愛を乞う人~北海道八雲町・酪農家女性殺害事件~

愛を乞う人~北海道八雲町・酪農家女性殺害事件~

平成18年3月23日 北海道函館地方裁判所。 「主文。被告人を懲役5年以上10年以下に処する。」 園原敏彦裁判長は、被告人席にたたずむ少女に判決を言い渡した。 少女は17歳、東京八王子の家庭裁判所において検察官送致の決定を受け、事件を起こした北海道の地で刑事裁判を受けた。 「言いたくない。自分でもわからない。」 少女は公判の間もずっと、心を閉ざし続けていた。 少女が犯した罪は殺人。それも、親身に世話を焼いてくれた母のような存在の人を殺した。 17歳のそれまでとこれか

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特集:こどものじけんぼ

特集:こどものじけんぼ

まえがき 現在、少年法では14歳未満の者は刑罰を受けない。刑事責任能力のある年齢に達していないからであるが、11歳以上になると少年院送致が可能となる。 したがって、「子どものしたことだから」が通用するのは10歳以下、となる。 14歳以上18歳未満の者は、死刑を科すべきときは無期刑にしなければならないため実質18歳未満のものへの死刑執行は有り得ない。 無期刑を科すべきときは、成人同様に処罰も可能だし、10年以上20年以下の有期刑にすることもできる。 18歳、19歳の場合は

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こまどりの死を、機に #3-1 (だれがそのちを うけたのか?)

こまどりの死を、機に #3-1 (だれがそのちを うけたのか?)

『だれがそのちを うけたのか?  わたし とさかながいいました  ちいさなおさらで  わたしがうけた』           *  オホーツク海高気圧が勢力を強めたことによって再び南下した梅雨前線の影響で、少年の住む街は一時間70ミリの激しい雨にみまわれていた。  校区内で立て続けに起こった殺人事件によって少年の通う中学校は休校となり、全生徒に自宅待機の指示がだされている。しかし少年は学校指定のレインスーツを着て、中学校と隣接する、禅宗の寺院へ伸びる長くて急な参道の階段をゆ

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17歳の”漢気”~大牟田・男性殺害事件~

17歳の”漢気”~大牟田・男性殺害事件~

平成13年4月13日 福岡県大牟田市。 そのとある住宅で、一人黙々と身支度を整える少年の姿があった。 真新しい作業着に身を包み、足元は地下足袋。その腹には、さらし替わりの白いシーツが巻き付けられていた。 実家から持ち出したのは、叔父の形見の切り出しナイフ。 じっと見守る女に、少年はこう語りかけた。 「待っとかんや」 頷く女に微笑んで、少年は討つべき相手の元へ駆け出した。 事件概要と犯人逮捕 平成13年4月14日午前8時35分頃、大牟田市中白川町の住宅から、「長男が血を

綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件

綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件

この事件は、昭和から平成へ変わる数か月の間に起こった事件で、当時中学1年生だった私は報道などで概要を知り、あまりのことに強烈に印象に残っている。 また、当時はヤンキー雑誌として有名だった「ポップティーン」に、被害者の顔写真入り記事が掲載されており、愛読していた私はその被害者の女子高生のアイドル並みの可愛らしさにも驚いた。 事件の概要は、あまりに有名であるので改めて文字にする必要はないだろう。本来は、40日間に及ぶ暴行、レイプでの殺害であるから、この呼び名はおかしいんだけれど

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心神耗弱の通り魔少年K.M(19)

心神耗弱の通り魔少年K.M(19)

判決で死刑が回避される理由で刑法39条や少年法があると一部ネット上では、これらの法の撤廃や判決を下した裁判官を誹謗中傷する書き込みが散見されるが、熟練した裁判官でも線引きや判断が分かれるくらい裁くのが難しいのだろうと感じる。 昭和33年に埼玉県下で発生した少年が僅か一ヶ月あまりに女性7人に襲いかかった事件を記す。 女性ばかりを狙った連続通り魔事件の概要埼玉県下発生場所不明 昭和33年6月2日 被害者は少女 同年6月9日 被害者は少女 同年6月27日 被害者は少女 同年7月1

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軍事裁判で死刑の田村勝則(18)

軍事裁判で死刑の田村勝則(18)

戦後2~3年は裁判記録や公的な文書もほとんど残っておらず、渡辺茂のように後から地方紙の記事で発見されたりする事もあるが、田村勝則もその一人。 米軍の軍事裁判で裁かれ、わずか二日で死刑が確定したこの少年は少年死刑囚リストには入らないが、触れておかなければならないと思うので書き記す。 米陸軍の一等兵を刺殺昭和20年12月19日、札幌の米軍資材倉庫に田村勝則(18)は他二人の少年(共に17?)と盗み目的で侵入。 菓子を盗んだ所を兵士に見つかり、仲間の一人が捕まったために倉庫にあっ

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こまどりの死を、機に #2-6 (だれがこまどり しぬのをみたの?)

こまどりの死を、機に #2-6 (だれがこまどり しぬのをみたの?)

     *  少年が予想したとおり、全校生徒は午前中で帰宅させられて、保護者向けの説明会が体育館で開かれることになった。  雨合羽のフードで顔を隠し、雨水を含んだ運動シューズの不快な感覚から意識を背けつつ、蜘蛛の糸を連想させる細やかな雨が視野をちらつく中で、少年はギアをあげて目的地へ向かう歩調を早めた。  事件が公なものとなったいま、周辺住民の警戒レベルは高まっており、時間が経過するほど行動範囲は狭められてしまう。  急げ。  時間がない。  早急にことを済ませて、目的を

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こまどりの死を、機に #2-1 (だれがこまどり しぬのをみたの?)

こまどりの死を、機に #2-1 (だれがこまどり しぬのをみたの?)

『だれがこまどり しぬのをみたの?  わたし とはえがいいました  わたしがこのめで  しぬのをみた』      *  早急にことを済まさなければ、時間の経過とともに、どんどん困難になる。  即座にそう判断した少年は、普段の起床時間よりも一時間早く布団からでて、身支度を整え、昨晩見知らぬ民家の駐車場から失敬した雨合羽を羽織って自宅をでた。  いつも使っている通学路とは異なる、北東の工業地域を大きく迂回する道を足早に移動して、緩やかな坂の途中にある団地案内看板の前で現時刻を

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少年死刑囚の生育環境

少年死刑囚の生育環境

生育環境に問題があると非行少年になりやすい傾向があることは少年犯罪ではよく言われる事だが、手持ちの少年死刑囚の資料の中から生い立ちに関して記載があった者は44人中38人だった。 ここではその38人を「父親がいない」「母親がいない」「両親がいない」「両親共いる」という4つのケースに分けてそれぞれで何人かの少年を取り上げて書き記した。 尚、「家庭環境が悪くても立派に自立する少年もいるから本人の問題だ」的な意見もあるだろうが、0か100の話になってしまうし、実際に38人中24人がど

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