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根本原因⑥副腎疲労(病態編)

症状・相互作用

・うつや倦怠感、気力低下。朝起きられない。
→ 結果的に「うつ病」や「適応障害」といった診断が下ります。

・思考力・記憶力・判断力が低下します。
・立ちくらみが起きることもあります。

・食物に依存傾向が出ます。
 甘い物(血糖維持)→ 低血糖症の原因になります。
 塩分(血圧維持)
 カフェイン(覚醒維持)

・男女とも性ホルモンが減少し、性欲の低下、重い生理、PMS、不妊の原因になります。

・精神的ストレスが原因になりえます。
慢性炎症重金属の蓄積、細菌感染など身体的ストレスも原因になりえます。

※他の様々な疾患の結果であり、原因でもあります。

治療分類:内科的治療・ホルモン
担当医療ジャンル:
統合医療(オーソモレキュラー)

コルチゾールとは

副腎というマイナー?な臓器があります。

腎臓の上の小さいやつ

コルチゾールやアドレナリンを生産・分泌する臓器です。

コルチゾールは、セロトニンやドーパミンほど知られてませんが、
精神に大きな影響を与えるホルモンです。

緊張状態になった時、素早い判断と行動を促す働きがあり、闘争 or 逃走のホルモンと言われています。

ノルアドレナリン、オレキシンなどと同様に覚醒や興奮をもたらし、血圧と血糖値の維持も行います。

一日の中で分泌量が大きく変化し、睡眠・覚醒のリズム作りにも貢献します。

炎症抑制も行います。

副腎疲労はそんなコルチゾールの分泌に異常をきたす病態です。

ホルモンの疾患なので他の疾患の結果であり、原因にもなります。

臨床分子栄養医学研究会による内科的治療のピラミッド
(下段が上段の原因になる)

副腎疲労のステージ

以下のような経過をたどり、症状が変化していきます。

①コルチゾールの増加
→ 普段よりむしろ元気、不眠症など
②コルチゾールの減少
→ 気力が通常レベルに戻る
③コルチゾールの低下
→ 覚醒や精神にまつわる症状が出る
④コルチゾールの枯渇
→ ほとんど動けなくなる

①は覚醒・緊張をもたらすコルチゾールが過多なので活力が増しますが、次第に元に戻り低下、枯渇していく段階を踏みます。

②と健康時の違いは、性ホルモンの量です。
両者は原料が同じコレステロールで、コルチゾールが優先して生産されるため、性ホルモンは①~④まで低下を続けます。

④の場合、順調に治療して回復に半年~1年かかります。
(完治までは2年程度が多い。)

原因は副腎ではない

…とはいえ、副腎という内臓を調べても何も起きていません。

副腎疲労は、正しくは「HPA軸機能障害」といいます。

副腎はただの生産工場であり、そこに命令を下す脳機能の異常や材料枯渇の問題です。

ストレス状態になると、ホルモンを介して次の順に命令が伝わります。

脳の視床下部(Hypothalamic
 ↓  ← 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
脳下垂体(Pituitary
 ↓ ← 副腎皮質刺激ホルモン
副腎皮質(Adrenal
 ↓
★コルチゾール放出

(※ホルモンによる伝言ゲームは、副腎・甲状腺・性ホルモンの特徴です。
アドレナリンは副腎髄質、コルチゾールは副腎皮質で作られます。)

のステップに異常をきたすパターンは2つあります。

自律神経にはフィードバック機能があって、作動後に脳に報告が行き、それをもとに調節されますが、

①ブレーキが効かなくなる
→ コルチゾールが出すぎると、通常は命令するホルモンにストップがかかりますが、慢性的なストレス状況により止まらなくなります。
結果としてコルチゾールの材料が欠乏します。

※身体的ストレス(生活習慣・炎症など)や精神的ストレスによります。

②ブレーキが効き過ぎて止まる(主に脳下垂体)
→ 逆に、命令するホルモンにストップをかけすぎて、副腎が何もしなくなります。分泌量の日内変動が多いコルチゾールですが、基礎代謝量もぐっと落ちます。

※PTSD、慢性疲労症候群、線維筋痛症などによるそうです。

副腎疲労の原因

根本原因ピラミッドの上部の疾患は、複数の原因が複合して発症します。

精神的ストレス

コルチゾールはストレスに耐えるためのホルモンなので、人間関係や周囲の環境からのストレスによって分泌量が増大します。

(過剰なストレスの原因となるトラウマや認知の歪みについての解説は

身体的ストレス

疾患による身体へのダメージも緊張状態をもたらし、コルチゾールを消費させます。
ピラミッドの三段目以下に該当する根本原因群が原因になり得ます。

根本原因⑤微生物の脳内侵入・排出力低下
根本原因⑦甲状腺等のホルモン異常
根本原因⑧血糖値スパイク
(※記事未作成)

根本原因⑪疾患性・遺伝性栄養欠乏
副腎疲労はビタミンCやビタミンB5を大量に消費します。

※実際の治療過程はこれらを①②③⑪ → ④⑤ → ⑦⑧の順に疑っていきます。

生活習慣

・睡眠不足
睡眠が足りないと、覚醒を保つホルモンが多く分泌されコルチゾールも影響を受けます。

・夜更かし
体内を修復する成長ホルモンは午前0時が分泌のピークです。それまでに寝ていないと、睡眠時間が十分でも原因となり得ます。

・生活時間帯の不規則
コルチゾールの量は、起床時間前に高まっていき、起床後30分程度でピークを迎えます。
その後は次第に低下し、就寝時間に最も低くなる日内リズムを持っています。
睡眠と覚醒のリズムが不規則だと視床下部と脳下垂体の命令系統が影響を受けます。

・運動不足
コルチゾールは適度に生産し適度に消費するのが大事です。
散歩などの最低限の運動をしないと、身体のプチ緊張状態がなくなって分泌維持に悪影響があります。

次章では、鑑別のための検査と治療ステップを解説します。

以上です。

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