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ごご茶
2021年11月27日 08:20
「疲れたなぁ!」仕事帰りのお母さんがそう呟いた日だけ、僕の家に焼きそば屋さんが現れる。「へいらっしゃい!お肉増量!卵も乗せちゃうよ!」あっという間に美味しそうな焼きそばがテーブルに並ぶ。焼きそば屋のおじさんは、ちょっとお母さんの顔に似ていた。
2021年11月26日 06:48
「こんばんわ」深夜、もぞもぞ蠢く者達が俺の布団を囲んでいた。「私達は貴方の撒いた殺虫剤のせいで蝶になれなかった芋虫です」「蛾になれなかった芋虫もいるぞ〜」後ろの方でそんな声もする。芋虫達の吐く糸で蛹にされた俺は、永い永い蝶の夢を見る。「蛾はどうした〜」
2021年11月25日 07:33
「ドラえもんに独裁スイッチっていう道具があるの」_うん。「嫌いな奴を消せるスイッチなの」_うん。「私それ持ってたら1番にアンタ消すわ、うざいから」そう言ってニヤニヤと友香は笑った。私は黙って帰宅し、独裁スイッチを取り出して友香を消した。
2021年11月24日 07:56
____朝は久しぶりに気持ちよく晴れてたのに。1人でお弁当を食べていると、ガラス窓を雨粒が勢いよく打つ音。その音は大勢の囁きに変わり、やがてクスクスと嘲笑に変わり…あぁまた私はずぶ濡れだ。教室を抜け出し服が乾くのを待つ。どうせこの場所は1年中雨季なのだけど。
2021年11月23日 07:50
夜中、尿意で目覚める。時計のカチコチという音が耳につく中ドアを開ければ、長いタイルの廊下が伸びていた。…あれ、寝室の時計って静音仕様じゃなかった?…ウチの廊下はフローリングじゃなかった?考えないようにしてトイレを済ませ、布団に戻ってぎゅっと目を閉じる。
2021年11月22日 07:28
___SNSってすぐ炎上するから怖い。響子は身震いしながらTwitterアプリを閉じた。___今まで時事問題や主義主張を多く呟いていたけれど、これからは無難に食べ物とペット写真だけUPしよう。そう決めた響子はカニバルの女。美しい成人男性を自宅の一室で飼育している。
2021年11月21日 09:00
取り込んだ洗濯物を山積みにすると、息子が寄ってきて音もなく畳み始める。私は何故だか海底の鯨の死骸に集まるグソクムシを思い浮かべる。その一瞬、我が家の狭いリビングは確かに深海なのだ。暗くて寒くて静かで暗い…………「終わったぁ!」元気な声で我に返る。
2021年11月20日 08:44
カナカナカナ…ひぐらしの声。プールからの帰り道。「ひぐらしが鳴くと夏休み終わっちゃう感あるねー」私は横を歩く友人に言った。「違うよ、あれは私を呼んでる声だよ」その瞬間、湿度を帯びた重苦しい風が吹き抜ける。新学期、友人は…香奈は登校してこなかった。
2021年11月17日 06:33
お早う、新しい町!新しい1日!憧れの新築戸建て。広く機能的な玄関でおろしたてのサンダルを履きドアを開ける。差し込む朝日。目の前を白いバンがゆっくり通過した。後部座席一杯に目だけギラギラ光る青白い子供達。バンはお隣の駐車場に停まった。…お仕事、何してんねやろ?
2021年11月16日 07:46
ずっと何かを忘れて生きてるでしょう?忘れてる事すら忘れてるくらい朧げな何か。そうして浴室で1人、目を閉じ髪を洗っていると脳裏にぼんやり浮かんでくる何か。…それ以上考えないで!“何か”が輪郭を取り戻したらきっと貴方が目を開けたとき後ろに立っているから。
2021年11月15日 07:40
おおお…あの素敵なおうちはどこですか?坂の街の上のほう。白壁に緑色の屋根が映える。手入れされた庭。毛並みのいい大きな犬。駐車場にはお洒落な黄色い車が停まってる。僕が昨日さらわれて殺されたあのおうちは一体どこですか?おおお…おおお怨
2021年11月14日 07:40
雨が降っている。遠くでサイレンが鳴っている。前にもこんな夜があったような。それとも映画で観たワンシーンの記憶だろうか。映画の中では殺人鬼が侵入して家人を…。___ガシャン暗い玄関の方で何かが割れる音がした。
2021年11月13日 07:45
青い海に白い入道雲。「クリームソーダみたいね。」って言ったら彼氏が「クリームソーダは緑色っしょ。」と鼻で笑った。悲しくなって、最近話題のソーダショップに連れて行きカラフルなソーダの中から青いのを選んで奢らせて、別れた。色々がはじけて消えた夏の一日。
2021年11月11日 07:41
「私はッ!貴女の為にこの身を捧げますッ!たとえ地獄の業火に焼かれようとも人は!愛する者の為に己の力を極限まで引き出しッ!焼け焦げる寸前、まさにその瞬間!命を賭して最も上質な飴色のオーラを纏うッ!」___あー…これは私に惚れた人…もとい玉葱の最期の台詞。