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年金1級からの社会復帰⑧気づかないトラウマがたくさんあった


前章の続きです。

マチアプでちょっと遊んでみる

うつ状態を治療した過程の詳細(再掲)です。

・マインドフルネス
・腸内環境(リーキーガット等)を、内服薬 + 自己判断サプリで治療
・虫歯治療、銀歯の交換

これらを続けていくうちに、一日布団にこもるようなうつ状態が、次第に減っていきました。

生活リズムや人と話す気力は日によってまちまちですが、思考し行動できる日数は格段に増えました。

マッチングアプリにハマり、異性と連絡をとって会ってみたりと、そんな気力も出てきました。

が、不思議と色恋・セックスに依存せず、自分の今後の人生を見すえた選択ができるようになっていました。

時間とお金は治療のため。

そんなふうに考えられるようになってました。

「自分が最も望む答えに従う」というマインドフルな生き方が少しずつ身についっていたのです。

うつ状態は4~5か月で完全消滅しました。

が、それでもまだ働ける自信がありませんでした。

友人のツテでバイトをしてみる

しかし食い扶持を稼がねばなりません。

土木工事の現場で活躍する友人に連絡を取り「働かせてくれないか?」と聞いてみました。

宅地の建設予定地に重機で穴を掘り、コンクリを流し込んで地盤を安定させる仕事です。

そこで「手元」(施工作業の補佐)を1月ほどやりました。

以前いた建築現場よりは単純な仕事でしたが、それでもすぐ辞めてしまいました。

その手の仕事ができない理由は、視覚認知のからむマルチタスクが全くできないことです。
(詳しくは

「指示されたものを運びつつ、コンクリの固まり具合をチェックする」などということが全くできず、友達もあきれていました。

当時はまだ自分の弱みを理解しておらず、根性出せば何とかなるという思い込みを捨てれなかったのです。

ただ、そこでやっと学べたことがありました。

コミュニケーションとメンタルの弱さです。

新人が仕事で怒られる場合、それは大抵覚えが悪いからです。

仕事に限らず、少しでも自分に非があると「この言われ方はちょっと理不尽だ」と思っても、極端にビクついてしまいます。

身に覚えのある人、いるんじゃないでしょうか?

そして上司や同僚に平謝りをくりかえし、かえって相手をイラつかせます。

謝った後でまた似たようなミスをします。

しまいには「こいつやる気あるのか?」と思われ、当たりが強くなり、追い詰められていきます。

それまで僕が、あらゆる職場から逃げ出してきた原因は、自己分析が極端にできないことに加え、人前でのメンタルの弱さにあったのです。

教授の心理療法を受けてみる

バイオレゾナンスの中村先生は、腸壁の状態は改善されたと言っていました。

これで次に進めると思い、僕は田崎教授にその旨を伝えました。

そして教授の主催する、ニューロフィードバックカウンセリングルーム「心の森」に通いました。

初回に脳波を測り、一度施術を行いました。

ですが、計測値の上で変化はほぼありませんでした。
脳波の乱れが改善されないのです。

すでに自分の生い立ちから病歴から説明してある田崎先生は、
「あなたはトラウマをまず癒すことが先決です」
と言いました。

正直僕はその言葉に半信半疑でした。

先生の行っている心理療法はPTSDの治療等に使われる「スキーマ療法」を応用したものと理解していました。

ですが、過去に伊藤絵美さんという臨床心理士が書いたスキーマ療法の本を読み漁っていたので、自分が「トラウマ」持ちだとは思えませんでした。

僕の仕入れた知識は、性的暴行・児童虐待などの悲惨な経験を持つ患者の治療例がほとんどだったからです。

ですが、先生いわく、

衝撃的な体験で一気に感情がふさがれる人もいるが、小さな傷つき体験を重ね、それにより「認知のゆがみ」(現実を公平に解釈できないこと)が生じるケースはたくさんある。

また、そのような場合多くの患者には自覚がない、とのことでした。

  に書いたように、僕の育った環境は「下の上」だと思っています。
(客観的評価は難しいですが。)

ネグレクト、傷の残るような暴力、また学校でのいじめ、そのような経験はありませんが、些細なことで両親に怒鳴られたり、頬を叩かれたりしていました。

思えば高校生くらいからは、家にいるのが苦痛でした。

本格的なうつ状態に陥ってからは、両親の態度はさらに硬化し、自傷を行った僕が精神科で「うつ病」の診断を下され、母親が限りなく自己憐憫に近い涙を流す、という始末でした。

(かなり悪口を書きましたが、いま親子関係は修復できています。昔は両親とも心の余裕がなかったと思っているので、とりあえず義理人情は果たすつもりです。)

精神科の投薬「治療」に疑問をもち、根本治療を探る医療従事者・研究者の例にもれず、田崎先生はとても濃い性格の人でした。

そんな人に強く推され、僕は先生の自我統合療法を受けるようになりました。

一回のセッションは約30分、2か月のあいだに受けた回数は6~7回でしたが、劇的にメンタルが改善されました。

セッションは次のような内容です。
 のスキーマ療法の解説と比較してみてください。)

①現在の自分の困りごとに関する傷つき経験を説明する。
たとえば、
「自分は理由にかかわらず大声を出されるとフリーズしてしまう。子どものころ両親に○○と言ったら、訳も分からず怒鳴られたことがある」
など。
(ここができない人はまずマインドフルネスの習慣化をしてください。)
 ↓
②目をつむってリラックスし、そのシーンを鮮明に思い返す。
 ↓
③その中に大人になった自分を登場させ、傷つけた相手に思うことを言い、子どもの自分を守り、安心させてあげる。
 ↓
④子どもの自分の気が済むまで、一緒になって楽しいことをする場面を想像する。
 ↓
⑤想像の中で、傷ついたすべての自分を一か所に集め(僕は200人くらいいました)、大丈夫だから一緒に生きていこう、と伝え、全員が今の自分の中に入っていくのをイメージをする。

ちょっと恥ずかしいのですが、セッションが終わるたび僕は涙を流していました。

が、心の中はとても静かで、気がついたら自然に落涙してる不思議な感覚を味わいました。

このようなセッションを、複数の傷つき体験に対して丁寧に行っていきました。

すると日常的に感情が安定するようになり、対人関係が好転していきました。

都合の悪いことを言われても動揺しづらくなり、相手の感情が激化することも少なくなりました。

まだ途中にすぎませんが、これは
「ネガティブ感情もちゃんと味わい、それに振り回されない」
という、マインドフルな状態そのものです。

こうして対人関係に若干の自信を得た僕は、クローズド就労に向けて動く覚悟を決めました。

(余談:就労後も、トラウマ由来の心の弱さを感じるたび、田崎先生のセラピーを受けることがあります。そのたびに精神的なタフさは向上していってます。)

次章は再就職についての試行錯誤です。

以上です。

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