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【徹底解説】なぜハエを捕まえられないのか?生物が感じる「時間」の違い。


今日は「時間」の話です。

「時間」といっても、「時間は大切!」というような話ではありません。

ズバリ「ハエ」の話です!

頭に「?」が浮かんでる人も多いかもしれませんが、この記事を読み終わる頃には理解できているはずです。

4倍スローの世界で生きる「ハエ」

最近、カフェで作業をしていると、窓の外のテーブルに一匹のハエが飛んできたので、動きを観察していました。右に左に、飛んだり手をこすったりと、いつも通りのハエの動きです。

ここで注目したいのはハエの動作の速さです。一つ一つの動きが速すぎて完全に追うことは不可能でした。皆さんもハエをなかなか叩けなくて苦労したことありますよね。

では、彼らはなぜ素早い動きが可能なのでしょうか。

答えは「時間」の感覚が人間よりも遅く、世界をスローに見ているからです。

目で周りを見て、ものごとの経過を見るとき、画像をパラパラ漫画のように順番に受け取りそれらをつなぎ合わせることで映像として理解しています。人間は1秒間に60枚の画像を受け取ることができ、これが時間経過の速さとなります。一方、ハエは1秒間に250枚の画像を受け取ることができます。4倍の情報量を同じ時間で得ていることになるので、時間間隔は人間の4分の1となります。

脳の画像処理速度は、「フリッカー融合頻度」という尺度で測ることができます。これは、光の点滅をどれだけ認識できるかというもので、人の場合は、1秒間に60点滅以上する光は点滅していないと判断してしまうということです。


「時間」の正体とは?


先ほど述べたように、ハエは人間よりも4倍スローな世界で生きています。これは時計の針が1秒進む間に、ハエは4秒待ってることになります。つまり同じ時間で4倍長生きしているのと同じことです。こう考えると、いわゆる時間=1日24時間は目印であって感じる「時間」とは違うことが分かりやすいですね。例えば、動体視力がいいスポーツ選手は集中しているときは、長い「時間」を生きてます。

「時間」の感覚というのは、同じ時間でどれだけ映像を細かく見ることができるか、もっと言うとどれだけの情報を脳で処理できるかによると言えます。


人間は「ハエ」になれるのか?

では、人間は「ハエ」になれるでしょうか?
答えはNOです。理由はいくつかあります。

まず、大きさが違うため、目から脳までの距離が違います。

また、光を伝達する構造が違います。ハエの目は光を脳に高速に届けるために、光の経路に対して水平に並ぶ細い糸状の構造体で光をとらえます。
一方、人間は光に対面する長い管状の細胞が並び、光を伝達していきます。

さらに、処理速度を上げる必要がないということもあげられます。ハエは外敵が多く、世界を細かく観察し、生存のための選択を素早くするために目が発達しました。一方、人間は体が大きく、情報処理速度を上げても動くことができないため、それ相応の目の機能になっています。

つまり、目の構造を改造して、世界をゆっくり見ることができたとしても、体がついてこれずイライラしちゃうとです。


長生きは幸せなのか?

これまで体感「時間」の話をしてきました。
この話を聞いて、「時間」を長く感じることができるハエっていいなーと思っちゃいました。

そして、ここでの「時間」は、1秒間という時間の中での体感「時間」の話だったので、あまり実感がわかないかもしれません。
しかし、この考え方は、1日、1年という単位に直しても考え方は同じです。

大人になると1年が過ぎるのが早く感じるということがありますよね。あれは本当のことです。時間は平等ですが、「時間」は平等ではありません。

長い目で見た「時間」は、新しい経験の数によって決まってきます。小さいころは、新しいことの連続で、脳はたくさんの新しいを丁寧に処理していきます。しかし、年齢を重ねるとどうしたら自分が生きやすいか=生存確率が上がるのかを考え、慣れた経験を続けることで脳を省エネします。

有名な話で「体感では19歳で人生の半分が終わる」というジャネーの法則があります。


つまり、ハエが1秒間で人間の4倍の画像を処理するように、子供は1年間で大人の数倍の新しい経験を処理することになります。

こう考えてみると、長生きしたいにも、長生きと「長生き」の二種類がある気がします。

健康に気を付け、堅実に安定を求めて長生きする人と、新しい挑戦を意識的に続け、脳に負荷がかかり続けて平均以下の寿命で亡くなる人、どちらが長く生きているのでしょうか。

また、もっと難しい問いを投げると、どちらが幸せなのでしょうか?
そもそも体感「時間」が長いと幸せなのでしょうか?いろいろなことを考えさせられます。

これらの問いに答えるには、自分で何かを定義しなくてはいけません。ただ、いつもと違うのは、「あることが前提の人生という時間をどのように使うか」ではなく、「自分や周りの影響で変化する人生という「時間」をどう扱うか」という視点が入ってくることです。

人間で考えるのは難易度が高いので、試しに寿命50日のハエの気持ちになって人生を考えてみると、気持ちが楽になると思います!

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おわりに

最後まで見ていただきありがとうございました!

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