マガジンのカバー画像

こころ

146
ひとのこころ、見つめてみます。自分のこころから、誰かのこころへ。こころからこころへ伝わるものがあり、こころにあるものが、その人をつくり、世界をつくる。そんな素朴な思いに胸を躍らせ…
運営しているクリエイター

#映画

「すずめの戸締まり」と「火の鳥」

「すずめの戸締まり」と「火の鳥」

「すずめの戸締まり」がテレビ放映された。地上波で初放送だった。「君の名は。」のヒットから、「天気の子」も、夫婦で映画館でまず観た。それまで地味な活動を続けていた新海誠監督は、これらの作品でメジャーになり、アニメ界でトップクラスの地位に就くこととなる。
 
いずれも、災害がモチーフになっている。その災害に向き合う方法の主軸として、神道色の強い作品である。神楽が重要な意味をもったり、稲荷神社や気象神社

もっとみる
仕事と自分

仕事と自分

さしあたり、生計を立てるための職業という意味で、「仕事」という言葉を用いることにする。「この仕事は、自分には向いていないのではないか。」うまくいかないとき、そのような言葉がふと頭を過ることがありうるだろう。「自分は本当は、こんなことをするために、この仕事に就いたのではない。」そのように思い始めると、仕事を辞める扉が開かれてくる。
 
昔だったら、仕事を辞めるというのは、ずいぶん重い決断だった。終身

もっとみる
TOKYO MER

TOKYO MER

劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』を観てきた。医療従事者の妻がどうしても見たかったということで、連れられて行ったのだ。テレビドラマの劇場版だというが、私は見ていないので、予備知識ゼロで鑑賞した。
 
最初から私は泣き通しだった。いきなり、緊迫感の中で救急救命のチームが事故現場に飛び込むのだが、意識のない負傷者に対して、冷静に語りかける、そのシーンからだ。分かっている。医療従事者はそうす

もっとみる
映画「すずめの戸締まり」

映画「すずめの戸締まり」

新海誠監督の作品を映画館で観るのは、「君の名は。」「天気の子」に続いて3度目である。私の感想だが、監督は、今回の「すずめの戸締まり」で、本当に伝えたかったことを描くことができたと思っているのではないだろうか。
 
もちろんストーリーそのものについてネタバレをしたいとは思わないので、もう少し漠然とした形で語ろうかと思う。但し、それでも映画を観るまではそうした声を一切聞きたくない、という方もいらっしゃ

もっとみる
シン・ウルトラマン

シン・ウルトラマン

誕生日を結婚記念日としてくれたのは、妻である。小さな民家のつくりの教会での結婚式の日、梅雨の最中にその日はカラリと晴れた。
 
ここのところ、毎年、その日か近くの日に、共に休みをとって、ランチに出かけることにしている。私の平日の休みが偶々この時期にあることから、その日に合わせて都合をつけてくれる妻に、ひたすら感謝である。
 
今年はその日、妻の見たかった映画を観る朝から始まった。「シン・ウルトラマ

もっとみる
手話を使う俳優

手話を使う俳優

興味のない人には全く目にも留っていないだろうとは思うが、SNSの一部で、猛烈なバッシングが起こっている。
 
ろう者でない人がろう者を演じるドラマがあったときに、ろう者がそれをよろしくないと発言したのだ。これに対して、聴者たちが、それはおかしい、と一斉砲撃を始めたのである。病人の役を病人が演じないといけないのか。ゲイでなければゲイの役をしてはいけないのか。つまり、すべての役柄が、その該当者でなけれ

もっとみる
「リスペクト」

「リスペクト」

ミュージシャンの生涯を描く映画が目立ってきた。ついにはこのたびセリーヌ・ディオンの半生までが映画となったが、少し前に「ボヘミアン・ラプソディ」がクイーンを、フレディ・マーキュリーを中心に描いた。その制作の年、シンガーとして全米で1位にも選ばれたことがある歌手・アレサ・フランクリンが亡くなった。アレサのための映画の計画は前からあったが、アレサ自身、アレサ役にはジェニファー・ハドソンを指名していたのだ

もっとみる
いのちの停車場

いのちの停車場

久しぶりに映画館に行った。妻に誘われるままにだが、こういうとき私は、予備知識をもたずに見ることにしている。評判はいいらしい、その程度しか知らずに映画に浸る。「いのちの停車場」という。122本の映画に出演したという吉永小百合さんが医師を演ずるのは初めてだそうだ。
 
のっけから生々しいシーンだったが、舞台はすぐに故郷にある小さな医院へと転ずる。以下、そこで出会う様々な患者との出会いと別れ、また父親と

もっとみる