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記事一覧
【140字小説】凄いんだか凄くないんだか
「お前さん死相が出ておるぞ」
休日の雑踏でふいに声を掛けられた。振り返ると、胡散臭い老婆がニタニタと俺を見上げている。
「死にたくなければこれを3千円で買え_」
俺は札を差し出す老婆から逃げる様に立ち去ったが、内心かなりビビっていた。
なんであの婆さん死んでる俺が見えるんだ…⁉︎
【140字小説】炎上
「お子さん、何年生ですか?」
「いいえ、可燃性ですよ」
「え?」
「え?いやだから、人間は可燃性なんで。燃えちゃうんで。危ないからそのライター仕舞ってくれます?」
「あ、失礼しました。煙草を吸おうとしてつい。で、何年生なんですか?」
「可燃性だっつってんだろ」
「え?」
「は?」
【140字小説】日曜日の朝
「住み慣れた町を離れるってのは本来なら辛いものかい?僕はあまり。近所付き合いがなかったから愛着が全くないんだもの。実際こうやって引っ越す僕を見送る人は誰もいないだろ。…次の町では離れる時に辛いと思えたらいいな。」
男は野良猫にそう言うと立ち去った。
静かな静かな日曜日の朝だ。
【140字小説】分かってる
「もしも好きな年齢に戻れるなら何歳に戻る?」
長い夏休みがある小学生かな?
毎日がお休みの赤ちゃんかな?
お金と自由がある大学生かな?
…そんな楽しい想像を巡らせながら、私は長い間病院のベッドに横たわっている。
戻れない事は分かってる。
そして進めない事も、勿論分かっているよ。
【140字小説】M氏の受難
「生きてるだけで偉い」
「辛いなら逃げていいんだよ」
笑顔で優しい言葉をかけてくれる人達。
…馬鹿か!ただ生きてるだけで偉い訳ないだろ!辛いからって逃げてていい訳ないだろ!
俺は哀哭した。この国は変わっちまったんだ。
…誰か厳しい言葉をくれ!叱咤激励してくれ!どうか冷たい目で罵ってくれよ!
【140字小説】陰謀論
科学の進歩は凄まじい。
Bluetoothのワイヤレスイヤホンはやがて必要なくなるだろう。
近々、脳波判別機能搭載スマホが登場。貴方の脳波を認識しダイレクトにペアリング可能となる。イヤホン無しで脳内に音楽が流れ込むのだ。
…便利すぎて怖い?怖くないし安全だし我々は何も企んでいませんよ。
【140字小説】ここに潜む何か
「全ての友達、こんにちは!」
「この髪型のアイデアは素敵です」
最近Twitter上でAIみたいな文を呟く奴が増えた。ほんのり感じる言葉の違和感。俺の気にし過ぎ?
という呟きをしたら即FF外からリプがきた。
「この素晴らしいアプリはTwitterではありません、Xです」