人生も初冬の我が目の前にはかなき蜘蛛の糸垂れてをり 初冬〔はつふゆ〕 すーっと冬の蜘蛛が下りてきました。
老い兆す 冬の西日のぬくもりがあらば生きらる 残りの日々を
寒い。 思わず呟く。 夜明け前のまだ薄暗い道を歩く。 とても、寒い。 指先も、足先も、感覚がない。 吐く息の白さが眩しいほどの朝。 さむい寒いと不平を言いながら、なぜ歩くのか? 君は問う。 知らないのかい? 朝日に朱に染まる雪の山脈は、寒さに耐えたものへのご褒美だからさ。
金剛石の欠片だろうか きらきら。と、 光るのは空気の中の水分 けれど きらきら。と、 見えるのは朝の澄んだ空気に 心が躍るから どちらも きっと 真実
君の唇から 細くのぼる白糸のような煙が 凍てついた冬の空気に溶ける やめたら? 体に悪いよ と、あの日見たナイトショーより 意味のない言葉も 冬の空に染み込んだ 本当は ただ ただ 視界に映していたかった 紫煙と共に世界に溶けた君を 想う そんな冬の空