楽加生(らくかせい)

私は、これからの人生を余生ではなく、1日1日を大切にして、これまでの人生に加える「加生…

楽加生(らくかせい)

私は、これからの人生を余生ではなく、1日1日を大切にして、これまでの人生に加える「加生」と考えています。 ペンネームは、今日という1日に感謝しながら、楽しく加生を重ねていきたいとの思いから名付けました。 どうぞ、よろしくお願いいたします。

マガジン

  • 【連載小説】CANCER QUEEN

    がん細胞のクイーンが、がん患者のキングに恋をしてしまい、なんとか彼の命を助けようと奮闘するSFファンタジー小説

  • 近未来小説「ある日の"未来"」

    西暦2032年 10歳の「発達個性」の男の子"未来"の、ある日の1日を通して、地球温暖化が限界点を越えてしまった地球と人類の近未来を描写する。

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noteの軌跡 : プロフィールに代えて

私はこれからの人生を余生ではなく、1日1日を大切にして、これまでの人生に加える「加生」と考えています。 楽加生というペンネームは、今日という1日に感謝しながら、楽しく加生を重ねていきたいとの思いから付けました。 ここでは、プロフィールに代えて、2022年8月から これまで、noteに綴った加生の軌跡を一覧にしています。 真っ先に読んでいただきたい記事はこれです!❤#未来のためにできること ❤エッセイ「現代の危機」 📕【小説】 📕「ある日の"未来"」 西暦2032年、

    • CANCER QUEEN ステージⅡ 第11話 「再会」

      6回目の入院が始まった。今回は1週間の予定。ドクター・エッグは前回のキングの様子から、副作用の処置は通院で大丈夫だろうと判断したらしい。 今回も病棟は7階だった。キングは荷物の整理を終えてから、ナースステーションにシャワーの予約を入れに行った。 「大王さん、さっそく予約ですね。もう慣れたものですね」  と、看護師さんが声をかけてきた。 「はい。勝手知ったる他人の家ですから」  キングの言葉に看護師さんもうなずいている。キングは手間のかからない、模範患者

      • CANCER QUEEN ステージⅡ 第10話 「副作用」

          キングが初めての抗がん剤治療で入院してから、今日で6日目になる。日曜日の病棟はまるで生徒のいない学校のように、ひっそりと静まり返っている。いつもの看護師さんたちの賑やかな笑い声も、ほとんど聞こえてこない。 心配された副作用も、今のところたいした症状は出ていない。強いて言えば、数日前から続いている便秘くらいかしら。キングは今朝、1時間近くもトイレでねばっていたけれど、成果は出なかった。 そこで彼は看護師さんと相談して、座薬を入れることにした。座薬は

        • CANCER QUEEN ステージⅡ 第9話 「抗がん剤治療」

           退院から2週間が過ぎた。奥歯を抜いたあと、ぽっかり開いた大きな穴からは1週間以上も出血が続き、その後、完全に痛みが治まるまでには、さらに1週間が必要だった。キングは以前にも奥歯を抜いたことがあるけれど、今回は血栓予防薬のワーファリンの影響なのか、とりわけ出血と痛みがひどかったようね。  結局、抗がん剤治療の前に、血栓治療と抜歯のために2週間も入院するという思いがけない回り道をしたけれど、今度こそ、キングの最後の入院にするために、わたしは最後の覚悟を決めないといけないわね。

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        noteの軌跡 : プロフィールに代えて

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        • 【連載小説】CANCER QUEEN
          22本
        • 近未来小説「ある日の"未来"」
          12本

        記事

          CANCER QUEEN ステージⅡ 第8話「抜歯」

          「また帰ってきました。これで出戻りは何回目かな」  と、キングが頭をかいた。 「お帰りなさい。早かったですね」  ベテラン職員の山川さんが笑顔で応じた。 「今回の入院は余計でした。抗がん剤治療のつもりが、急きょ、血栓の治療に変わってしまい、拍子抜けしました」  新人の中田さんも優しく微笑んでいる。この2人の笑顔に、キングはいつも癒されている。 「血栓のほうは、もう大丈夫なんですか?」  山川さんが心配そうに訊ねた。 「はい。もう消えちゃいました。でもまだ、血を

          CANCER QUEEN ステージⅡ 第8話「抜歯」

          noteの創作大賞の締切に向けて遅い筆に疲れた頃、ふと見上げた久しぶりの夕焼け空に心が癒されました。 梅雨の間の夕焼け雲の淡い空 心癒されまた筆を取る

          noteの創作大賞の締切に向けて遅い筆に疲れた頃、ふと見上げた久しぶりの夕焼け空に心が癒されました。 梅雨の間の夕焼け雲の淡い空 心癒されまた筆を取る

          CANCER QUEEN ステージ Ⅱ 第7話 「逡巡」

             がん病棟は出入りが多い。前回も同室だった窓側のベッドの新田さんはめでたく退院した。 おめでとうございます。また戻ってこないことを祈ります。 キングはさっそく新田さんのいた窓側に移らせてもらった。どうせなら、外の景色を楽しめるほうがいいわね。 キングのいたベッドは、その日の午後には埋まった。今度の古田さんはさっきから、やたらに咳をしている。頑固に絡む痰を無理に出そうとして、熊のように大きな音で喉を鳴らすものだから、まるで病室が動物園になったよう

          CANCER QUEEN ステージ Ⅱ 第7話 「逡巡」

          CANCER QUEEN ステージ Ⅱ 第6話 「血栓」

            今日は2月2日。もう2月よ。早いわね。わたしがキングの肺の中で産声をあげてから、3ヵ月になる。彼にとってもわたしにとっても、この3ヵ月は驚天動地、波乱万丈の毎日だったわ。でも、これからが正念場なのよね。 今日の午後、キングは予定通り入院した。 じつは昨日、彼は入院前に歯を診てもらっておこうと思い、いつもの歯医者に行ったら、いきなり、奥歯を抜いたほうがいいと言われた。抜くには何回か通わないといけない。彼は歯科医に、明日から抗がん剤治療で入院する予

          CANCER QUEEN ステージ Ⅱ 第6話 「血栓」

          CANCER QUEEN ステージⅡ 第5話 「5年生存率」

            夕べ、キングは寝つきが悪かった。そのうえ、夜中に寝返りを打った拍子に、背中にズキンと痛みが走って、それからずっと眠れなかった。朝起きて、いつものように血圧を測ると、160に跳ね上がっていた。 キングは傷口が開いたのかもしれないと心配になり、朝一番に電話を入れ、その足で病院に向かった。 まだ松の内だというのに、病院は人でごった返していた。彼は予約外なので相当待たされるだろうと覚悟していたけれど、レントゲン写真を撮ったあと、意外に早く診察室に呼ばれた

          CANCER QUEEN ステージⅡ 第5話 「5年生存率」

          CANCER QUEEN ステージ Ⅱ 第4話 「選択」

          キングはようやくお目覚め。病院では4人部屋でよく眠れなかったから、夕べは久しぶりにぐっすり。おかげさまで、わたしもこれ以上寝たら溶けちゃいそう。 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。 と、さっそく新年のごあいさつをしたのに、彼はいつものようにそっけないの。わたしの声は聞こえないだろうから仕方がないけれど、やっぱり反応がないのは寂しいわ。また、いたずらでもしてやろうかしら。 でも、やっぱりやめておこう。だって、そ

          CANCER QUEEN ステージ Ⅱ 第4話 「選択」

          CANCER QUEEN ステージⅡ 第3話 「退院」 

           今頃の人間の世界は師走とかいって、すごくあわただしそう。がんの世界には季節がないから、わたしたちはいつも勝手気ままに暮らしている。がんの種類によって成長するスピードがまちまちだから、何年ものんびりしている子もいれば、やたらとあわただしい奴もいる。  わたしは、今はのんびりよ。ずっとこのままでいたいけれど、自分でもこの先どうなるかはよくわからない。でもまた大きくなりすぎて、キングに迷惑をかけることだけは、死んでも避けたいわね。といっても、がんは正常細胞と違ってアポトーシスが

          CANCER QUEEN ステージⅡ 第3話 「退院」 

          平和が遠のく世界

          「世界を平和にする方法」 世界の指導者がそろって宇宙から地球を眺めたら、この奇跡の星“地球”の尊さと戦争の愚かさを悟るに違いない。 そんな思いで、私がこのエッセイを書いてから早くも1年半が経ちました。 この間、ロシアのウクライナ侵攻は未だに停戦の兆しさえ見えず、イスラエルとハマスの殺し合いは激しさを増すばかりです。 世界の指導者はいったい何を考えているのでしょうか。 犠牲になるのは、未来を担う子どもたちです。 そこには、どんな大義名分もありません。 人類の知恵とはなん

          平和が遠のく世界

          お詫び 先ほど、連載小説「CANCER QUEEN ステージⅡ 第2話『傷痕』」を誤って二重に投稿してしまったようです。 後から投稿したほうの記事を削除させていただきましたが、すでにスキマークを押していただいたフォロワー様には、心から深くお詫び申し上げます。

          お詫び 先ほど、連載小説「CANCER QUEEN ステージⅡ 第2話『傷痕』」を誤って二重に投稿してしまったようです。 後から投稿したほうの記事を削除させていただきましたが、すでにスキマークを押していただいたフォロワー様には、心から深くお詫び申し上げます。

          CANCER QUEEN ステージⅡ 第2話 「傷痕」

          キングはドクター・ジャックのアドバイスどおり、手術の翌日からリハビリテーションを始めた。見るからに大変そう。彼は傷口が痛むことより、点滴用のスタンドを押しながら歩くことのほうが煩わしいようだわ。スタンドには、傷口から出る血液や膿を溜めるドレーンの管とか、尿道カテーテルとか、ほかにもいろんなものがぶら下っていて、気をつけないと、管がからまったり、外れたりしそうなの。 彼は毎日がんばって、少しずつ歩く距離を延ばしている。今朝はナースステーションの周りを2周もした

          CANCER QUEEN ステージⅡ 第2話 「傷痕」

          CANCER QUEENステージⅡ 第1話 「復活」

            夢を見ていた。わたしはたった一つの、ほんの小さな細胞だった。真ん中に大きな目のような核があって、それがきょろきょろと周りを見回している。キングの肺の中で、わたしというがんの赤ちゃん細胞が誕生した瞬間だ。人間の赤ちゃんもこんなふうに生まれてくるのかしら。 わたしの細胞はしばらくじっとしていたあと、突然、分裂を始めたと思ったら、見る見るうちに膨らんで、あっというまに彼の片方の肺の半分を占領してしまった。 「そんなに大きくなってはだめ!」 と、

          CANCER QUEENステージⅡ 第1話 「復活」

          初夏の歌

          うたたねに 夏の気配が 忍び込む 今日もひねもす うつらうつらと 連休も いつも変わらぬ 毎日の ただひたすらの 時を楽しむ 空に舞う 鯉の如くに 五月晴れ 浮世離れて ゆらりゆらりと