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本とのつきあい

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本に埋もれて生きています。2900冊くらいは書評という形で記録に残しているので、ちびちびとご覧になれるように配備していきます。でもあまりに鮮度のなくなったものはご勘弁。
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2022年4月の記事一覧

『世界 説教・説教学事典』

『世界 説教・説教学事典』

(W.H.ウィリモンとR.リシャー編・加藤常昭と深田未来生日本語版監修・加藤常昭責任監訳・日本基督教団出版局・¥15500+税・1999年2月発行)
 
もちろん中古で購入。しかしこれのどこが、中古本の評価で「良い」程度なのであろうか。良すぎるのである。中身は新品同然である。よく見ると、函の一部が少しだけめくれている。だがそれが何であろう。価格は、元の数分の一であった。
 
以前の教会の棚にあるの

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英語のためにも日本語を

英語のためにも日本語を

英語の劣等生が、とやかく言うことではないが、誰かのアドバイスになればと思い、綴ってみる。大学入学の英語は、英語のテクニックだけを身につけようとしても、解けないということである。それより、すぐれた評論やエッセイをたくさん読むことだ。日本語の。
 
大学入試の文章は、一般の評論の英文が用いられると考えてよい。すなわち、日本語の文章の読解に匹敵する内容だということだ。日本語の場合もそうだが、もしも特定の

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『戦争における「人殺し」の心理学』(デーヴ・グロスマン著・安原和見訳・ちくま学芸文庫)

『戦争における「人殺し」の心理学』(デーヴ・グロスマン著・安原和見訳・ちくま学芸文庫)

カントの誕生から今日で298年。その『永遠平和のために』が、NHKの「100分de名著」で取り上げられたのが2016年。それが2022年の、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、4月に一挙再放送となった。
 
カントは、理想的な国家関係を、道徳原理を踏まえた中で提言した。これが後の国際連盟、今の国際連合の理念的根拠となったことは有名である。だが私は、国家関係というよりも、人間個人の心理において、戦争

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『光を仰いで』(朝岡勝・いのちのことば社)

『光を仰いで』(朝岡勝・いのちのことば社)

コロナ禍の中で出版へと至ったことは間違いない。そのすべての願いが、コロナ禍に結びつけられる必要はないが、間違いなく半分は、コロナ禍における教会に注がれる神の力を思っている。残りの半分は、やはりその影響の中であることが多いであろう、個人の心に向けてである。「おわりに」で著者はそのような意味のことを記している。

 

2021年のクリスマス期に語られたメッセージが、本書の殆どを占めている。それぞれは

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平川唯一さんのこと

平川唯一さんのこと

「カムカム英語」について直接知らなかった私にとり、それは伝説であった。それが、2021年後半からのNHK朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で、タイトルとなって私たちの目の前に現れた。
 
放送も最終回へと近づいてきた頃、ふと書店でこの本を見かけた。これは読むべきものだろうと直感して、手に入れた。『「カムカムエヴリバディ」の平川唯一』(平川洌・PHP文庫)である。
 
それが感謝な導きであっ

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100分de名著 ハイデガー『存在と時間』

100分de名著 ハイデガー『存在と時間』

番組開始当時から興味深く視聴している。Eテレの「100分de名著」。司会者が伊集院光氏にかわり、より庶民的になったが、この人の直感とでもいうのか、その本の世界に対する感覚は非常に優れているものと見ている。具体的に自分の問題に引きつけて理解することは大切な一つの道である。
 
2022年4月からのハイデガーも、楽しみである。いよいよ『存在と時間』が取り上げられた。カントの著作も2つこれまで取り上げら

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