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質問021:なかなか成果が出ない。フットワークを良くするいい方法は?

テニス部の顧問をしています。
テニスのフットワークはストライドを広げるよりもピッチを速くすることの方が大事なので、そのように指導しいるのですが、なかなか成果が出ません。
フットワークを良くするいい方法はありませんか?

回答


▶「SAQ」が効果的。ただしやり方しだいで「逆効果」

 
一般的な、ラダーやミニハードルなどを使ったSAQトレーニングでよいと思います。

ただしやり方を間違えると、効果的ではありません。
 
SAQとは、下記のイニシャル。
S……スピード(移動速度)
A……アジリティ(身体操作の敏捷性)
Q……クイックネス(反応速度・俊敏性)
 
たとえば地面に敷いた縄ばしごの枠から枠へ、左右の足を素早く交互に運びます。
 
あるいは「内、外、内、外」「進んで進んで戻って、進んで進んで戻って」など、さまざまなフットワークのバリエーションもトレーニングできます

ただ単にダッシュするよりも、前後・左右・斜め・上下のあらゆる方向へ動く必要のあるテニスでは、この効果が大いに役立ちます
 

▶「素早く動こう」と意識すると遅くなる

 
とはいえ「やり方を間違えると効果的ではない」と述べました。
 
すなわち足を素早く動かそうと「意識」すると、逆効果になりかねません。
 
いつもお伝えしているとおり、動きを「意識」すると、動きが鈍くなるのです。
 
今すぐ確かめられる体験として、息を「吸って吐いて、吸って吐いて」の動きを「意識」すると、「無意識」でできていた時に比べて、少なからず「息苦しさ」を覚えるでしょう。
 
呼吸ですら、意識すると、スムーズでなくなるのです。
 
それがフットワークや、ましてテニスのスイング、フォームになると、強烈なギクシャク感を覚えるのです。
 

▶スピードアップの秘策は「見えている」こと


ではどうすれば、効果を上げるトレーニングができるでしょうか?
 
それは、「鮮明に見えていること」です。
 
言い換えれば、これが「集中」です。
 
ラダーでは足を運ぶにつれ、その時々の視界が、次々と移りゆきます。
 
その視界に収まる風景が、ラダーの縄目や地面の芝目などまで「鮮明に見えていること」が大事
 
見えていると、移動スピードを上げられます。

動きも正確になり、反応速度も向上します。
 
なぜか?
 
逆に「見えていない」と、どうでしょう?
 
少し極端な例ですが、暗闇をスタスタスタと歩けるでしょうか?
 
当然難しいはずです。
 
「見えていない」と、動作が鈍るのです。
 
針穴に糸を通すとき、見えていないと、遅くなるでしょう。
 
針穴がはっきり見えていると、スムーズ。
 
ルーペなどを使ってより鮮明に見えれば、スパッと一発です。
 

▶ストライドとピッチを意識して区別しない

 
さてご指摘いただいているストライドとピッチを、厳密に区別する必要はないでしょう。
 
テニスでは、ボールに集中し続ければそれに応じた最適な歩幅が、自然と表われます。
 
遠いボールを追いかけ始める初動の局面ではストライドフットワーク、ボールに近づき打点に入る直前ではピッチ走法、といった具合にです。
 
はたまた届くか届かないかの遠いボールに対する最後の1歩は、開脚フットワークの超ストライド走法という対応になる場合もあるでしょう。
 
使い分けをプレー中に意識すると、フットワークは鈍ります。

▶テニスは速く、早く動いても意味がない


ボールに集中せず、闇雲に速く(あるいは早く)走ろうとすると、チグハグなフットワークになってボールに近づきすぎたり、詰まった打ち方になったりしかねません。
 
テニスは、速く、早く動ければいいというわけではなく、ボールと同調して動かなければ意味がありません
 
ですから「予測」をして始動を早めると、かえってスイング軌道をリルートする遅れをとったりしがちです。
 
しかも予測を絞り込むほど、想定外が多くなります
 
フライングすると結局「最下位」というわけです。
  

▶集中状態が実現する「神経伝達スピードの最速化」

 
縄目や芝目が見えていると、なぜ速くなるのか(速さをコントロールできるのか)をもっと厳密に言えば、それが「思考のない集中状態」だからです。
 
目で見た情報に反応する体の神経伝達スピード「ボディ・アイコーディネーション」が、思考を経由しないから最速。
 
逆に見えていないのは、「思考のある非集中状態」です。
 
ラダーだと「もっと素早く動かなきゃ……」、暗闇だと「つまづかないように……」、針穴だと「通りそうにない……」などと「考える」せいで、神経伝達スピードにブレーキがかかってしまうのです。
 
フットワークに限らずテニスのプレーもそうですけれども、「思考のない集中状態」でトレーニングする経験が何より大事
 
そうすれば生徒さんたちの運動能力は、どんどん、みるみる、開花してきます。

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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