根雨良光

木の枝に擬態する七節のごとく言葉の森で地道に棲息しているナナフシ・ライターです。人生の…

根雨良光

木の枝に擬態する七節のごとく言葉の森で地道に棲息しているナナフシ・ライターです。人生の半分の30年を書くことで食ってきました。古文の講師をしています。散歩するように短歌詠む日々。我が身は七節でも、我が言葉は揚羽のごとく舞ってほしいと願っています。

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    心に少し磨きをかければ日常も一編の詩になります。そのために欲しい詩の力。詩力(しぢから)を感じさせてくださった記事を、ここに入れさせていただきます。

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坊主憎けりゃ何まで憎いか?

受験生に古文を教えていたときのこと。 『更級日記』の文中に出てきた「袈裟」の字が読めない様子です。 そこでヒントを出しました。 「ほら、坊主憎けりゃナントカまで憎いって言うじゃない」 「?」 「ああ、このことわざ、もう死語かなあ。坊主憎けりゃって、ふだんの会話で聞かないよね」 「うん」 私はクイズのようにして考えてもらうことにしました。 「じゃあ、推測してみよう。お坊さんが憎いとなったら何まで憎くなるか。はい、坊主憎けりゃ?」 「寺まで憎い」 「なるほど!」 思わず唸る私

    • 菊の花がわからない若者は少なくない

      風流の種を蒔くこと 若者にムズい古文を教える意義は 古文教えていて気づくこと。 男子高校生が菊を知らないのは珍しいことではない。 「菊」という言葉はさすがに知っているけど、意識して見たことがない。 ゆえに、どんな花なのかわからないのです。 そのような生徒さんに、例えば『蜻蛉日記』の「うつろひたる菊」を講義することのむずかしさといったら……。 されど、いつかその人が菊を愛でるようになるかもしれない。 そのきっかけを私は施しているのかもと、考えるようになりました。

      • 「むかし、男、はつかんして…」

        「教科書は次、はつかん」と高2言う「ういこうぶり」とわかりほっこり 高校生に古文教えていたときのこと。 「2学期は何からやるのかな?」と聞くと、 「えっと、教科書は次、はつかん」との答え。 「はつかん……ああ、ういこうぶり」 「?」 「伊勢物語ね」 「あ、伊勢って書いてある」 楽しいやりとりに私は発汗しました。

        • 限りなく透明に近いグリーンで我はありたい いかなる時も

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          今はもう年内入試が多数派で夏は受験の本格シーズン

          今はもう年内入試が多数派で夏は受験の本格シーズン

          猛暑日の天気アプリにぞぞ髪立つ 体感温度43度 ぞぞがみたつ=ぞっとして身の毛がよだつ

          猛暑日の天気アプリにぞぞ髪立つ 体感温度43度 ぞぞがみたつ=ぞっとして身の毛がよだつ

          夏からの便りに見ゆるレタスの葉 レターのレタス レタスのレター

          夏からの便りに見ゆるレタスの葉 レターのレタス レタスのレター

          丸ごとは萵苣と呼びたきレタスかな ちぎりしのちは確かにレタス 萵苣:ちしゃ

          丸ごとは萵苣と呼びたきレタスかな ちぎりしのちは確かにレタス 萵苣:ちしゃ

          梅雨に食ふグリーンカレーは半夏生 後半戦は白星であれ

          梅雨に食ふグリーンカレーは半夏生 後半戦は白星であれ

          けだるげに熟れしバナナの皮をむき痣よけて食ふ梅雨の黄昏 痣:あざ 黄昏:たそがれ

          けだるげに熟れしバナナの皮をむき痣よけて食ふ梅雨の黄昏 痣:あざ 黄昏:たそがれ

          蝸牛好かれ蛞蝓嫌はるる 蛇にも丸き貝殻付けむ 蝸牛:かたつむり 蛞蝓:なめくじ 丸き:まろき

          蝸牛好かれ蛞蝓嫌はるる 蛇にも丸き貝殻付けむ 蝸牛:かたつむり 蛞蝓:なめくじ 丸き:まろき

          葉桜と言はるることもなくなりし桜青々五月雨に濡る

          葉桜と言はるることもなくなりし桜青々五月雨に濡る

          薄日射す六月ぱらら雨の音 狐のジューンブライド通る

          薄日射す六月ぱらら雨の音 狐のジューンブライド通る

          この星の心臓のごと太陽は倦まず弛まず今日も昇れり

          この星の心臓のごと太陽は倦まず弛まず今日も昇れり

          人生はポトフ

          ポトフ煮る スープにとうふポトポトと投じてこれをポトーフにせり ポトフ作りが習慣になってきました。皮のままの蕪がおいしいです。人生も煮込みですね。マスタードとペッパーの効いた風味のある日々を過ごしたいものです。

          人生はポトフ

          五月の色

          旧暦の五月 紫 花菖蒲 皐月の皐は白骨なれど 六月十日、旧暦の端午の節句、明治神宮にて出逢いし花菖蒲で詠める