見出し画像

「試験勉強の秘密兵器は筋トレ!?暗記力が飛躍的に伸びる科学的理由とは!」


ELSTAという施設にいた頃、毎日続くテストと月末の大きな試験に備えて、休憩時間を有効に使うために施設併設のトレーニングルームで筋トレをしていたことを思い出します。そこでは、筋肉量が多い隊員や、短時間で効率的に筋トレを終わらせる隊員が、筆記成績でも良い結果を出していたように感じました。一方で、だらだらと長時間トレーニングを続ける隊員は、必ずしも学力や暗記力で好成績を残せていたわけではありません。

この経験から、私は「筋肉量やトレーニング時間が学力や暗記力にどう関係しているのか?」という疑問を抱くようになりました。今回は、筋トレと学力、特に暗記力との関連について、医学的な視点から探っていきたいと思います。

筋トレと脳のパフォーマンス――運動がもたらす神経学的効果

まず、筋トレが脳に与える影響について考えてみましょう。運動が脳の機能に良い影響を与えることは、数多くの研究で証明されています。有酸素運動が脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌を促進し、神経細胞の成長をサポートすることはよく知られていますが、筋トレもまた脳に対してポジティブな影響を持つことが示されています。

ある研究では、筋力トレーニングが認知機能を向上させることが報告されています。具体的には、週に数回の筋トレを行うことで、短期記憶や作業記憶が向上することが確認されています【Liu-Ambrose et al., 2010】。これは、筋トレが脳の血流を増加させ、海馬(記憶に関与する脳の部分)の機能を高めるためだと考えられています。

短時間のトレーニングのメリット――集中力と効率性の向上

次に、トレーニングの時間と学力の関係を考察してみましょう。私が観察したように、短時間で効率的に筋トレを終える職員が、長時間だらだらとトレーニングを続ける職員よりも成績が良いという現象には、いくつかの理由が考えられます。

まず、短時間でのトレーニングは、脳の疲労を最小限に抑える効果があります。長時間のトレーニングは、逆に疲労感を増し、集中力を低下させることがあります。これにより、学習効率が下がり、暗記力が低下する可能性があります。逆に、30分以内の短時間での高強度トレーニングは、エンドルフィンの分泌を促進し、気分を高揚させ、学習に対する意欲を高めることができます【Dunn et al., 2001】。

また、短時間のトレーニングを好む職員は、計画的かつ効率的に行動する傾向があるかもしれません。このような性格特性は、学習の場面でも発揮され、短期間での集中学習が効果を発揮するため、成績にも良い影響を与えている可能性があります。

筋肉量と認知機能――体力と脳力の関係性

筋肉量が学力に与える影響についても考えてみましょう。筋肉量が多いということは、一般的に体力が高く、日常のストレスや疲労に対する耐性が強いことを示しています。これにより、長時間の勉強やテストのストレスにも耐えやすく、結果として高い学力を維持しやすいと考えられます。

さらに、筋肉量が多いことは、テストステロンや成長ホルモンの分泌が活発であることを意味し、これらのホルモンが認知機能や記憶力にプラスの影響を与えることが示されています【Booth et al., 2013】。筋トレを通じてこれらのホルモンが分泌されると、脳の認知機能が高まり、学習効果が向上する可能性があります。

結論:筋トレと学力の関係はポジティブだが、バランスが重要

以上のように、筋トレは学力や暗記力に対してポジティブな影響を与える可能性が高いことがわかります。しかし、重要なのは、トレーニングの質と時間のバランスです。短時間で効率的に筋トレを行うことで、脳の機能を高め、学習効果を最大化することが期待できます。

逆に、だらだらと長時間のトレーニングを続けることは、脳に過度な負担をかけ、学習効率を低下させるリスクがあるため、避けるべきでしょう。私自身の経験からも、短時間で効率的に筋トレを行うことが、テストでの好成績につながると感じています。

もしあなたが学力向上や暗記力の強化を目指しているなら、筋トレを取り入れつつ、その時間をうまくコントロールしてみてください。適度な筋トレが、あなたの学習効果を一段と高める助けとなるでしょう。

参考文献



  1. Liu-Ambrose, T., et al. (2010).Liu-Ambrose, T., et al., “Resistance training and executive functions: A 12-month randomized controlled trial,” Archives of Internal Medicine, 170(2), 170-178.
    • 筋力トレーニングが認知機能に与える影響についての研究。

  2.  Dunn, A. L., et al. (2001).
    Dunn, A. L., et al., “Exercise treatment for depression: Efficacy and dose response,” American Journal of Preventive Medicine, 28(1), 1-8.
    • 運動がメンタルヘルスと認知機能に与える影響についての研究。

  3.  Booth, F. W., et al. (2013).
    Booth, F. W., et al., “Waging war on physical inactivity: Using modern molecular ammunition against an ancient enemy,” Journal of Applied Physiology, 114(2), 194-206.
    • 運動とホルモン分泌が認知機能に与える影響についての研究。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?