと涙のドタバタを、しごと大介がほぼ専属レポ

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もりけん「マドゥーラの翼」

もりけん「マドゥーラの翼」

「わんぱっくコミック・リバイバル」シリーズから、もりけん「マドゥーラの翼」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09CKGTZFH/
表題作の「マドゥーラの翼」。相争うマドゥーラ族とラメール族。マドゥーラ族から王に選ばれたアディオンを殺したラメールは、マドゥーラの力の象徴である翼を隠した。しかしアディオンの娘ラキシスによってラメール族は滅ぼさ

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寺川枝里子「ヤマブキ①」

寺川枝里子「ヤマブキ①」

「わんぱっくコミック・リバイバル」シリーズから、寺川枝里子「ヤマブキ」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09CK1D41G/
イリオモテヤマネコのフブキと日本猫の間に生まれたヤマブキ。両親を古代犬に襲われて失うことになる。コウ少年に飼われることになって守られるが、古代犬たちはヤマブキをつけ狙う。コウが東京に引っ越してからも、追いかけてくる

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魚戸おさむ「ぐわんばれ金太郎」

魚戸おさむ「ぐわんばれ金太郎」

「わんぱっくコミック・リバイバル」シリーズから、魚戸おさむ「ぐわんばれ金太郎」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09CKHWP7Q/
後にテレビドラマ化された「家栽の人」などのヒット作を世に送った魚戸おさむ先生の初期作品は少年向け作品だった。
 なまず大夫に誘拐されたさくら姫を救わんとする少年忍じゃじゃ丸。覚えたての忍術を使って、全力で魔

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田森庸介「無茶の猫丸」

田森庸介「無茶の猫丸」

わんぱっくコミック・リバイバル」シリーズから、田森庸介「無茶の猫丸」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09CK1JDDX/
暗夜魔将率いる魔物の軍勢に滅ぼされた三毛家。二人の子供がいたが、逃がされて生き延びた猫丸。復讐のために、龍神金剛山に預けられた秘剣・竜神剣を取り戻す。そこで出会った那羅幻角に、猫目山に修行に向かうよう命じられる。道中

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神宮輝夫先生、巨星墜つ

神宮輝夫先生、巨星墜つ

わが尊崇する天沢退二郎先生が「巌谷小波文芸賞」を2014年に受賞なさった日に、天沢先生のご厚意で授賞式に出席させて頂いた。その時に憧れの方とお会いすることができた。審査員の先生の中に、憧れの神宮輝夫先生がいらしたのだ。天沢退二郎先生のご紹介で、パーティの席でじっくりお話し出来たのは、私にとって何よりも感激だった。神宮輝夫先生の翻訳なさった「プリデイン物語」「ウォーターシップダウンのうさぎたち」など

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倉阪鬼一郎「奮闘、諸国廻り 悪代官を斃せ」

倉阪鬼一郎「奮闘、諸国廻り 悪代官を斃せ」

倉阪鬼一郎「奮闘、諸国廻り 悪代官を斃せ」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09C1ZB8FN/
飛川角之進、諸国悪党取締出役、通称諸国廻り。旗本・飛川主膳の三男坊として育ったが、実は将軍家斉の御落胤。剣の腕は立つ。湯屋の娘おみつを娶り、息子に王之進。補佐役として武芸の達人・春日野左近、忍びの者・草吉を連れた新しいお役目は、天領である飛騨

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鳴海章「14歳、夏。」

鳴海章「14歳、夏。」

鳴海章「14歳、夏。」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09C21BNT9/
東京に住む中学2年生のトモこと木村友親は、夏休みに突然に北海道帯広の親戚のところに10日間行くように両親に告げられた。医者の両親の下で将来の医師を目指して受験勉強に明け暮れる友親には迷惑な話だった。シブシブ行った北海道。しかしそこでの10日間は、友親の人生観をす

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黒崎視音「警視庁心理捜査官 公安捜査官 柳原明日香」

黒崎視音「警視庁心理捜査官 公安捜査官 柳原明日香」

黒崎視音「警視庁心理捜査官 公安捜査官 柳原明日香」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09C21T6WV/
 警視庁本庁舎14階・公安部第一課課長室会に流れる、三十路女の閨房の喘ぎ声。自らの痴態録音を、男性上司4人の前で一緒に聴かされた柳明日香警部補。死ぬほどの屈辱の中で、身を委ねた男がハニートラップだったと知った明日香。それも公安二課か

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