テニス上達メモ120.運動能力の差はこれ! あなたは「外向的or内向的?」
▶太ももの上げ方を意識するとダッシュ力は落ちる
運動は、注意を外側へ向ける「外向的」だと、自然な動きを行うように体ができています。
たとえば100メートル走であれば、太ももの上げ方や腕の振り方などといった自分の内側に注意を向ける「内向的」だとパフォーマンスは落ちます。
先に誤解を招かないようにお伝えしておくと、「外向的」「内向的」などというと、普段使っている言葉から「性格の話」と捉える方もいるでしょう。
もちろんここでは、性格が明るいから外向的、暗いから内向的などというジャッジメントをしたいわけではありません。
外向的でネガティブな性格の人もいれば、内向的でポジティブな人もいるから、主観的な印象だけでは決めつけられません。
▶100メートル走で「最速記録」を出すには
性格の話題はさておき、たとえば100メートル走でパフォーマンスを上げるには、太ももの上げ方や腕の振り方などといった内側に注意を向ける「内向的」になるのではありません。
ゴールテープや、あるいはこちらで述べているとおり走り抜けるならその先の目標物など、自分の外側に注意を向ける「外向的」だと効果的。
外側の対象へ目のピントを絞り込むと、体軸がぶれずに走行が安定するという表面的な理由もあるし、こちらで述べているとおりスピードアップの秘訣は「見えている」条件も満たされますし(目隠ししながら走ると遅くなる)、「考えないから速くなる」という理由は後述します。
自然な動きが現れて、現時点での自分最速記録が出ます。
▶人生の早々に「才能のスポイル」は始まっている
自然界の野生動物はみんな、例外なくそうしています。
野うさぎを追うチーターは、どんなに足が速いといっても太ももの上げ方など意識しているのではなく、注意は獲物に向いています。
とはいえ一般的な体育の授業などでは、太ももの上げ方や腕の振り方などを教えられた人も、少なくないのではないでしょうか?
ですから学校教育(や常識的なテニス指導)のやり方では、上達が驚異的に遅くなる。
ところが私たちは小学校に入ったときから、運動会の予行演習よろしく口酸っぱく、「腕を振って! ヒザを上げて!」と、先生から教えられるから、
人生の早々にタレント(才能)はスポイル(ダメにされ)始めるのです。
スポイル教育から逃れられるのは「本物の素直」な子どもだけです。
▶「ロボ化」しないために
ところが人間だけが「腕を振って、足を上げて、ワンツーワンツー」などと動こうともします。
ですから自然体ではなくなり、動物としては人間だけが、ギクシャクした動きになる人がいる。
動物ではないロボットはギクシャクしますが、その様子にたとえてテニスコートでは「ロボ化したプレーヤー」が散見されるのです。
▶世の中のアドバイスはほとんど「内向的」
ご自身はテニスをプレーする時に、「ひざを曲げて」「手首を固めて」「横を向いて」などと、内向的な注意の向け方をしていないでしょうか?
自然界にそのような動き方をする野生動物はいないから、人間だけそれをしようとすると不自然になります。
ところが常識的なテニス指導では、「手首を固める」「体を開かない」「打ちたいコースに向かって足を踏み込む」など、体の内側(身体動作)に注意を向ける「内向的」なアドバイスが、ユーチューブのテニスレッスン動画でも、ネットに上がっている記事でも、書店に並ぶ実用書でも、ほとんどでしょう。
これが、テニス(に限らず、常識的なスポーツ指導全般の)指導者やコーチ、顧問、あるいは親のアドバイスをいくら聞いても、一向に上達しない理由なのです。
親は木の上に立って見るのが、その子の能力を最も伸ばすのです。
▶「上達のベクトル」が逆向き
外向きと、内向き。
つまり、スポーツが上達するための注意を向けるベクトルが、すっかり逆向きになってしまっているのです。
逆向きなのですから、内向的に頑張れば頑張るほど、上達から遠のきます。
沖縄へ行きたいのに北海道へ頑張って向かえば向かうほど、目的地から遠ざかります。
▶注意は「外側」に置く
運動は、注意を外側へ向ける「外向的」だと上手くいきます。
それが「自然の摂理」です。
たとえば前屈をして体の柔軟性を出そうとする場合、筋肉を緩めようとするよりも、つま先に向けて手の指先を届かそうとするほうが、可動域は広がります。
懸垂運動では、広背筋に力を入れようとするよりも、あごをバーに向かわせる注意の向け方により、効率的なパワー発揮がかなうのです。
あるいは寄り目を作るのでしたら、内直筋などの眼筋を意識するのではなく「鼻を見よ」でイッパツなのでしたね。
注意を、つま先やバー、鼻などの「外側」に置くと効果的だと分かります。
▶鍛える筋肉を「意識する」?
ところでボディビルで行われる筋肥大を主目的とした筋トレでは、鍛えている部位の筋肉を意識するように「内向的」な指導がされます。
筋肉に、いわゆる「効かせる」ために。
話が矛盾するでしょうか?
いえ、何の矛盾もないのです。
確かに鍛えている筋肉を意識すると、効きます。
効くから、確かに意識しないよりもすぐに疲れます。
懸垂運動も、バーをあごに近づける注意を外側へ向けるベクトルと違って、広背筋を意識すると、かえって疲労し回数をこなせません。
▶「使えない筋肉」の正体
疲れるから筋肉は超回復により肥大する(疲れなければ肥大しない)のだけれど、それは「見せる筋肉」であって、いわゆる「使えない筋肉」になるのです。
筋肥大のみを目的とする筋トレでは、いわゆる「バネ」や「反動」といった体を躍動させる効率的な動きは基本的にご法度。
あえてスポーツとしては「非効率的」な動き方をします。
ですから筋肉量が多いボディビルダーだからといって、反復横跳びや垂直跳びの記録が優れるわけではありません。
むしろ「見せる筋肉」ではなく、バネや反動を駆使して「使える筋肉」を実装する重量挙げ選手の垂直跳びは、スーパーハイレべルです。
ボディビルダーは、むしろ重たい筋肉の鎧をまとい、普段はスローなトレーニングがメインだから(高重量を扱うほど速くは動けない)、スポーツが苦手になりかねません。
▶「誰もがスーパーサイヤ人」の具体例
もちろん「見せる筋肉」を否定したいわけではありません。
すさまじい節制と努力の結実であり、主観的にその体は「美しい」と思えます。
鍛えれば、あのようなマッチョに進化するように、私たちの体はできている。
「誰もがスーパーサイヤ人」を体現している具体例です。
ですが今回俎上に載せているのは、注意の向け方によるスポーツとしての運動効果。
その観点から言えば、筋肥大を主目的とするトレーニングは「内向的」であり、躍動的に動くスポーツの「外向的」な注意の向け方とは馴染みません。
▶なぜそれで、速くなるのか?
改めて100メートル走のパフォーマンスをさらに上げるには、ゴールテープのどこか1点(FINISHの印字などがあればその一文字など)の細かな対象に注意を絞り込むのが最速。
走り抜けるなら、さらにその先の微細な対象に注意を向け続けます。
先述した「走行安定性」や「見えている」条件が整うのはもちろんのこと、「考えない」からです。
「眼耳鼻舌身意」(げんにびぜつしんい)。
「一時にひとつ」が原理原則なのですから、「見る」と「考える」は、同時にはできないのでしたね。
そしてこちらでも述べている通り、「考えると遅くなる」のです。
全力疾走しながら簡単な算数の計算を頭の中でしようとする(考える)と、記録は下がるのです。
▶「自然の摂理」に則る「パフォーマンス向上法」
つまり何も考えずに注意を外側の対象へ向けるというのが、自然の摂理に則る間違いのないパフォーマンス向上法です。
話をテニスに戻すと、最速で上達するには、注意はつねに外側に向け続けます。
内側の「フォーム」や「打ち方」などにではなくて。
ひざの曲げ方や体の向きなどの内側ではなくて、外側のボールに注意を向けるのです。
そしてテニスもゴールテープの「FINISH」の一文字の例と同様に、ボールの回転や毛羽など、細かな対象へ注意を絞り込むほど、体の自然な動きが引き出されるからパフォーマンスが上がるのです。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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