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ともみの部屋 #2

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伊佐知美の、世界一周の旅とエッセイ。2016年10月〜
運営しているクリエイター

#旅と写真と文章と

ジェルネイルを辞めた分、軽くなった夏と秋のあいだの夜に

ジェルネイルを辞めた分、軽くなった夏と秋のあいだの夜に

夕暮れを見届けたあと、すこしだけ歩こう、と思って海沿いを進んだ。日が沈むと沖縄の夏は秋にすぐに向かっていく。東京よりも涼しい夏の夜なのではないかな、とワンピースの裾はためかせて確かめる。

月に一度、通い続けているジェルネイルサロンに寄ることを、仕事終わりにさっき決めた。

世界旅行をしていたときに、必ず塗っていた爪の先。なんとなく面倒くさくて、何よりもサロンに通い続ける、ということがあまり性に合

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世界中の、何気ない日常の愛おしさと美しさを写したい #花と写真と日々と

世界中の、何気ない日常の愛おしさと美しさを写したい #花と写真と日々と

このnoteは、2021年春に実施した「伊佐知美とGENICとNikon Z 6IIでPhotoLabo #花と写真と日々と 」のイベントレポートです

突然だけど、「何かを撮る」という行為が、「とくべつ」でなくなって久しい。

それはやっぱり、スマートフォンが世界中に普及した結果、「カメラ」という「機材」をそろえることなしに、「瞬間を残すこと」が多くの人にとって、容易になったからだと思う。

撮る

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#旅と写真と文章と Autumnシーズンの募集をはじめました🍁2020/10.1-12.31

#旅と写真と文章と Autumnシーズンの募集をはじめました🍁2020/10.1-12.31

「すべての旅、写真、文章、いずれかが好きな人の、心と暮らしのよりどころになれますように」

自然とそう言ってしまったのだけれど、できたらそういう場所になってくれたいいなと思っています。

2017年12月に開始した、オンラインコミュニティ「#旅と写真と文章と」。毎期、3ヶ月ごとにメンバーが入れ替わる期間制を採用しています。

理由は、参加も、おやすみも、継続も、自由に選べる、風通しのいい空間であり

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島と、花と、日々と。きっとこれからの私を、彩るもの。

島と、花と、日々と。きっとこれからの私を、彩るもの。

新しい部屋に足を一歩踏み入れたとき、「あぁ、風が通り抜ける美しい場所だな」と思った。

高台の、ビンテージマンションの最上階。二面採光どころではない、三面、ほぼ四面、みたいな明るさで、部屋にいながらにして朝陽と夕陽、さらには海と、誰もが知っているであろう歴史的建造物が見えた。

「窓を開けると、風が気持ちよく吹きます」。この部屋を知るひとは、私にそう言伝をした。着いたら、まず窓を開けよう。

そう

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「このまま旅を続けていても、どこへもたどり着けないから」

「このまま旅を続けていても、どこへもたどり着けないから」

愛していた、愛していた「旅」と「書くこと」。今も変わらず「愛している」。けれどそれはまた別の顔をもって、いま私の横にそっと立つ。

「どこへ向かいたいの?」。旅に出てから数年経って、私がわたしに、もっとも問うていた一言。

「このまま旅を続けていても、どこへもたどり着けないから」。あの夜ぽつりとこぼした私に、あなたはそっと、「どこかへたどり着きたい、の?」とだけ聞いた。

その返された言葉の響きを

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夏と秋のはざまの季節は、いつだって何かしらの決断を迫られて

夏と秋のはざまの季節は、いつだって何かしらの決断を迫られて

一歩いっぽ、踏み出している感覚があった。東京・清澄白河の家の自動ドアが開く。

近づいてゆく感覚を持った。普段、こんな風に、「わたしはしっかりと歩いている」という実感がなかったことに、歩きながら思わず自覚的になる。

一歩いっぽ、目的地へと近づいてゆく。都会の考え抜かれた店々の外観や食事の素材、見栄え、思いもつかなかったような、求めていたのかわからないけれどなんだか欲しくなってしまうような「バリエ

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#写真に重ねる私たちの日々と温度 カメラを手にする私たちの暮らし方|古性のち・伊佐知美・GENIC

#写真に重ねる私たちの日々と温度 カメラを手にする私たちの暮らし方|古性のち・伊佐知美・GENIC

その日私は、終始笑顔だったイベントを終えた後、改めて一人で、静かに思いました。

「カメラを手にし始めた理由」も、「カメラの選び方」も「私らしい写真を撮るための工夫や努力」も、改めて言語化して、人に話すなんて、そういえばしばらくしていなかったな、と。

このあいだの、週末の午前中。

「#写真に重ねる私たちの日々と温度」と題したトークイベントを、友人でありカメラ・旅仲間である古性のちさんと開催しま

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#旅と写真と文章と Summerクルーの募集を開始しています!

#旅と写真と文章と Summerクルーの募集を開始しています!

「#旅と写真と文章と」という名前の、オンラインコミュニティを運営している伊佐知美と申します。2020年7月〜9月末までの3ヶ月間、一緒に活動するメンバー=クルーの募集を開始しました! このnoteは、そのお知らせの記事です。

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こんばんは。このnoteを読み進めてくださって、ありがとうございます。伊佐です。

突然ですが、「#旅と写真と文章と」という、オンライン上の「集まる場所」をつくり

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時に写真は、言葉よりも鮮明に気持ちを示す。半径数メートルになった私たちの世界で

時に写真は、言葉よりも鮮明に気持ちを示す。半径数メートルになった私たちの世界で

これは、私の独白、みたいなもの。

そうそう。「旅に出てはいけない」と世界がなって、私がそのうちに感じたのが、「出なくてもいいのか」という、じつは少しだけ安堵に似た気持ちだったこと。

「急いで生きなければならない」とか、「頑張る」……つまり「背伸びをし続けて走る」とか、「誰かと競争したり、比べられたり、比べちゃったり」というような世界から、少しだけ距離をとって、「私を取り戻したい」とこの数年感じ

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朝のルーティン、時の刻みを教えてくれる花さえあれば

朝のルーティン、時の刻みを教えてくれる花さえあれば

朝、目が覚めたら私はまず指先で大切なものを探す。それから、カーテンを開け、窓を開けて、新しい空気を部屋の中に取り込む。すべてはそこから始まってゆく。1日。

「Verseau」というハーブブランドを、友人がつくっている。「Akeru」というなんとも朝にぴったりのお茶があるので、それを淹れよう、とお湯を沸かそうとする……ところで、昨夜飲みかけのまま、シンクに置いてしまったワイングラスに入ったビールを

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「#旅と写真と文章と」 #2020Spring 新クルー募集をはじめました!

「#旅と写真と文章と」 #2020Spring 新クルー募集をはじめました!

こんにちは! みなさんいかがお過ごしですか?

今、東京にいますか? どこか違う街で過ごしていますか? 海を越えて、遠い異国の地で暮らしている、という方もいらっしゃると思います。

どこにいたとしても、みんなが元気に変わらず過ごしてくれていることを、心から願っています。

……って、お前誰やねん、なに目線か。というのは私も書いていて思っています(笑)。

さて! いろいろ考えたりもしましたが、今期

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綴らなければ手のひらからこぼれ落ちてしまう日々のこと

綴らなければ手のひらからこぼれ落ちてしまう日々のこと

陽の光で目が覚めて、家のことを済ませて自宅で仕事をはじめ、お昼ごはんを食べて仕事やらなにやらをしていたら空が暗くなって、そして眠ってまた朝の光に包まれる。

そんなことを繰り返していたら、3月が終わろうとし始めた。さっきまで3月3日くらいで、「そろそろ『3月9日』聴かなきゃな」とかって思っていたのに、いつの間に30日なんて数字を迎えたのだろう?

世の中が、大きく変わる音のした一ヶ月だった。

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「ひとはきっと、自分を助けてくれるものに」

「ひとはきっと、自分を助けてくれるものに」

「人はいつも、自分を助けてくれるものを探している」。

松浦弥太郎さんが本の中で言っていたことばが、頭からずっと離れない。たしか、『もし僕がいま25歳なら、こんな50のやりたいことがある。』だったと記憶している。

花のある暮らしを、と声高に叫びたいわけではないと思う。けれど、きっと私を、私たちを。いま、軽やかに、けれど深く。助けてくれる存在が、花だったり、日だまりだったり、するのかな、と。

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アンテナを張って生きること、蕾咲きゆく美しさ

アンテナを張って生きること、蕾咲きゆく美しさ

『灯台もと暮らし』という媒体をつくっていた時、チームの中で暗黙のルールみたいなものが存在していた。それは、「3つ揃ったかどうか」ということ。

もとは、鈴木絵美里さんという、女性編集者の方をインタビューさせてもらったときに、話題に出たのがきっかけだったと思う。

「3つ揃ったか」というのは、生息地や価値基準の異なる(と思われる)まったく違う層に生きる人たち「3方から、同じキーワードを聞くようになっ

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