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歴ログ-世界史専門ブログnote版-

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はてなブログ「歴ログ-世界史専門ブログ-」のnote版です。 https://reki.hatenablog.com/ はてなブログに掲載していた記事の転載・再編集版を公開して…
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#アメリカ

WWEのヒールレスラーに見る「アンチ・アメリカ」

WWEのヒールレスラーに見る「アンチ・アメリカ」

プロレスの世界では「ベビー(正義)」と「ヒール(悪党)」のキャラ区別があります。
ずっとベビーやヒールをやっているレスラーもいますが、何かのタイミングで善悪入れ替わるのが普通で、「ベビーターン」とか「ヒールターン」とか言います。

アメリカン・プロレス(以下アメプロ)はこのキャラ区別が明確になっており、ベビーのレスラーが入場すると歓声で迎えられますが、ヒールのレスラーは大ブーイングで迎えられます。

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アメリカが外国から受けた「本土攻撃」

アメリカが外国から受けた「本土攻撃」

「911テロ」はこれまでアメリカが受けた「敵対勢力」による攻撃の中で最大のものでした。
大規模な被害が出たことに加え、911が新しかったのは敵対勢力に「正体がない」こと。「ここを叩けばいい」という敵の本丸が存在しないのが、21世紀の戦争です。
それまで実は何回も「敵国」による本土攻撃は決行されていますが、正直大した被害は出ていませんでした。
そのような歴史的経緯があったので、テロ後アメリカは今起こ

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なぜサンフランシスコは「ゲイの聖地」になったのか

なぜサンフランシスコは「ゲイの聖地」になったのか

近年、同性愛者のツーリストが世界の観光業界で注目を集めています。
同性愛者の休暇取得率は一般人より21%も高く(Guaracino,2007)、レズビアン雑誌Curveの調査によるとレズビアンの約30%が、年間の旅行支出は2000ドルを超えると答えたそうです。
アメリカ、オーストラリア、カナダ、スペインなどの観光先進国はこれら、可処分所得の高い同性愛者のツーリストが落とすお金、通称「ピンク・マネー

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アメリカ大統領選に出馬した伝説的な泡沫候補

アメリカ大統領選に出馬した伝説的な泡沫候補

アメリカ大統領選挙は、アメリカのリーダーを決める大事な戦いであると同時に一種のお祭りのようなもので、毎回とんでもない泡沫候補が現れては、アメリカ人にネタを提供しているようです。
自由と民主主義の牙城、アメリカのとんでもない泡沫候補を見てきましょう。

1. すべてのアメリカ国民にポニーを!2016年度の大統領戦に無所属で立候補予定のバーミン・シュープリームは、自分のことを「フレンドリーなファシス

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汚職・不正操作・スキャンダルのアメリカ大統領選挙史

汚職・不正操作・スキャンダルのアメリカ大統領選挙史

アメリカ大統領選挙と言えば、アメリカだけでなく世界中の国々にとっても一大イベントです。衰えたとはいえ、アメリカはまだまだ世界一の大国。

そのトップとなる者は、ある意味その時代を象徴している人物でもあります。現実的な話をすれば、向こう4年間のおおよそのアメリカの政策を推量できるし、それによる外交・経済・軍事・法制度、ありとあらゆる事柄に関わってきます。強大な権力を握るために、動員される人員もコスト

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失敗に終わったアメリカからの独立運動

失敗に終わったアメリカからの独立運動

アメリカの歴史は、連邦派(共和党)と反連邦派(民主党)の戦いの歴史であり、中央集権的な文脈を嫌がる集団や人が理想郷を求めて分離独立を求める動きが数多くありました。代表的なものが南北戦争です。

合衆国は多大な犠牲を払い、よろめきつつも1つの連邦国家として統一を維持し、50もの州を統合して大国にまで成長し現在に至ります。

今回はそのような、合衆国から分離しようとして失敗した「幻の独立国・独立州」を

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1936年アメリカの反戦運動「『未来の戦争』の退役軍人」

1936年アメリカの反戦運動「『未来の戦争』の退役軍人」

「未来の戦争の退役軍人(Veterans of Future Wars)」は1936年にアメリカで起こった学生運動・反戦運動です。

不況の中で第一次世界大戦の退役軍人が「特権的な扱いを受けている」ことに不満を持った学生たちが、「未来の軍人である俺たちも優遇される権利がある」と皮肉った主張を言ったことが始まりです。

そしてこの運動は予想外の盛り上がりを見せることになります。

1. 「未来戦友会

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詐欺師フェルディナンド・デマラから学ぶキャリアアップの仕方

詐欺師フェルディナンド・デマラから学ぶキャリアアップの仕方

アメリカ犯罪史上にその名を残す男がいます。

その名をフェルディナンド・ワルド・デマラ。

彼は23年間のキャリアの中で、医師、教授、刑務所長、僧侶とさまざまに職業を変えてきましたが、「ハッタリ」と「ウソ」を効果的に駆使し、高い身分と地位へと出世を遂げたキャリア・モンスターです。

人は彼を詐欺師、ペテン師、身分詐欺師と呼びますが、彼の使った手口は群衆心理や人間心理をうまく突いたもので、研究に値す

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カーネル・サンダースの殺人未遂事件

カーネル・サンダースの殺人未遂事件

ケンタッキー・フライドチキンの創業者でおなじみのカーネル・サンダース。彼は実はかつて殺人未遂事件をおこし警察のやっかいになったことがあります。

カーネル・サンダースは1890年9月9日、インディアナ州ヘンリーヴィルの生まれ。

家は貧しく、父は彼が6歳のときに亡くなり、母親は生活のためにいくつかの仕事をしなければならりませんでした。サンダースも家計を助けるために、10歳のときに月給2ドル(現在の

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コロンブス以前にアメリカ大陸に到達したかもしれない人々

コロンブス以前にアメリカ大陸に到達したかもしれない人々

西洋中心史観が見直され始めている現在においては、このようなタイトルは意味をなしません。アメリカ大陸には約1万4,000年前からシベリア経由で人類が進出し、独自の文明を築いてきました。

それでもコロンブス以前に誰かがアメリカ大陸を見つけていたかもしれない、というお題は人々の関心を集めます。

アメリカ先住民とユーラシアの東西文明との接触がもっと早くに実現することで、例えばアメリカ先住民文明が巨大な

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1880年代ニューヨーク・電気砂糖精製会社事件

1880年代ニューヨーク・電気砂糖精製会社事件

1880年代半ばのニューヨーク。

ヘンリー・C・フロイントという男が「砂糖精製に革命をもたらす手法を発明した」と主張し、投資家からお金を集めはじめました。

曰はく、現在使用されている技術では粗糖1トンにつき10ドル前後かかる一方、彼が発明した電気を用いた精製技術を使うと、1トンを80セントで精製できる、さらには短時間かつ高品質のグラニュー糖が作れる、というものです。

革命的な砂糖精製プロセス

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アメリカのLGBTを進歩させた女性偉人列伝

アメリカのLGBTを進歩させた女性偉人列伝

アメリカの女性史・LGBT史にとって重要な人物
アメリカでは長年、同性愛は「自然法に反する」として同性愛者は取締りの対象でした。

同性愛カルチャーは地下に潜って活動していたものの、連邦では1970年代まで同性愛者を逮捕できる法律が存在し、女性は同性愛だと分かると親権を奪われるという厳しい状況でした。

男性のLGBTだと映画「ミルク」で有名なハーヴェイ・ミルクが有名ですが、女性のLGBTを進

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世界史を変えたかもしれない“IF”の話

世界史を変えたかもしれない“IF”の話

歴史を学んでいると、どうしても「もし、この時こうなっていたら今の世界はどう変わっていただろう」と想像を膨らませてしまうことがあります。

もし明智光秀が本能寺の変を起こさなかったら

もしオスマン帝国がウィーンを攻略していたら

もしナチスが対ロシア戦を開始しなかったら

このような本当に一歩選択を変えれば、のちに全然違ったケースになったかもしれない出来事の話です。



1. イギリスが宇宙

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アメリカに実在するクレイジーな法律

アメリカに実在するクレイジーな法律

日本は飲酒運転が世界で最も厳しい国の一つです。この20年で急速に厳しくなりました。

海外ではまだまだ緩く、かなり飲んだ状態でクルマを運転しても何も言われないことも多く、日本の感覚でいたら結構ビックリします。

今回はアメリカに存在するクレイジーすぎる法律の数々を紹介していきます。

1. ニワトリは道路を横断してはならない(ジョージア州クイットマン)
ジョージア州クイットマンに現存する、「バカみ

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