マガジンのカバー画像

テュル活マガジン

726
テュル活とは、テュルク的活動のこと。「日常に、ほんの少しテュルクがあると、少しだけ幸福感が増す。」という趣旨でやっている、趣味と実益を兼ねたライフスタイルともいえましょう。 こ…
運営しているクリエイター

#テュルク諸語

なにがなんでも入手せねばならぬ

なにがなんでも入手せねばならぬ

今月末から4年9か月ぶりのトルコでして、最後にかの地を離れて以降、現地で出版された関連書籍のほとんどに目を通せずにおりました。ですので、今回は予算の許す範囲で本を買うだけ買って帰国するつもりでおります。

これはまあいつも通りのことなのでよいのですが。某SNSで、ノガイ語辞典と、トゥヴァ語辞典が出版されたというおそるべき情報を得ましてね…??

こんな俺得の辞書を出版するのは、トルコ言語協会以外に

もっとみる
ハカス語教材全4巻とか、しごできがすぎるんじゃね?

ハカス語教材全4巻とか、しごできがすぎるんじゃね?

昨日、所属先より言語研修テキスト「ハカス語」各種教材(全4巻)、ありがたく賜りました。ハカス語といえばみなさまもきっとご存知、テュルク諸語の一つでありまして、日本での教材の公刊というのはおそらく史上初ではないかと思われます。ご著者の高島先生、グッジョブがすぎる。

同氏は以前にも同じくテュルク諸語の一つで、トゥヴァ語の教材を公刊された実績がおありで、当時も教科書だけではなく文法解説、語彙集と数冊公

もっとみる
今のうちにテュルク諸語に触れとこう

今のうちにテュルク諸語に触れとこう

ここ最近、テュルク諸語と直接関係のないジャンルの文献を読んでおりまして、自分の専門ってなんでしたっけ状態になっておりました。が、40年以上も生きていればそういうことはよくあることなのでしょう(しらんけど)。トルコ語一つだけ、あるいはアゼルバイジャン語だけに時間を割くということはなかなかできなかったりします。

ただ、これは自然な流れなのだろうと思います。というのは、長く生きればその分だけ外界からの

もっとみる
【地元散策の記】三重町:偉大なるテュルク学の先人、ポリワーノフゆかりの地を訪れてみた

【地元散策の記】三重町:偉大なるテュルク学の先人、ポリワーノフゆかりの地を訪れてみた

昨日木曜日に、気分転換も兼ねて長崎県長崎市三重町へ行ってきました。
目的は、かつてこの地を訪れたテュルク学の偉大な学者、ポリワーノフの足跡をたどること…(って、気分転換になるのかどうなのかというツッコミはあろうかと存じますがそれはさておき)。

彼が昔泊まっていたと伝えられる宿の場所を事前に調べ、実際に訪れてみた次第です。果たしてその結果たるや…。

と、溜める必要もありませんで。
予想はついてい

もっとみる
タタール語テキストを眺めた感想

タタール語テキストを眺めた感想

連休も通常営業。羊の歩みではありますが、少しずつテキストを読み込んでコーパスを作る作業に取り掛かっています。先日、ようやくタタール語テキストにめどがつきました。現状の自分の知識でテキストをざっくりとながめているのですが…トルコ語とはやはり全然違うように見えます。

単に文字が違うということではなくて、動詞の活用もちょっとつかみにくい。あわてて、先般公刊された『ニューエクスプレスプラス タタール語』

もっとみる
コーパス作成、地味な作業っすわ

コーパス作成、地味な作業っすわ

4月に入ってから、ふと思い立って自前のコーパス(言語データの集合体)を作成しています。今回は、テュルク諸語を文単位で並列させてみたいという意図がありまして、手持ちの例の本をスキャンして読み取りながらテキストとして取り込んでいます。

…のですが、まあこの作業が地味で、そしてまた単調も単調で…
最初は意気込んで取り込むのですが、1時間くらいで飽きが来てしまいますのよね…!

いや~…猫の手を借りたい

もっとみる
キルギス語も日本で独学できる時代をオレたちは生きています

キルギス語も日本で独学できる時代をオレたちは生きています

昨日、両著者さまより下記のご著書をご献本賜りました。すでに著者ご両名にお礼のメールを書きましたが、この場でも改めてお礼申し上げます。
きましたでぇ。テュル活民待望のキルギス語教科書!

アクマタリエワ・ジャクシルク、大﨑紀子 (2024)『大学のキルギス語』東京:東京外国語大学出版会.

大学でキルギス語の授業が開講されているところって東京外大以外にどこがあるの、とかそういうツッコミはまあ受け流す

もっとみる
2024年度以降やりたいことを挙げてみた

2024年度以降やりたいことを挙げてみた

本日は2023年度最後の平日となりました。今週は年度締めの事務作業、また来年度以降の事務作業でメール対応に追われる一週間となりました。「オフィスぴの吉」の会計作業のほうは12月締めですからあまり関係ないのですが、公的な機関に所属しての活動も(かろうじて)行っている身ですので、必然この時期には様々なことに対応する必要が出てくるわけです。

そうこういっていた2023年度も、あっという間に過ぎていった

もっとみる
言語系の新書が出たらすぐ買え、と昔じいちゃんが言うてたので

言語系の新書が出たらすぐ買え、と昔じいちゃんが言うてたので

今朝まで、こちらの準備に追われておりました…。

なんとか発表資料の準備が間に合いまして、ひとまず提出したあと本日も左肩の治療のため通院してきました。週末は遠出しますからね。体調を整えておかねばなりません。

かくして治療をしてもらった後、東京に持っていくお土産を買いに長崎駅前へ。困ったら長崎クルスを買え、と昔じいちゃんが言うてましたっけね…(筆者注:言うてはいなかった)

どういうわけだか東京に

もっとみる
【テュル活】ノガイ語版『星の王子さま』が刊行予定とか聞いたら眠気飛ぶよねフツー

【テュル活】ノガイ語版『星の王子さま』が刊行予定とか聞いたら眠気飛ぶよねフツー

今朝起床しまして、メールボックスを覗いたらもうですね、このニュースがEdition Tintenfassさんから飛び込んできたわけですよみなさん。ヤバいでしょ…ノガイ語ですよノガイ語。ノガイ語版『星の王子さま』!!

で、メールにはすでに書影の画像も添付されてありましてね。

なるほど。最初のКишкей が「小さい」くらいの意味をあらわす形容詞でしょう。次のханが「王」、でбаласыが「子ど

もっとみる
『星の王子さま』で読むクムク語(3)

『星の王子さま』で読むクムク語(3)

さてクムク語訳LPPによる言語紹介記事も、あまり長引かせる意味はないよなあと思いつつ、一度やりだした以上は最後までやり遂げることも大事だろう(我ながらいいこと言うたりましたわ)ということで、第2章の各文の分析を続けていこうと思います。

前回までの記事は以下の通りです。

これはクムク語に限らず、トルコ語以外の言語で気になっている現象が入っている構文です。何がといいますと、「ある/ない」のように存

もっとみる
『星の王子さま』で読むクムク語(2)

『星の王子さま』で読むクムク語(2)

前回の更新から、すっかりほったらかしにしていましたこの企画。

クムク語といえばLPP(『星の王子さま』)ですね。ヌリヤーナ氏の力作たるクムク語訳本から、第2章を見ておこうということで始めたこの企画。やはり完走させないことには…ということで、勤労感謝の日たる今日、頑張って進めてみますか。

では、前回の続きから開始します。文の番号は通しで(11)からです。

動詞の現在形で語幹末が/a/や/e/で

もっとみる
紆余曲折を経て、2nd Editionにようやくたどり着くの巻

紆余曲折を経て、2nd Editionにようやくたどり着くの巻

昨年の今頃、こんな事案がありました。

テュルク語学に必携の文献、その名も"The Turkic Languages" (Routledge)の「第2版」をAmazon経由で購入したら、取引先の書店がなんとインドくんだりから「初版」を送り付けてきよった(ので怒りの返品+返金要求をやるに至った)(あの時の無駄に消費したエネルギーと送料を返してほしいぜマッタク)、というのがその顛末なのですが。 今年に

もっとみる
ウイグル語がまぶしすぎる

ウイグル語がまぶしすぎる

先日書いた記事ではずっと欲しかったウズベク語のほかにハカス語、サリグ・ヨグル語の文法書までいただいてしまった、という内容について書いたのですが、なんせ大きい段ボール箱2つ分の本です。これだけじゃないんですねぇ… このほかにも、カザフ語関連の図書がたくさん入っておりました。カザフ語もアツい…しかし今回一番多かったのは、どうやらウイグル語関連の書籍のようです。

いただいたウイグル語各書籍は、現地で出

もっとみる