詩『金木犀』
暮れる陽を飲み干して
こくり こくり ひかり じわり
その色に染まりきれたなら
きっと金木犀になれた
スポイトでは盗めない
すこん すこん すかん じかん
ため息を相殺する秋天に
もの寂しさは無粋に思う
どこに行けば癒されるのか
ほろり ほろり ちらり じろり
人目を気にして泣けなくなって
解決するのは自分と知った
器にたっぷり用意するから
ほどよく冷えた心の切れ端
よろしければ召しあがれ
今なら特別かぐわしいはず
言葉をめぐらせる雨の夜
それだけではとても足りなくて
枝を折ろうとしたけれど
身勝手で傷をつけたくないから
じわり じかん ほろり じべつを
身を引くことにしようと決めた
散るように潔く ね
20210918
深夜の二時間作詩 第126回「金木犀」
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