詩『猫ならば』
鈍色の毛並みの猫になり重たい雲と流れゆき
さび猫であれば日暮れの街の主になり
三毛猫だったら縁側で悠悠と四肢を投げだして
息をするぼくの哀しみ
惰性の運動にマリンスノーは積もりゆき
とめられない不整脈の海流に巻きあげられる
目だけをぎらぎらさせながら
路地の闇からまろび出たのは
ぼくだったのか猫だったのか
猫ならば丸く居座る胸の痛みを
切り裂くことができるのだろうか
飼い慣らすことができるのだろうか
気紛れが愛される猫ならば
頓着せずにいられるのだろうか
物音を立てずに置き去れるのか
判らない
あざといと言われようが
自然体であれる存在に憧れている自分を
なにも知らないくせにと嗤うしかないもので
この世界で生きていきたい
それだけなんだ
20211030
ココア共和国12月号用 ボツ
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