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#ミステリー
明の9 「真夏の夜の匂いがする」(25)(和訳付き)
博多口を出ようとした。
出られなかった。気がつくと私は踵を返していた。間反対の、元いた筑紫口に向かっている。お宮が私を引き留めようとしたが、私は無視して肩をつかむ力を強めた。
何かの判断を強いられたのだ。恐怖ではない、別の想念じみたものが私を動かしていた。踵を返したのは、誰もが経験するであろう無意識に組まれた考えの連なりからなる決断だった。歩きながら、私は自分の思考を見直した。
私は次にと
明の11「シドと白昼夢」(27)
今一度私はAirpodsの位置情報を確認した。Airpodsは、マクドナルドの下にある。姿を視認すれば切りかかれるように、ホルスターのナイフに手をかけた。そして、整列する掲示板によっかかっている貫一を見つけた。ナイフに殺意を注入するところであったのに、私はそれができないことを悟った。気づけば、私は柄から手を離し、しきりに雑踏の中に貫一を探すかのようにあたりを見渡している。また、私は彼を視認して、
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