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質問019:相手が打つ時はスプリットステップ?

相手が打つときはスプリットステップ?
すみませんがよろしくお願いします。

回答


▶「始動を早める」だけがスプリットステップの目的ではない

 
スプリットステップは、一般的には反応スピード、初速を上げる弾みの動作だと、理解されていると思います。
 
でも、本当にそうでしょうか?
 
本当にそれだけなのでしょうか?
 
それは半分は本当で、半分は嘘。
 
本当の理由を先に述べると、適切なタイミングで踏めばステップの躍動がバネとして使われるため、動き出しが速くなる可能性があります。

しかしスプリットステップで必ず反応スピード、初速が上がるのだとしたら、例えば不意のドロップショットを相手に打たれそうな時、スプリットステップを踏んでから猛ダッシュする動作プロセスになるかと思いますが、実際にはさにあらず
 
「スプリットステップをしている暇があったら、一目散にダッシュせよ!」となるでしょう。
 
※細かい補足をすると、相手のドロップショットが本当に上手くて見破れないときには、スプリットステップを踏んでから一目散にダッシュする動作プロセスになります。

しかし事前に見破れたときには、スプリットステップは省略されるはずです。

ドロップショットを仕掛けるカルロス・アルカラスではなく、仕掛けられる対戦相手の出足に注目して見てください。

▶「出足を遅らせる」のが秘められた最大の効果


確かにスプリットステップには、いろんな効果があります。
 
野球でバッターが、相手ピッチャーのモーションに合わせてステップする「シンクロ打法」的な効果
 
あるいは頭で考えて動くのではなく、着地した瞬間の反応を体に委ねやすい「自動運転機能」効果
 
そしていちばんは、実は出足を「遅らせる」効果がある。
 
一般的に定義されている「始動を早める」のとは、まったく逆の効果です。
 

▶テニスは「早く、速く」動けばいいわけではない

 
「出足を遅らせる?」
 
「早いほうがいいだろう!」
 
そんなふうにいぶかる向きもあると思います。

とはいえテニスは、「早く、速く」動くことが目的ではありません
 
こちらでもお伝えしたように、予測してボールが相手に打たれる前に早く・速く動き出しても、意味がないどころか逆を突かれたら動作をリルートする遅れを取るのです。
 
テニスを上手くプレーするためには、早く、そして速く動くのではなくて、ボールと同調して動くようにします

▶「慌ただしい生徒」vs.「優雅なコーチ」のラリー練習


特に初心者の場合は焦りから、とにかく早く、速く動こうとしてしまいがちです。

それがドタバタとした慌ただしい動きに映るのです。
 
一方の生徒さんとラリーに勤しむコーチは、慌ただしく動いている様子もなく、ゆったりと優雅に打ち合うという話はこちら
 
いえ初心者に限らす「現実に対するイメージのズレ」がある場合、相手が打つ前から(つまりどんなボールが来るか、まだ分からないのに)動き出してしまうプレーヤーが少なくありません
 
そのため「勇み足」となり、早すぎ&速すぎの失敗を招くのです。
 
具体的にはそのせいで、打球タイミングが合わなくなるのです。
 
この出足を「遅らせる(というか、勇み足を抑えて始動タイミングを最適化する)」効果があるのが、スプリットステップ。

▶ステップの仕方やタイミングは「人それぞれ」


スプリットステップのやり方は、人によりバリエーションがあってよいでしょう。
 
上へジャンプするプレーヤーもいれば、ボウリングでピンが離れる状態を表す「スプリット」の語源のとおり、両足をステップとともに開くやり方のプレーヤーもいます。

中にはバックステップするタイプのプレーヤーも。
 
こちらの方は、「動画でプロの試合見てると多めに股を開いているように見える」そうです。
 
タイミングの取り方も「人それぞれ」でしょう。
 
シンクロ打法でも、イチローの「振り子」、古田敦也はウエーブする「FUJIYAMA」など、いろんなやり方、タイミングの取り方があるようです。
 
テニスの場合は、「相手が打った瞬間にジャンプ」「相手が打った瞬間に着地」あるいは「その中間」といったようにバリエーションが認められます。
 

▶プロでやらないプレーヤーは「いない」


いずれにしても、「現実に対するイメージのズレ」を修正できる、タイミングを測れる、体でプレーする感覚を培えるから、「やるに越したことはない」ものです。
 
にもかかわらずプロに比して、一般プレーヤーでしている割合が圧倒的に少ないのがスプリットステップ。
 
私が知らないだけかもしれませんけれども、プロでやらない人は、ほとんどいません。

一方、一般プレーヤーでできている人も、あまり見かけません。
 
それは何となく、「ステップしている暇があったら一目散に猛ダッシュ!」したほうが、速い(早い)イメージがあるからかもしれません。

▶「スプリットステップ」誰が発明した?


述べてきたとおりスプリットステップには、計り知れない効果があります。

歴史を振り返っても誰が発明したのかは定かではありませんけれども、相手が打つボールに集中していたら「思わず体が跳ねた」
 
スプリットステップも意識して「する」のではなく、ボールに集中していると「現れる」反応です。
 
それをきっかけにプレーが上手くいき始めたから、広まったのかもしれません。
 

▶「感覚テニス」の足ががりとなる

 
スプリットステップを踏んだら、「なぜだか分からないけどテニスの調子が上がる」というのは多くのプレーヤーが経験しているところです。
 
それは、体にプレーを委ねる「自動運転機能」にスイッチが入るから。
 
もちろん見てきたように、「勇み足」を止めて始動タイミングを最適化する著効もある。
 
テニスは、頭で考えてプレーするのではありません。
 
世間では「思考」がもてはやされ、「〇〇思考法」なる本がベストセラーにもなりますが、テニスを上手くプレーする上では「非思考」あるいは「無思考」。
 
頭で考えずに、体で感覚的にプレーすると、テニスは上手くいきます
 
そのための足がかりとなるのが、スプリットステップです。

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(テニスゼロ)
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