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書くことについて111223
僕は忘却の旅に出る。人は忘却からは逃れられない。どんなに楽しかった記憶も色褪せ、やがてはほとんどが忘却の彼方へ消えてゆく。そういった意味では「書く」という行為は忘却へ対するささやかな反乱かもしれない。しかし、書くという行為は忘却を引き受けない限り成立しない。人は書くときにはもうそのことを十全に覚えてはいないからだ。だから「全て」を書こうとすればするほど忘却の彼方へ消えた断片の不可能性に直面するこ
もっとみる落書き31072021
夜の砂浜を2人連れ立って歩く。あなたはどこか忙しなくて、言葉を探して遠回りしているみたい。
あなたがうわずった声を出す。「き、今日は月が綺麗だね」
あたしは空を見上げる。空には満天の星が瞬いている。月は、月はない。大きな光を失った空には、名前を知らない星が燃えている。
隣のあなたを見る。星々の光はあなたの横顔に影を作る。あなたは今どんな表情をしているのだろう。あたしは笑いを堪えて呟く、「死ん