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読書暮らし

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#小説

3月に読みたい、わたしの本棚

3月に読みたい、わたしの本棚

3月に入るとすぐに桃の節句がきて、そしたら寒い日と暖かい日が交互にやってきて、ああもうすぐ春が来るんだなあと少しずつ心がうきうきするのを感じています。

このごろはおうちで働く人や、おでかけを控えようだなんてお話もたくさん聞くけれど、わたし自身はあまり変わりなく、ぼやりぼやりと毎日を生きています。

今日は春先に読みたい本を思い出してみることにしました。

◆『アラビアの夜の種族』古川日出男間違い

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ほしいのは、こんな友達/あしながおじさん

ほしいのは、こんな友達/あしながおじさん

「あしながおじさんがほしい」なんて、学生のときによく友達とぼやいていたことを思い出す。

例えば「援助交際」がしたいとか、今でいう「パパ活」がしたいとか(同じか)特に深い意味があったわけではなく、ただ単に「定期的に何もしないでお金が欲しい」くらいの他愛もない会話だったと思うけど、いかにあしながおじさんを読んだことがないかがバレる恥ずかしい会話だったなあと今ならわかる。

あしながおじさんは「不幸な

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片手で持てるくらいの小さな存在だけど/図書室のキリギリス

片手で持てるくらいの小さな存在だけど/図書室のキリギリス

こういうのはさあ、ずるいんだよねえ、と思いながら絶対に手を取ってしまうジャンルがある。

それは「本屋」だとか「図書館」「図書室」みたいな単語がタイトルに入ってるもの。多分ほとんど無意識的に手に取っている。

だって本がすきなんだもの、そりゃあすきなものが題材になっていたら気になるでしょうよ。

冒頭を読み出してからだいたい、ああ、またつられてしまった、と気付くのだけど、今回はちょっと気になってし

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誰だっていつでも子どもに戻れる/トムは真夜中の庭で

誰だっていつでも子どもに戻れる/トムは真夜中の庭で

『トムは真夜中の庭で』(フィリパ・ピアス:岩波少年文庫)を読んだ。

初めて手に取ったとき、ずっとずっと昔の物語なんだろうと勝手に思っていたけど、日本で初版が出たのは1975年。わたしが生まれるたったの25年前のことだった。

秘密がある庭ってすごくすごく魅力的。

自分だけの庭で、自分だけの秘密基地を作って、自分だけの友達ができて。

これは「時」をテーマにした、とてもきれいなファンタジー。

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子どもを守るナイトになりたい、といつかきっと/クローバーナイト

子どもを守るナイトになりたい、といつかきっと/クローバーナイト

将来、結婚するかもわからない。ましてや、子供がいる想像なんて。

わたしはまだまだ自分のことがいちばん心配で、不安。だから結婚に対して特段何かを思うことはこの年でお恥ずかしながら正直全くと言っていいほどない。それでも同年代の人たちが結婚したり、子供を産む話も聞くようになってきて、縁遠い世界とは言えなくなってきた。

ただ、それでもあまりにもピンとこなくて子供の話を聞いても「かわいいねえ」という感想

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みんな、将来に向かって歩いている。/つむじ食堂と僕

みんな、将来に向かって歩いている。/つむじ食堂と僕

吉田篤弘さんの持つ独特の空気感はなんなんだろうなあ。

最近は女性作家さんを手に取りがちなんだけど(本当に無意識で)それでも吉田さんのこのニュートラルな感じがとてもとても好きで、気がついたら手に取ってぱらぱらとページをめくってしまいます。

今日、本屋さんで見つけてその場でつい読み切ってしまったのが『つむじ風食堂と僕』(ちくまプリマー文庫)

この本は吉田篤弘さんの著作のなかでも有名な<月舟町三部

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かくれんぼと夢と儚さと/ユメミザクラの木の下で

かくれんぼと夢と儚さと/ユメミザクラの木の下で

昨日ご紹介した『ふしぎな木の実の調理法』に引き続き、今日もこそあどの森です。

すっかりハマってしまって、ちょこちょこと読んでいるのだけど、今日読んだ『ユメミザクラの木の下で』が本当にほんとうにとても良すぎたので、連続だけどお話させてください。



遠くは離れて暮らすバーバからお手紙でかくれんぼの話を聞いてから、かくれんぼのわくわくって一体何なのだろうとスキッパーは興味を惹かれます。

スキッ

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春が持ってきてくれるもの/ふしぎな木の実の料理法

春が持ってきてくれるもの/ふしぎな木の実の料理法

この森でもなければ
その森でもない、
あの森でもなければ
どの森でもない、
「こそあどの森」

こそあどの森を知っていますか?

昨日ご紹介した『選ばなかった冒険』をはじめ、岡田淳さんは小学生がふとしたきっかけで不思議な世界に紛れ込んでしまうような物語が多くあります。

多いし、その全てが例外なくわくわくさせてくれるので、子供向けのファンタジーのおすすめは?と聞かれると岡田淳さんをあげることが多い

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ゲームの世界ってとんでもなく理不尽だ/選ばなかった冒険

ゲームの世界ってとんでもなく理不尽だ/選ばなかった冒険

人としての役割は一体どこでつけられてしまうんだろう。
わたしと君の違いはなんだろう。

与えられた役割を全うする。
それでいいのかな。

本当にいいのかな。

***

読み終わった直後から、や、途中から悶々としてくる。

ゲームの世界に飛び込んでしまって、その中で過ごすことになる主人公。

今回読んだ「選ばなかった冒険-光の石の伝説-』(岡田淳:偕成社文庫)の本当に簡単なあらすじはこうだ。

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少し背伸びして憂いてみるのも悪くない

年をとることが必ずしも悪いことだとは思っていないけれど、制服を着て軽やかに走りすぎていく高校生や、どつきあいながらも笑っている小学生を見るとほんの少しだけ切ない気持ちになる。

それでも、わたしは大人になってからのほうが楽しいと思えることが増えた。

最たる理由としては自由であるとか、孤独でいられるとかいろいろとあるけど、そのなかのひとつに江國香織さんの小説が馴染んできたということがある。

たぶ

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今度の休みはあの物語の舞台に行こうか

今度の休みはあの物語の舞台に行こうか

好きな物語のジャンルは?と聞かれると「ファンタジー」と答えることほぼ200%のわたしだけど、それはもう間違いないのだけど、ひとつだけ困ってしまうことがある。

それはわたしは読んだ物語にすっごく影響を受けやすいこと。

登場する食べものはすぐに食べたくなってしまうし、舞台になる場所は旅行にかこつけて行きたくなる。

ファンタジーの作品は大好きだけど、空想のものが多すぎて再現しようがないのだ。だから

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やりたい、をお守りにして/『太陽のパスタ、豆のスープ』

やりたい、をお守りにして/『太陽のパスタ、豆のスープ』

やりたいことリストを作ろう、と思い立った。

やりたいことリストというのはその名の通り自分がやりたいと思うことを100個書き出し、叶うたびにチェックを入れていくというもの。

『願い事は形にすると叶う』という考えに基づいており、書いていく先からするするとチェックがついていく人もいる…らしいのだ。

欲深いわたしのことだから100なんてあっという間に埋まるだろう、そう考えて書き出しては見たもののその

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どうしようもなく大人になってしまったあのとき

どうしようもなく大人になってしまったあのとき

悔しくて悔しくてどうしようもないことってありますか?

それを感じたのは最近いつでしたか?

最初に感じたのはいつのことでしたか?

***

わたしもそこそこの大人なので今までに悔しくて泣いてしまったことだって何度もある。それは、自分の未熟さゆえだったり、理不尽さに反論すらできなかったことだったりいろいろだ。

だけど、わたしが生まれて初めて「悔しい」と「どうしようもない」と感じたことは対人間関

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ごはんもののおはなしに無性に惹かれてしまうわけ

ごはんもののおはなしに無性に惹かれてしまうわけ

わたしはご飯のことが書かれているおはなしがすきだ。

最近読んだ本でいちばんのヒットは「東京すみっこ物語」(作:成田名璃子)という”料理を作ること”が主役の小説だし、ネットを徘徊していても広告でグルメ漫画の試し読み!なんて出ていたら迷わずクリックしてしまうし、エッセイだってご飯やお菓子の話だって探して最初に読みだすくらいだ。

だけど、だからと言ってわたしが普段むちゃくちゃに料理をするかというとそ

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