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#satsuma

なんと、樋口一葉の兄、絵師虎之助(奇山)の作品が横山美術館で展示‼️

なんと、樋口一葉の兄、絵師虎之助(奇山)の作品が横山美術館で展示‼️

 名古屋の横山美術館の企画展「海外で愛された薩摩様式のやきもの サツマの輝き」展(8月25日まで開催)展に行ってまいりました。

 会場には、マルコ・ポーロの「黄金伝説」になぞられて、金彩の輝く薩摩焼が、上絵金彩の白薩摩の本薩摩に始まり、みやびな京薩摩、さらには加賀、大阪、神戸、名古屋、横浜、東京、長崎など各地の薩摩様式の作品が一堂にならべられ、その違いが丁寧な説明がついていてとても分かりやすく展

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映画「ちゃわんやのはなしー四百年の旅人ー」

映画「ちゃわんやのはなしー四百年の旅人ー」

 この映画は薩摩焼の歴史とともに400年を生きてきた沈壽官家の話である。

 豊臣秀吉が明を征服するために30万の大軍で朝鮮出兵したという、文禄・慶長の役(1591年〜1598年)は、当時の東アジアにおける大戦争であり、最大の激戦地となった全羅北道・南原では多くの死者が出たという。

 織田信長以来の御茶湯御政道で茶入ひとつが一国一城に匹敵する時代に、高麗物といわれた朝鮮の焼物を作るほどの技術を持

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錦光山窯の天才的絵師・素山の正体とは⁉

錦光山窯の天才的絵師・素山の正体とは⁉

 ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館には錦光山宗兵衛の作品が数点ありますが、そのなかでも、わたしは「色絵金彩山水図蓋付箱」という小さな作品がとても好きです。
 蓋(ふた)の表面には静謐な筆で山水図が描かれ、蓋の縁は花尽くしが描かれ、箱の四面には鶏や鹿、孔雀、鶉などの動物が描かれ、蓋をあけた内部には鴛鴦(おしどり)が、蓋の裏には鴨が描かれています。
 それはまるで美しい宝石のようです。
 ヴィ

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横山美術館・講演会の超レアDVDプレゼント

横山美術館・講演会の超レアDVDプレゼント

開拓社の新春プレゼント 企画としまして、
横山美術館「錦光山と帯山」展の
関連講演会 『京薩摩と錦光山の魅力をさぐる』(講師錦光山和雄)の
超レアDVD が
・開拓社広報の新春プレゼントの投稿をRT&開拓者広報をフォロー
・抽選で4名様
・2月末まで抽選
でプレゼントされます。

講演内容は、約10分のダイジェスト版と約1時間半のフルバージョン版になっておりまして、京焼の歴史と魅力が存分にお楽

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Fantastic!  AlessandroCordoさんのティーカップセット

Fantastic! AlessandroCordoさんのティーカップセット

 イタリアのアンティック・コレクターのAlessandro Cordoさんが錦光山宗兵衛のティーカップセットをお持ちなので紹介させていただきたいと思います。

 上の画像をご覧になっていただくと、分かりますように、
蝶やバッタ、トンボ、蝉、カマキリ、ホタル、蜂に加えてカエルまで描かれています。
 絵じたいは流れるような筆致で、あっさりしていて、雑な印象すら与えますが、筆に勢いがあり、虫たちが生き生

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京都の宇治・赤雲窯訪問記

京都の宇治・赤雲窯訪問記

京都の宇治市炭山の赤雲窯の陶芸家・岡田優(まさる)さまから、錦光山の高杯を持っているのでお譲りしてもいいという大変ありがたいご連絡があり、わたしが個人で保有するよりもすこしでも皆様の目にふれるように京都のどこかの施設で保有してもらったほうがいいのではないかということで、保有してくれるところを探すことになりました。その結果、岡田優さまが錦光山の高杯を京都府に寄贈して京都府蔵(京都文化博物館管理)

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帯山与兵衛の美の秘密:Martin Reynolds氏の知見

帯山与兵衛の美の秘密:Martin Reynolds氏の知見

 わたしはかねてから粟田で禁裏御用を勤めていた粟田焼の名家である、九代帯山与兵衛の雅で華麗な世界はどのようにして出来たのだろうかと思っていました。

 そんな折に、イギリス人で帯山与兵衛コレクターであるマーチン・レイノルズさんと知り合い、マーチンさんから九代帯山与兵衛の雅で華麗な世界の秘密の鍵を解く新しいヒントを教えていただいたので、この場でご披露させていただきたいと思います。

 まず、次の画

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帯山与兵衛の華麗なる世界

帯山与兵衛の華麗なる世界

 雅な超絶技巧の世界

 「錦光山と帯山」展覧会

 名古屋市の横山美術館で10月9日まで開催

 七代錦光山宗兵衛の盟友

 帯山与兵衛の

 美しいブルーと華麗な色彩の世界

 「上絵金彩花蝶図飾壺」

 お楽しみください❕

***

横山美術館 ホームページ

https://yokoyama-art-museum.or.jp/ev

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圧巻「上絵金彩花文麒麟鈕大香炉」:横山美術館「錦光山と帯山」展、拝観記

圧巻「上絵金彩花文麒麟鈕大香炉」:横山美術館「錦光山と帯山」展、拝観記

名古屋の横山美術館「錦光山と帯山」展に行ってきました。

 展示作品も錦光山と帯山の作品で80点以上、粟田焼ゆかりの諏訪蘇山や宮永東山、伊東陶山、河村蜻山、丹山青海や錦光山宗兵衛の盟友である松風嘉定、さらには清水焼・五条坂の乾山伝七、清風与平などを含めると優に100点以上、さらには文章の解説も充実していて素晴らしい展覧会でした。

 まず錦光山の作品ですが、今回初見の作品をいくつか紹介したいと思い

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横山美術館「雅の世界で輝きを発する 錦光山と帯山」展開催のご案内

横山美術館「雅の世界で輝きを発する 錦光山と帯山」展開催のご案内

 
 名古屋の横山美術館様で2023年7月7日から10月9日まで「雅の世界で輝きを発する京焼 錦光山と帯山」展が開催されます。

 横山美術館様は、錦光山宗兵衛をはじめ帯山与兵衛など「京薩摩」の名品、逸品を数多く所蔵していて、今回70~80点ちかくが展示されるそうです。初見の作品も展示されるようでわたしも大いに楽しみであります。

 上の展覧会のチラシをご覧になっていただきますと、右が七代錦光山宗

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『薩摩ボタンとバックル』世界に唯一無二の小宇宙

『薩摩ボタンとバックル』世界に唯一無二の小宇宙

『Satsuma Buttons and Buckles 薩摩ボタンとバックル Stories About Old Japan』という本を拝読しました。大型本で358ページにおよぶ大著であり、著者は西田明子氏とナンシー・バンク・アレン氏であります。

 この本は、薩摩ボタンというとても小さな世界のなかに

日本の自然や風景、桜や梅、藤やモミジなどの木々や、菖蒲や百合、朝顔、菊、椿などの四季折々の草

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拙著『粟田、色絵恋模様』装幀の苦心談

拙著『粟田、色絵恋模様』装幀の苦心談

拙著『粟田、色絵恋模様 京都粟田焼窯元 錦光山宗兵衛外伝』の装幀ができあがってまいりました。今回は拙著の内容に触れずに、僭越ながらカバーの装幀の苦心談を書かせていただきたいと思います。

 まず最初に考えたましたのが、祖父・七代錦光山宗兵衛の「花蝶図大鉢」をカバーの表紙の真ん中に持ってくることでした。なぜかと申しますと、原あゆみさんが大学院の修士論文で「花蝶図大鉢」を研究されて、わたしもその

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金継ぎと父の残してくれたもの

金継ぎと父の残してくれたもの

 わが家には錦光山の焼物は何点かありますが、父が残してくれた祖父錦光山宗兵衛の焼物は一点しかありません。

 それは象嵌透彫の「茶錦瓷 香爐」であります。透かし彫りの蓋(ふた)には火で焼けて茶褐色になったところがあるので、おそらく錦光山で実際に使われていたものと思われます。どういう経路で明治時代の京都からわたしの家までたどり着いたのか、父から詳しく聞いておりませんでしたのでわかりません。

 ただ

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