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質問081:その理由はこの動画で確信しました

回答ありがとうございました。

あれから考えたのですが、確かにたかがトスをあげるのに左手がどうの腕がどうのあれこれ考えてたらまともに上げられません。
考えとしてはどの球種もほぼ同じ体の使い方(いわゆる運動連鎖)によってトスアップを行う事が重要だと思います。
その理由はこの動画で確信しました。


http://www.youtube.com/watch?v=qfwJqFaBEVs&feature=relmfu

キックサーブとフラットサーブの比較です。
1分8秒のところを見ていただきたいのですが、上体の角度が違ってるのがハッキリわかります。
これはフラットは前目でとらえたいから肩のターンを小さくしながらのトスアップ、一方キックでは横向きの体勢になるため、肩を少しターンしながらのトスップだと思われます。
一見フォームが違うように見えますが、体の使い方自体はほとんどおんなじではないかと思います。
単に肩がターンすることで左手はその分だけ時計回りに旋回されるため、あたかもトスをあげる腕の角度が変わったように見えるだけで実際はサーブにおける全体的な運動連鎖は球種関係なくほぼ一定、というふうに解釈してます。
こんな認識でいいでしょうか?

回答


▶スイング分析はすべて「後づけ」


スイングに関する分析は、お伝えいただきました認識で間違いありません。
 
まさにそのとおりです。
 
ただ、いいか悪いかは別として、こういった細部に渡る分析はすべて「後づけ」である、という理解は必要かと思われます。
 
つまり、肩を旋回させるからキックサーブを打てるのではなくて、キックサーブの弾道や、速さ、弾み方等のイメージに基づき、身体動作として肩の旋回が、無意識的に起こっているということです。
 
ですから、グリップや関節可動域の違い等々により、肩をあまり旋回させずに、キックサーブを打つ人もいれば、肩を大きく旋回させて、フラットサーブを打つ人もいます。
 
グリップひとつとっても、厚い薄いばかりではなく、ピストルかハンマーか、長く持つか余して持つかなどによっても、関節の可動域は変わり、無限のバリエーションがあると言えるでしょう。
 

▶そういうスイングに「なる」


どちらが正解というわけではなくて、その人が保有しているショットのイメージに基づいて運動が行われた結果、必然的にそういうスイングに「なる」のです。
 
上級者は、「意識して体を動かすのが上手い人」ではないのです。

ロジャー・フェデラーやノバク・ジョコビッチ、ラファエル・ナダルであっても、決して意識して、体を動かしているわけではありません。
 
フェデラーが保有しているショットのイメージに基づいて動作を遂行しようとした結果、体がオートマチックで、そのスイングを表現しているにすぎないということです。
  

▶意識しにくい動作もこれでイッパツ!

 
「肩を旋回させて、キックサーブを打つ」のではなく、「キックサーブを打とうとした結果、肩が旋回する」のです。
 
意識しやすい肩や腕や足だから、そのような誤解を招きます。
 
たとえば意識しにくい眼球を動かす機能を司る「眼筋」。
 
眼筋を動かすことを意識しながら、「寄り目」を作れますか?
 
うーん、やりづらいですよね。
 
だけど「鼻を見よ!」ならイッパツです!
 
眼筋を内側に動かすことを意識「する」のではなく、鼻を見る動作を遂行しようとした結果、寄り目に「なる」

むしろ「鼻を見よ!」で、眼筋を内側に動かすなんて、全然意識しないはずです。

▶「言っておきたいのは変えたのではなく、変わった」byイチロー


フォームに関して、元プロ野球選手のイチローは『月刊スラッガー』(日本スポーツ企画出版社刊)2001年4月号の誌面上にて、次のように語っています。
 
「言っておきたいのはフォームを変えたのではなく、変わったのだということです。変えるのと変わるのでは全然違うと思います」
 
「変える」のではなく「変わった」。
 
つまり「する」のではなく「なった」。
 
そのさまを見た第三者が端から見て、「バットを寝かせて構えている」とか「右足を内側に絞るようになった」とか解析をするのだけれど、イチロー自身は意識して動作を変えたわけではありません。
 
むしろ「全然違う」と言い切ります。
 
寄り目をした表情を見た第三者が端から見て、「内直筋を収縮させている」などと解説しているようなものなのですけれども、そんなの意識してないですよね?
 
「肩を回旋させる」と「肩が回旋する」。
 
両者は同じようなことを言っているようですが、得られる成果は雲泥の差となりますことを、ご承知おきください。
  

▶「印象操作」に騙されないで!


1分8秒のところに関して付言しますと、こういう解説は「ラインの入れ方」や「タイミングの切り取り方」などによっていくらでも「盛れる」ものですからから、言い方は悪いですが、うっかり「騙されない」ように注意しなければなりません。
 
ダイエット商品のビフォーアフターや、高血圧を定義する数値、内閣支持率や新型コロナウイルスの感染者数を示すグラフ、吹き替えの声色による印象操作など、製作者側の意図によっていくらでもできてしまいますゆえ。

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