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愛着障害や複雑性PTSDとカウンセリング|EMDRやPEなどは有効なのか?

結論から言うと、私見ですが、EMDRなどは複雑なPTSDには効かなそうに思います。その理由をお伝えします。

愛着障害が治らないなら複雑性PTSDも治らないんでしょうか?
トラウマ専門のカウンセラーに、「EMDR をすれば、過去の怖い思いも、思い出しても大丈夫な怖さになる」と言われました。 それがもし出来て、積み重ねれば治るのかなと思ったんですが、 普通の人のような安心感に包まれるような感覚にはなれないんですか? 先生の見解を教えて下さい。

高間しのぶの質問箱より

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

トラウマについて整理してみます。次のように考えると分かりやすいでしょう。

■トラウマとは?

  • T のみ

  • T + t + t + t + t + t + t + …

Tというのは Large Trauma (ラージトラウマ)、つまりPTSDになるような大きなトラウマです。単一トラウマが T だった場合、PTSDになります。

t というのはスモールトラウマ、大きなトラウマが1つ以上あって、小さなトラウマが無数にある場合、複雑性PTSDになります。愛着障害はこっちの分類に入ります。

そして、愛着障害や複雑性PTSDの最大のトラウマは、基本的信頼感が損なわれているという決定的なトラウマです。これは「目に見えないトラウマ」と言えるかもしれません。トラウマのジャンルでいうと「社会的(情緒的)ネグレクト」と言われるものです。

この基本的信頼感が損なわれているというのは、見落としがちです。なかなか普通の人は思い至れません。なぜなら、「基本的信頼感はあって当然」なものだからです。この当然なものが損なわれているわけですので、相当ビッグな(目に見えない)トラウマと言ってもいいでしょう。

この基本的信頼感がないと基底欠損状態になり、人生全般に渡って体験する全てのことが、良いことも悪いことも含めトラウマになっていきます。これが無数のトラウマが発生する原因なのです。

良いことでトラウマ?と思いますよね。例えば、デートをOKして楽しく遊べたとしても、デートの後もう会いたくない!という気持ちが沸き上がったりします。この程度は人によって違いますが、拒否する人も違和感を感じる人も、同じトラウマとして感じているのです。

■無数のトラウマを処理するには?

EMDRなどの、世にあるトラウマ処理プロトコルは、単一トラウマに対して行います。単一トラウマには有効です。

ただ、スモールトラウマを含めて、トラウマが無数になってくると、モグラ叩きのように、処理をしても次から次へトラウマが立ち現れて、そのうちに治療者が疲弊していきます。終わりのない治療に相談者もだんだんいら立ちを覚えてきます。

こうやって治療関係が揺さぶりをかけられるようになり、カウンセラーはその関係修復に奔走して、治療どころではなくなっていきます。EMDRではうまくいかなかった、という人は、こういう治療関係になっているのかもしれません。

それにトラウマ処理をする方法は、トラウマへ直面化させられますので、傷を拡大する恐れがあります。EMDRばかりでなく認知行動療法のPE(持続的エクスポージャー)も傷が拡大するリスクがあります。これを治療トラウマといいますが、治療によってトラウマが拡大したという話も少なからず聞きます。

以前、精神科医の斉藤学氏は、PEのことを「治療者によるいじめ」と称していました。PEがダメではなく、そうなることもあり得る(治療トラウマになり得る)という心構えをもってやれということです。

これらのことは、ベテランの治療者なら回避できるかもしれませんが、単一トラウマ処理プロトコルを使うと、このような不具合が起きるリスクが高まるのです。しかしベテランなら何とかするでしょう。

■カウンセリングで治す

では愛着障害や複雑性PTSDはどうやって治すのでしょうか。それは、カウンセリングで治します。徹底的な傾聴、それもコフート味の「積極的な傾聴」をしつつ、「安全な場を提供」することです。この安全な場については、誰も反論する余地がないでしょう。ですから、究極、ここにとどめを刺すのです。

トラウマ治療のカウンセリングは、経験の浅い人ではできませんので、ある程度の研鑽を積んだ治療者限定の話になります。

それでも初心者でも、よけいなアドバイスをいわず傾聴に徹すれば、その安全な場を作ることはできるでしょう。コフート味がなくても、それだけでも治療としては進んでいきます。

ですから、複雑性PTSDや愛着障害の治療には、EMDRなどの単一トラウマ用の方法を選択しないほうがいいのでは?というのが、私の目下のところの結論です。

■まとめ

  • トラウマは、単一トラウマと無数のトラウマの2タイプある

  • 無数のトラウマの場合のラージトラウマは、基本的信頼感が欠損していること

  • EMDRやPEなど、世にあるトラウマ処理は、原則単一トラウマ用。

  • 複雑なトラウマ処理には、安全な場を提供するカウンセリングが有効。

□新横浜のカウンセリングルームへの道|ラジオおやすみカフェ

今日のラジオおやすみカフェは、新横浜にあるソレアのカウンセリングルームの話です。詳細はラジオをお聴きください。

■他の助けを求めるのもいいでしょう

あなたがトラウマの問題を抱えている場合は、トラウマ処理専門のカウンセリングも良いですが、どうして複数のトラウマを体験するようになったのか、その原因まで理解してくれる心理士に相談するとよいでしょう。もし、いまのカウンセラーがいまいちと感じるのなら、別のカウンセラーを探しましょう。あなたにとって良いカウンセラーはあなたの一生の財産になります。あなたのカウンセリングがうまくいきますように。

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