菅原和右衛門(ノーティスト)

柳宗悦翁が「民藝」を確立したことに寄せて、一国民の民芸としての文章道に邁進することで、…

菅原和右衛門(ノーティスト)

柳宗悦翁が「民藝」を確立したことに寄せて、一国民の民芸としての文章道に邁進することで、己れを淘哉したいと考えています。点滴穿石(点滴石をも穿つ」ごとく、「詩」の紡ぎと「論」の掘削は続けられなければなりません。マガジンのレーベル名は「SungerBook」。noteで奏でています。

マガジン

記事一覧

私自身のための広告

〈SungerBook-男とスコーン8〉    このタイトルを目にして、ノーマン・メイラーの「ぼく自身のための広告」を想起する人は多いのではないでしょうか。とはいえ、若い人…

ノーティストの見た夢

〈SungerBook―男とスコーン7〉 私が前々回(4/15)投稿した記事「こんな肩書き嫌だ。どんな肩書き?」で、それまで使っていた自分のブロガーという肩書きをノーティストに…

進撃のおじいちゃん

〈SungerBook―男とスコーン6〉 「男とスコーン」とは、連作エッセイのタイトルとして考案しているものです。その意味合いは、説明的に紹介することによってではなく、何…

こんな肩書き嫌だ。どんな肩書き?

「notest」はどうでしょう。 たまたまあるnoteの記事を読んでいたら、noteを書く人の呼び方、肩書きを扱っていました。私も興味のあるネタだったので思わず引き込まれたわ…

傑作が企画を超えるとき

〈SungerBook-舌鼓13〉 ─ 新星、福留光帆との遭遇 「E.T.としての福留光帆」を投稿してから7日過ぎましたが、記事の題材とした二つの配信動画の視聴回数は、 ①前回投…

E.T.としての福留光帆

〈SungerBook-舌鼓12〉 ─ 大喜利ファンタジーの新世界 いま、日本じゅう福留光帆に罹患している人は大勢いることと思います。私も、こんなことは初めてなので、なぜだろ…

創造の小径へ

〈SungerBook-キャッツアイ5〉 「文章を書いて生きています」というと「著述業で生活しているのですね」や、「生活のまにまに文章を書く趣味をお持ちなんですね」などとい…

尊敬の思想

〈SungerBook-キャッツアイ5〉 ー芸人は松本人志を尊敬できるか 前回のnoto記事で、路傍の掲示板「今月の聖語」から「蒼蠅驥尾に附して万里を渡り」(そうようきびにふし…

インテリの品格

─ 宮台教授VS正木教授 宮台真司教授の不倫報道に接した時、「またか」と思ったものです。このかたは、かつて 援助交際に絡んでの話題にも上ったことが思い出されたわけで…

ポストメルヘン

世界のメルヘンや日本の昔話は、一体どれだけあるのでしょう。いつ読んだり聞いたりしたのか覚えていませんが、心の奥にしっかり刻まれています。しかし、ここでは「ポスト…

聖なる明治神宮

〈SungerBook-4〉 先般、秋のよく晴れた日に、明治神宮へ行こうと思い立ちました。原宿に行くのは何年振りになることでしょうか。考えてみれば都内にあって、こんなに身近…

鬼越えの裏窓

〈SungerBook-舌鼓11〉 鬼越トマホークといえば、いま、お笑い界の「台風の目」的存在になっているのではないか、そんな風に思うことがあります。このコンビ自身の漫才、…

新説「作者の死」

〈SungerBook-キャッツアイ4〉 ーロラン・バルトはどこにいるのか 前回の記事(8月30日投稿)「AI時代に回帰する作家論」で必然的にテクスト論に触れることになりました…

AI時代に回帰する作家論

〈SungerBook-キャッツアイ3〉 上掲は前川裕子画伯作「緑の背景のある猫」 この春頃からチャットGPTが、情報に疎い私にも迫ってきているように感じています。圧倒的なそ…

これ陰謀論ですから

─ 日本よい国、ヨイサ、ホイサ♪ 日本がこんなにも素晴らしい国だったなんて知りませんでした。今、日々新たな動画があがってきて、日本の良さが外国人目線で語られてい…

「永遠の0」で特攻してみる

─「記号論講義」批判 前回公開済みコラム「神話としての永遠の0 ─ 英霊という記号についての試論」(LINE BLOG)の内容に引き続き、関連して叙述しようとしています。 …

私自身のための広告

私自身のための広告

〈SungerBook-男とスコーン8〉 
 

このタイトルを目にして、ノーマン・メイラーの「ぼく自身のための広告」を想起する人は多いのではないでしょうか。とはいえ、若い人で知る方は多くはないのかもしれません。私自身、確か十代の終り頃にメイラーを知ったと記憶します。三島由紀夫と同時代のアメリカの作家というような印象です。特にアメリカ文学に傾倒するようなことはなかったので、作品を知ることもなく、た

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ノーティストの見た夢

ノーティストの見た夢

〈SungerBook―男とスコーン7〉

私が前々回(4/15)投稿した記事「こんな肩書き嫌だ。どんな肩書き?」で、それまで使っていた自分のブロガーという肩書きをノーティストに改めたことを述べました。その頃たまたまnote記事でnoterという表現を見たことが契機となったしだいです。

ノ―ティストに憧れて

この「ノーティスト」が、思いがけず私を刺激してきて、予定外に本稿を書かせています。

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進撃のおじいちゃん

進撃のおじいちゃん

〈SungerBook―男とスコーン6〉

「男とスコーン」とは、連作エッセイのタイトルとして考案しているものです。その意味合いは、説明的に紹介することによってではなく、何作か積み重なったところで、なんとなく感じられるものになればと構想しています。とはいえ、スタートラインにつくにあたり、向かうべき方向を確認しておきたい気持ちがあります。

シリーズタイトルについて「解説」のように語り始めたら、それ

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こんな肩書き嫌だ。どんな肩書き?

こんな肩書き嫌だ。どんな肩書き?

「notest」はどうでしょう。

たまたまあるnoteの記事を読んでいたら、noteを書く人の呼び方、肩書きを扱っていました。私も興味のあるネタだったので思わず引き込まれたわけです。

私は、今までこのnoteのプロフィールに自分のことを「ブロガー」としています。上記の記事に接して少し考えさせるものがありました。そこでは、noterとかブログライターとか、何案か検討する記事で、結論は出していませ

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傑作が企画を超えるとき

傑作が企画を超えるとき

〈SungerBook-舌鼓13〉

─ 新星、福留光帆との遭遇

「E.T.としての福留光帆」を投稿してから7日過ぎましたが、記事の題材とした二つの配信動画の視聴回数は、

①前回投稿日現在 177万回→
今回投稿日現在 196万回
②前回投稿日現在 298万回→
今回投稿日現在 344万回

と、驚くような回数の伸びとなっています。私自身いまだに飽きもせずアクセスしていますし、

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E.T.としての福留光帆

E.T.としての福留光帆

〈SungerBook-舌鼓12〉

─ 大喜利ファンタジーの新世界

いま、日本じゅう福留光帆に罹患している人は大勢いることと思います。私も、こんなことは初めてなので、なぜだろう、なぜだろうと考えているうちに、やっと見えてきたものがあります。それを、以下にレポートしたいと思っています。

2024年春、降臨

私の感覚では2010年代後半ぐらいから動画配信が活況を呈してきて、まずは個人がユーチュ

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創造の小径へ

創造の小径へ

〈SungerBook-キャッツアイ5〉

「文章を書いて生きています」というと「著述業で生活しているのですね」や、「生活のまにまに文章を書く趣味をお持ちなんですね」などという解釈の誤解は起きやすいところでしょう。いずれも「否」と申し上げます。そこをテーマとして叙述することが、この記事の目的であり、表現として完成させることが目標となります。

作家とは誰か

作家と言えば、もっとも典型的なものは小

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尊敬の思想

尊敬の思想

〈SungerBook-キャッツアイ5〉

ー芸人は松本人志を尊敬できるか

前回のnoto記事で、路傍の掲示板「今月の聖語」から「蒼蠅驥尾に附して万里を渡り」(そうようきびにふしてばんりをわたり)を援用しました。日蓮聖人によるお言葉で、いろいろ考えさせるものがあります。
若いうちから自分の驥尾を見つけ、そこをしっかりとらまえて道を歩めば、もう少しましな人生にたどり着けたかもしれないと思うと自らの

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インテリの品格

インテリの品格

─ 宮台教授VS正木教授

宮台真司教授の不倫報道に接した時、「またか」と思ったものです。このかたは、かつて
援助交際に絡んでの話題にも上ったことが思い出されたわけです。社会学の専門家として論陣を張る大学教授の不倫を、世間はおもしろがっているようです。

特に、学識と抽象度のある論理展開、しかも強面で、ドスの効いた声で、ほとんど人を押し倒すような語りで煙に巻くその風采は、一例で言えば長く続いたTB

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ポストメルヘン

ポストメルヘン

世界のメルヘンや日本の昔話は、一体どれだけあるのでしょう。いつ読んだり聞いたりしたのか覚えていませんが、心の奥にしっかり刻まれています。しかし、ここでは「ポストメルヘン」として、元々のメルヘンのセカンドストーリーを創作してみました。元ネタを前提にしているという意味では、それを知っている大人たち向けと言えるかもしれません。イソップさんや、アンデルセンさんへのリスペクトはそのままに、新たな世界が拓けな

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聖なる明治神宮

聖なる明治神宮

〈SungerBook-4〉

先般、秋のよく晴れた日に、明治神宮へ行こうと思い立ちました。原宿に行くのは何年振りになることでしょうか。考えてみれば都内にあって、こんなに身近で山深い場所があったと気づけば、無性に心惹かれるのでした。

明治神宮鎮座百年大祭ということで、令和二年は格別の年にあたるようです。邦楽や邦舞など、日によってさまざまな演目が企画されていたとは、後で知りました。大祭の情報がきっ

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鬼越えの裏窓

鬼越えの裏窓

〈SungerBook-舌鼓11〉

鬼越トマホークといえば、いま、お笑い界の「台風の目」的存在になっているのではないか、そんな風に思うことがあります。このコンビ自身の漫才、コントを見たことはほとんどないのですが、坂井くんと金ちゃんによる動画の企画は、新しい領域を拓きつつあるように感じています。特にお笑いが好きということはないのですが、笑わせつつ、微妙に爪痕が残ります。容貌魁偉の坂井くんと戦国野武

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新説「作者の死」

新説「作者の死」

〈SungerBook-キャッツアイ4〉

ーロラン・バルトはどこにいるのか

前回の記事(8月30日投稿)「AI時代に回帰する作家論」で必然的にテクスト論に触れることになりました。生成AIが世の作家を蹴散らして文章を書きまくる時代が来るのか、といった辺りを右往左往していたら、テクスト論に出くわしてしまったのです。前回はさほど掘り下げなかったのですが、これがけっこう難物ということが顕現してきました

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AI時代に回帰する作家論

AI時代に回帰する作家論

〈SungerBook-キャッツアイ3〉

上掲は前川裕子画伯作「緑の背景のある猫」

この春頃からチャットGPTが、情報に疎い私にも迫ってきているように感じています。圧倒的なその能力に、何が起きているのかと、ただただ驚くばかりでした。この領域に強い識者たちが動画番組に登場しては、熱をもって語りあっています。プロンプトだの、オープンAIだの、シンギュラリティだの、当方は何のことやら「口をあんぐり」

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これ陰謀論ですから

これ陰謀論ですから

─ 日本よい国、ヨイサ、ホイサ♪

日本がこんなにも素晴らしい国だったなんて知りませんでした。今、日々新たな動画があがってきて、日本の良さが外国人目線で語られています。

食では、寿司・天ぷら・お弁当などなど、若いフランス人女性がその美味しさにぞっこんとか、韓国人高齢者がラーメンの味に目を丸くする様は、われわれをくすぐるものがあります。
先般の東京オリンピックの時、五輪村ダイニングルームのメニュー

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「永遠の0」で特攻してみる

「永遠の0」で特攻してみる

─「記号論講義」批判

前回公開済みコラム「神話としての永遠の0 ─ 英霊という記号についての試論」(LINE BLOG)の内容に引き続き、関連して叙述しようとしています。

「永遠の0」についてはそもそも文学論的な観点からの批評を着想していましたが、再読して、大石賢一郎が孫の佐伯健太郎に宮部久蔵のことを話して聞かせるあたりに、読む者の胸中に迫ってくるものの質を精査してみると、単に感動したとか、す

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