3月に読みたい、わたしの本棚
3月に入るとすぐに桃の節句がきて、そしたら寒い日と暖かい日が交互にやってきて、ああもうすぐ春が来るんだなあと少しずつ心がうきうきするのを感じています。
このごろはおうちで働く人や、おでかけを控えようだなんてお話もたくさん聞くけれど、わたし自身はあまり変わりなく、ぼやりぼやりと毎日を生きています。
今日は春先に読みたい本を思い出してみることにしました。
◆『アラビアの夜の種族』古川日出男
間違いなくおすすめなんだけど、いつもなんて紹介したら迷っちゃう、そんな作品です。
ファンタジーで、歴史書で、伝記で。でももしかしたら実話なのかもしれない。読みながら本当に物語のなかに飛び込んでしまったような、自分がどこにいるのかわからないような感覚になりました。
舞台はエジプト。ナポレオンの侵略に怯えるエジプトが考え出したのは極上の献上品でやりすごそうというものでした。そこで候補に出たのは、読む者を破滅に導き、歴史を覆す書物『災厄の書』。ところがそんなものは存在しなかった。ならば、作り出せば良いだろうと語りだすのです。
千夜一夜物語をモチーフに「一度読んだら面白すぎて、読むのをやめることができない本」として始まる物語なのだけど、これがもう本当に本当に面白くて当時、徹夜して読みました。
二段組上下巻の読み応えのある小説です。
どっっっっっぷり、物語の世界に浸りたい方はぜひ読んでみてほしい。寝食どころか現実世界のことぜんぶ忘れちゃえる。はず。
◇『くまのプーさん 』A.A.ミルン
前にも書いたことがあるプーさん。なんだかもういちど読みたくなって選びました。
新しいことが始まる春って、わくわくもあるけど、でもちょっぴりだけ不安なこともあるんです。それはいくつになっても同じで。何かしたいな、何ができるかなって考えてはうんうん唸ることもあります。
だけど、いつも「何もしないことがいちばんいいよね」って毎日を優しく生きてる彼らをみるとふっと力が抜けるんです。
何度読んでもここがすき。
「ぼくが、世界中でいちばんすきなのはね、ぼくとコブタで、あなたに会いにいくんです。そうすると、あなたが『なにか少しどう?』っていって、ぼくが『ぼく、少したべてもかまわない。コブタ、きみは?』っていって、外は歌が歌いたくなるようなお天気で、鳥がないてるってのが、ぼく、いちばんすきです。」
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あまり変わりなく〜なんて書いたけれど、3月はいつもどこか緊張しているのかもしれないなと書きながら気がつきました。
春は何かが新しくなる季節。それまでに何かちょっとでも成し遂げたいな〜なんて気合が入っているのかもしれません。
そんなときにどっぷり浸れる物語と、少し肩の力を抜いてくれる物語を。
来月は何を読もうかな。
もっともっと新しい世界を知るために本を買いたいなあと思ってます。