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エッセイ

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粗品やBADASAIKUSHは積立NISAをしない

粗品やBADASAIKUSHは積立NISAをしない

水を買うことが増えた。とある事情で医者と話した際に、自分の体の不調の理由を尋ねたところ、水分が足りないのではと言われた。何を、僕は水分摂取量には自信があるぞと思ったが、振り返るとコーヒーお酒清涼飲料水が過多だと気づく。なんでも、水分摂取とは、水とお茶に限るらしい。ならばと思い、それらをがぶ飲みするぞと息巻いたところ、これがなかなか苦しい。お腹に溜まる。抜けていかない。大学生のころ、同じ授業に参加し

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愛は積分

愛は積分

YouTuberが市民権を得て久しい。当初YouTuberというとネットカルチャー文脈でのおもしろ企画屋のイメージであったが、お笑いからドキュメンタリーまで、今やあらゆる領域の幅広なコンテンツが作成されており、生き残ったコンテンツ群が堆積している。今からYouTuberになろうとする人からすればレッドオーシャンと感じて険しい気持ちであろうが、いち視聴者からすると厚みのある素晴らしいコンテンツプラッ

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自らを彫刻していく

自らを彫刻していく

絵をみるとき、彫刻をみるとき、うつわをみるとき。作者の生涯や、当時の芸術的なトレンド、政治経済的な世情について知ろうとすることは、一つの知的な娯楽だろう。展示に行き、掲示されている説明文を読み、時系列・テーマ別に陳列された作者の作品を見つつ、合わせてその作品自体への鑑賞方法も学ぶ。帰ったのち、解説書やサイトを読み、より大きなフレームの中で、その日見た作品を配置しようとつとめる。

これらの座学的な

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ひとつの生産機械

ひとつの生産機械

人間を1つの生産機械だとみたときに、インプット・スループット・アウトプットに分解することができる。人はよく目標を立てるが、このとき設計できるのはアウトプットのみだ。目標を立てたのち、打ち手・実行計画もあわせて設計することで、この3つを一旦考慮することができ、目標の達成確度もあがるものの、片手落ちな気がする。

人間には性格や感情、癖がある。確かに、組織や国家という、マクロな主体を考える際には、そん

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本が好きな人におすすめしたい文学50選

本が好きな人におすすめしたい文学50選

※だいぶ前に別アカウントで公開した文章です。

僕は文学が好きだ。文学が嫌いだという人も少ないだろうから、より正確な言い方をすれば、他のどの藝術よりも、文学について考えている時間が多い、と思う。言語化できない知覚は、この世に存在できないと考える僕にとって、自らの世界の解像度をあげるために、これまで、本当にたくさんの作品を読んできた。本屋に行き、ただタイトルが気に入ったから買うことも、ふと思い出した

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1本目、吉行淳之介『薔薇販売人』

1本目、吉行淳之介『薔薇販売人』

冬を見た。
朝の微睡に。日の短さに。押入れから出したニットの匂いに。灰色の世界に。切れるような喉の痛みに。水色の作業着を着た、落ち葉の清掃員に。駆り立てられるように過ぎる時間に。珈琲を入れたとき、部屋いっぱいに広がる香りに。刺すように響くオルゴールの音に。煙草の匂いが染み込んだ暖房に。水気のない肌に。そして昨日は、枯れた薔薇に。

買ってすぐ、薔薇は枯れた。枯れてしまった。乾燥した室内で、すぐに萎

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また会えたら

また会えたら

この週末、立て続けに古い友人たちとあった。長い時間をともにしてきたわけではなく、お互いの半生を深く共有しているわけでもないのだが、ある一面において、価値観と情報量が釣り合っているのだろうか、定期的に会ってはつらつらと話し、時間がくると次に会う日どりも決めずに解散する関係。芸術における文学の独自性について話をする友人もいれば、年相応の色気とは何かについて言いあう友人もいる。その一点においてのみ、彼ら

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