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双星たかはる
2022年1月3日 23:27
新雪に足を踏み出すときにためらうことを忘れないまま蹂躙しようと思わないまま白さにとけこみたいと願う親切に足を踏み入れるとき頭から疑うことをしないままあたりまえだと驕らないまま白さに染まりたいと誓う舞う雪のひとひらひとひらも氷のはしらのひとつひとつもきみやぼくという人間も透明な水が模るもので穢せないし穢さない享受とはそういうものだから閉じたように感じる季節は開くた
2021年12月26日 23:01
寝るときに「さようなら」と言いたい日さまつな今日との訣別として211222初出はTwitterの文章垢。
2021年12月26日 22:50
自分たちは知恵を持つ獣だから、と思い込み、ほかの獣たちとは線引きをしているけれども、そのあわいにあるのは思いあがりと哀しみだ。廃棄をするほど殺している。根絶やしにするほど殺している。自死をするほど殺している。繁栄の道を違えてきたわたしたちは、もはや獣の風上にも置けない存在として、人間という生きものでいるしかないんだろう。肥大したり千切れたりするコミュニティで、歌をうたうよ
2021年12月26日 22:47
おもいおもいカバンを背負ってときには両手にも荷物を抱えて毎日登校していたな当時は考えなしだったけど生きていくための矢じるしが希望がぎゅうぎゅうに詰まってた思えばそうランドセルはたからばこでしただから子供は嬉しいんだろうツヤツヤピカピカの大きなカバンを自分に託されることがたからものを徐々に手に入れ形だけでも使えるようになるころに役目を終えてひしゃげるんだ子供が
2021年12月5日 23:15
ねぇ いつ死ぬかよりいつ笑うかでしょいつ振り向くかでしょものごとにはタイミングがあるそれにより別の意味になる季節がめぐるのと一緒巻き込まれている生まれるまえからわたしたちは宇宙の一員ひとりきりではこの場にいない共同作業? とんでもない運命共同体とか言うけど沈む船に乗りたくはない宇宙をバックにつけながら今日もまわり続ける矛盾劇愛を知る人は寂しがりなくしたものを探
2021年12月5日 23:12
鈍色の毛並みの猫になり重たい雲と流れゆきさび猫であれば日暮れの街の主になり三毛猫だったら縁側で悠悠と四肢を投げだして息をするぼくの哀しみ惰性の運動にマリンスノーは積もりゆきとめられない不整脈の海流に巻きあげられる目だけをぎらぎらさせながら路地の闇からまろび出たのはぼくだったのか猫だったのか猫ならば丸く居座る胸の痛みを切り裂くことができるのだろうか飼い慣らすことができるの
2021年11月22日 18:22
忍び寄る足音楽し落ち葉どき山々のいろ紅葉且つ散る裾野夕焼けに息ふき返し枯木山蝕に染む月にひととき紅葉ありきみの襟に塒を巻いている素風
2021年11月20日 00:01
わたししか知らないことがある。ツクンと痛い胸の奥で、にじみ始める色だとか。聴き慣れたはずの好きな歌から、鎖骨を転がる言葉とか。一緒に歩いた足の裏には、必ず誰かが住んでいるとか。彼方を目指す山が蒼穹をなし、焦がれて緋色に染まること。やがて真白に角隠し。孕み続けて死んでゆくこと。春にはべつのわたしなのよ、おなじ姿に見えるでしょうけど。たましいのないマテリアルさえ死ぬのがリアルの傍らで、
2021年11月10日 17:33
恋愛脳と揶揄される人のロマンスは、わたしという宇宙では非常にちっぽけで、したがって、わたしも非常にちっぽけで。もっともそれでいいと思っているので、なにも不都合や不具合はない。たまに憐れみを投げられるのが嫌なだけ。マカロンはいちどにたくさん頬張れず、チョコにもビターがあるように、いろんな人がいていいはずで。春雨に、けぶる詩情をいだく一方、食欲を増す人もいるでしょう。正義を振り
2021年10月31日 01:40
稼働し続けているいのちがなにかをぼろぼろ振り撒いたのを道端で落としてきたのを感じていたけど結局なんだったのかが判らないまま増える隙間に戦戦恐恐いのちを搭載しているぼくらの個個の性能には限りがあってそれらはたいがい個性と呼ばれ稀にチートスキルやオプションがつく仕様を変更してみたい若葉の季節を迎えた緑は降り注ぐ愛できらきらしているあまりに模範的なケース光合成の叶わぬヒト科
2021年10月28日 22:16
剥離したオーロラがこぼれてきたので口を開けたまま目が乾いても見続けたまた会えるとはいっても不確かな命だ次があるかどうかなどは判らないのだ無音の世界をただ降下してくる彗星を賢治はなぜギーギーフーと記したのか熱帯魚のような尾は実際は多弁なのか可能なら聴いてみたいと思いを馳せたふだんは静かの海に置き去りの感情も生きものなので周期的に自己主張する自分では手がつけられないこともある
2021年10月3日 00:02
女の身体のサイクルに似たおおよそ三十日の満ち欠けの今はどんなだろう昔はなかったタワーマンションに遮られていて月が見えない現実という壁かもしれない女だっていつも輝いているわけではないのだから影を持たない女を見たことがあるか わたしはない男はどうだか月みたいな肌と誉めそやしたらシミがどうのと喚き立てられて面倒だった学や詩情を持たない人間はこれだから嫌いだ自分も含めて真昼の
2021年9月23日 17:15
木々を縫ってくる湿った風包むようなせせらぎに虫の歌作業車のゆく音と子供の歓声雑多な心地のいい空気このちいさな東屋でぼくときみとのふたりきり音や景色に沈み込む異世界のように凪ぐ晩夏ねぇ どこから来たの羽を休めて小一時間きみはぼくの向かいでのんびりしているぼくはこうして詩を書いているとても気紛れな山のお天気は煙のような雲を緑の肌に纏わせてすっとだんまりしたかと思うと
2021年9月20日 21:49
暮れる陽を飲み干してこくり こくり ひかり じわりその色に染まりきれたならきっと金木犀になれたスポイトでは盗めないすこん すこん すかん じかんため息を相殺する秋天にもの寂しさは無粋に思うどこに行けば癒されるのかほろり ほろり ちらり じろり人目を気にして泣けなくなって解決するのは自分と知った器にたっぷり用意するからほどよく冷えた心の切れ端よろしければ召しあがれ