Tamara Usono

短歌と詩と掌編小説を書きます。本業は翻訳(英日、マーケティング資料や雑誌記事など)です…

Tamara Usono

短歌と詩と掌編小説を書きます。本業は翻訳(英日、マーケティング資料や雑誌記事など)です。米国シアトル市在住。

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短歌01 夏の旅10

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2年前

短歌01 夏の旅09

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2年前
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短歌01 夏の旅08

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2年前
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短歌01 夏の旅07

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短歌01 夏の旅06

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短歌01 夏の旅05

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短歌01 夏の旅04

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短歌01 夏の旅03

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短歌02 夏の旅02

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2年前

短歌01 夏の旅

Tamara Usono
2年前

黒い像

「大聖堂は見てきましたか」 黒縁メガネをかけたウェイターが綺麗な英語で聞いた。 店の中にはほかに3組の客がいるだけで、メキシコシティの飲食店はどこもそうだけれど店…

Tamara Usono
3年前
1

トビウオの夢

くじらが肩にくっついて取れない夢を見た。 もう仕方がないから、くじらの行く方向にゆらゆらと漂っていくしかないのだ。 大きな灰色の三角の波を次々に乗り越えるのは恐ろ…

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3年前
1

その奇跡

あなたという単位は、 偶然に そこに集まった分子の集合。 または 偶然に 出会った父母から偶然に生まれた遺伝子の表象 または 複雑に絡み合う分子の雲のシステムの間を…

Tamara Usono
3年前

青い種

  その人の手にはほっそりとした青灰色の種があった。薄く硬い、鞘から抜いた短剣のような種は手のひらに余る長さで、細い指先にしっかりと包まれている。 「この種は、…

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3年前
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Take Five

翼が傾くと 空の底に柔らかな満月 夜の水の荒野のはてに とろりと広がる陸がある フジツボのように薄く光る 寂しいビルディングが ふつふつと増えていき わびしい町があ…

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3年前

フェニキス人の貿易船

きつねのような尻尾をもつフェニキス人が、貿易をしに来る。 三千二百年たったら、わたしたちに教えてくれるという。 重い緑の宝石をもって来て、10億の生命と取り替えて…

Tamara Usono
3年前
黒い像

黒い像

「大聖堂は見てきましたか」
黒縁メガネをかけたウェイターが綺麗な英語で聞いた。

店の中にはほかに3組の客がいるだけで、メキシコシティの飲食店はどこもそうだけれど店員のほうがずっと多い。午後遅い、もやっとした重さのある空気を天井の換気扇がだるそうにかきまわしている。

「今日の朝、見てきました。隣の、神殿の遺跡といっしょに。なんというのでしたっけ、テンプル・マヨール」

「テンプロ・マヨール」

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トビウオの夢

トビウオの夢

くじらが肩にくっついて取れない夢を見た。
もう仕方がないから、くじらの行く方向にゆらゆらと漂っていくしかないのだ。
大きな灰色の三角の波を次々に乗り越えるのは恐ろしくもあり痛快であった。
空はターコイズのような冷たい青色に晴れ上がり、わたしは光る波の間にいるのだった。

背中のある一点を押されると、青い色が見える女の夢を見た。
いつの頃からか、その一点を押されると、閃光が走るように青い色が目の前に

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その奇跡

その奇跡

あなたという単位は、

偶然に
そこに集まった分子の集合。

または
偶然に
出会った父母から偶然に生まれた遺伝子の表象
または
複雑に絡み合う分子の雲のシステムの間をでたらめなリズムで飛び交う
電気信号の集合。
または
偶然に出会った祖先が偶然に始めたなにかの結果
による偶然の
影。

でなければ

何千億もの奇跡の連鎖のあとで

かたちになったちいさな一つの魂

一瞬の煙のなかに輝く

永劫の

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青い種

青い種

 
その人の手にはほっそりとした青灰色の種があった。薄く硬い、鞘から抜いた短剣のような種は手のひらに余る長さで、細い指先にしっかりと包まれている。

「この種は、千年たったら芽を出すの」
薄い色の目でわたしを見ながらそういった。

「その時には、もうわたしたちはいない。わたしたちの知っているものは、何も残ってはいないかもしれない。この町も、国も、残っていないかもしれない。その時にどんな者たちがこの

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Take Five

Take Five

翼が傾くと
空の底に柔らかな満月

夜の水の荒野のはてに
とろりと広がる陸がある

フジツボのように薄く光る
寂しいビルディングが
ふつふつと増えていき
わびしい町があらわれては消え

曖昧な道路が暗闇のなかを
かすかに光りながら 
はかなげにつながっていき
か細く互いをさぐりあう
震える神経細胞のように

やがてすこしずつ明かりが増えて
百億の
絶えず点滅し続ける光たちに
べっとりと覆われた

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フェニキス人の貿易船

フェニキス人の貿易船

きつねのような尻尾をもつフェニキス人が、貿易をしに来る。

三千二百年たったら、わたしたちに教えてくれるという。

重い緑の宝石をもって来て、10億の生命と取り替えてあげようという。
もし間に合うのならば。

美はいつも正しく、あなたを苦しめる。

わたしたちの中に埋め込まれた何億もの小さな装置が勝手な物語を作りだし続けるから、わたしたちはいつまでも殺し合いを続けなければならない。

橋の上で蛙が

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